週刊人工知能ニュース 2018年6月17日から23日

 

6月17日から23日

 

スマホに話せばセブンへ注文、グーグル音声AI活用。

 セブン―イレブン・ジャパンは2018年度中にも全国2万店超でグーグルの音声AI(人工知能)を使って弁当などを注文し、店舗で受け取ることができるサービスを始める。コンビニエンスストアにはない食材を扱うことで、昼食や仕事帰りの夕食の需要を取り込む。セブンは若者の来店客が減少傾向にあり、デジタル機器に慣れ親しんだ世代を実店舗に誘導する。
 まず18日に東京都内の約2600店で、グーグルの音声AI「グーグルアシスタント」から注文し受け取れるようにする。18年秋にも全国の2万店超に広げる。同社のAIスピーカー「グーグルホーム」でも18年秋から注文可能になる。


小学生の英語、AIで発音指導、秀英予備校

 秀英予備校が小学生の英語教育を強化する。人工知能(AI)を活用した教材を導入して英語の発音を指導。独自教材を開発してリスニングやスピーキングの能力も高める。学習指導要領改訂で2020年度から小学5、6年で英語が教科化されるのを先取りして、新規生徒の獲得につなげる。
 秀英予備校はAIを活用した教材を17年末に導入した。eラーニング用システム開発のデジタル・ナレッジ(東京・台東)と共同で作成した。AIが問題を出して、生徒が正しく発音すると「○」が表示される。まず授業の前後にスピーキング学習として取り入れる。今秋をメドに各校にタブレット端末を配備する。

 

IoT工場のものづくり、NEC、川崎に体験施設、8月開業、自社技術PR。

 NECはAI(人工知能)や生体認証、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術を使った「ものづくり」を、顧客企業が体験できる拠点を8月に開業すると発表した。工場のIoT化を考えている顧客にNECの技術を使った製造ラインをアピールする。
 川崎市にあるNEC玉川事業場に「DXファクトリー」を設けた=写真。部品の投入や加工、搭載、組み立て、検査という工場の生産ラインの工程を再現した。拠点の担当者は「顧客に実際に体験してもらい、一緒に技術の組み合わせを考えていきたい」とする。
 部品の個体を識別して品質管理に役立てる「物体指紋認証」やウエアラブル端末で作業者の心拍データを読み取り、感情を分析するといった独自技術も用意した。自動車部品メーカーなど製造業中心に顧客の要望に応じた生産ラインを実現する提案力を高める。

 

産業技術総合研究所、AIの訓練処理、5倍に能力向上

 産業技術総合研究所 人工知能(AI)の機械学習で、高速化が難しいとされる「訓練処理」にかかる時間を大幅に短縮する技術を開発した。新たな計算方式をシミュレーション(模擬実験)で確認したところ、消費電力あたりの処理能力が従来方式に比べて最大で5倍に向上した。ハードウエアを試作して実現の可能性を検証し、1~2年後にも実用化を目指す。
 機械学習は大量のデータを学習する訓練処理と入力情報から将来予測などを出す「推論処理」で構成する。産総研は訓練処理を高速化するため、通常32ビットもしくは16ビットで行う数値計算で9ビットを採用。必要な乗算・加算の精度を確保しながら消費電力は約5分の1に低減できると推定した。
 開発した計算方式が実装されると、例えばネットショッピングで顧客におすすめの商品を提案するための買い物履歴を短時間で学習できる。

 

運転席での仮眠、AIで時間測定、日産、5年後実用化

 日産自動車人工知能(AI)を使い、運転手が車内で仮眠をとった時間を判定する技術を開発した。座席に設置した圧力センサーなどで呼吸や体の動き方を把握し、学習データと照合して本当に眠っているかどうか判断する。疲れをとるのに最適な仮眠時間が過ぎると音声などで起こす仕組みを5年後をメドに市販車に導入したい考えだ。
 運転手が眠っていたり目を閉じたりしているときの呼吸や体の動き方などのデータを事前にAIに学習させた。さらに動画の視聴時など、明らかに目が覚めている状態のデータも学ばせ、寝ているかどうかを正確に見極められるようにした。
 男性7人を対象にした実験で、学習したデータをもとに15分の仮眠時間を正確に測れるかどうかを呼吸や体の動き方から試したところ、大半の人は3分以内の誤差で仮眠時間を測定できた。
 睡眠中か否かを判定する従来の手法では、睡眠時の呼吸や体の動き方に関する数値データだけをAIに学ばせていた。起きているときのデータが足りないため、正確な判断が難しかった。
 体調を整えるのにちょうどいい仮眠時間は10~30分といわれるが、寝過ぎは逆に集中力が落ちるとの報告もある。開発した技術は乗用車に加え、トラックなど商用車への搭載も見込む。

 


福岡ソフトバンクホークス、AIで選手の走攻守分析

プロ野球福岡ソフトバンクホークス(福岡市)は高解像度カメラで撮影した選手の走攻守の動作データを人工知能(AI)で分析するシステム=写真=を導入した。福岡県内のヤフオクドームと2軍球場に専用機器を設置。守備位置や打球への反応速度、走塁のコース取りなど勘や経験に頼りがちだったプレー指導を科学的に進める。

 

 


東芝デジタルソリューションズ金子祐紀プロジェクトリーダー――自分の声、分身つくる、音声合成技術、社会に還元

 東芝の子会社でICT(情報通信技術)事業を手掛ける東芝デジタルソリューションズスマートフォンスマホ)用アプリ「コエステーション」の配信を始めた。利用者の声に近い合成音で言葉や文章を「話す」技術の開発を主導した金子祐紀(38)が目指すのは、娯楽用途だけではない。
 コエステーションによって東芝人工知能(AI)「リカイアス」と音声合成技術が初めて商品の形になった。指定された文章を読み上げていくと徐々に合成音の精度が上がり、実際の声に似る。利用者からは「自分の声に育てる感覚がおもしろい」と好評で、合成音はSNSへ投稿できるため表現方法も広がる。
 「写真や文字と違い音声は自由に使えていない。合成音声で不自由を解消できるのでは」と、リカイアス事業推進部の金子がプロジェクトリーダーとして2016年にゼロから構想を練った。「カーナビを好きな声にしたり声優の声をホームビデオに使ったりできないか」と考えたのがきっかけだった。
 金子は新規事業の立ち上げに携わった経験はあるが、音声分野では素人だった。05年の入社後はテレビ部門に配属されソフトウエア開発を担当した。

 東芝の子会社でICT(情報通信技術)事業を手掛ける東芝デジタルソリューションズスマートフォンスマホ)用アプリ「コエステーション」の配信を始めた。利用者の声に近い合成音で言葉や文章を「話す」技術の開発を主導した金子祐紀(38)が目指すのは、娯楽用途だけではない。


 コエステーションによって東芝人工知能(AI)「リカイアス」と音声合成技術が初めて商品の形になった。指定された文章を読み上げていくと徐々に合成音の精度が上がり、実際の声に似る。利用者からは「自分の声に育てる感覚がおもしろい」と好評で、合成音はSNSへ投稿できるため表現方法も広がる。
 「写真や文字と違い音声は自由に使えていない。合成音声で不自由を解消できるのでは」と、リカイアス事業推進部の金子がプロジェクトリーダーとして2016年にゼロから構想を練った。「カーナビを好きな声にしたり声優の声をホームビデオに使ったりできないか」と考えたのがきっかけだった。
  コエステーションは一般消費者の娯楽用途に限らない。ロボットや会話型AIに特定の人の声を設定したり、友人から届くSNSメッセージを本人の声で再生したり、といった未来を金子は描く。
 一方で事業が軌道に乗れば犯罪に悪用される危険も高まる。金子は「東芝としてやる以上、ケアには時間を惜しまない」と話す。実際、17年中を予定していたアプリの提供開始時期は今年4月まで延びた。イジメや振り込め詐欺など想定される事例をそれぞれ検証し、他人の声を無断で使えないルールを定めた。
 ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者と協力し、話すのが困難な人でも自分の声で会話できるシステムの開発も始めた。収益性から社内には事業自体に反対の声もある。だが金子は「どんなにすごい技術でも最初から理解を得られるとは限らない。やってみないと」と意に介さない。苦労は当たり前、という精神が事業を少しずつ前に進めている。

 

建設現場はロボットにお任せ

 技能労働者の不足や高齢化が深刻さを増すなか、建設現場の生産性を高めようと、ロボットの導入が本格化し始めた。大手建設会社は各社とも、かつてのロボット開発でかえって管理の手間が増えてしまった反省を生かし、「真の生産性革命」を目指した開発に注力している。カギとなるのは、人との協働や使い勝手の良さだ。
 建設会社でロボット開発を手掛ける技術者らが、こぞって関心を寄せるのが清水建設だ。ロボット開発に約20億円を投じ、2017年7月には複数の自律型ロボットを導入する次世代型建築生産システム「Shimz Smart Site(シミズ・スマート・サイト)」のコンセプトを発表。ほぼ同時期に同社技術研究所内に「ロボット実験棟」を開設する力の入れようだ。
 18年3月下旬に訪れたロボット実験棟では、天井材の取り付けなどを担う作業ロボットや完全自動化を目指す溶接ロボット、2台で連携する搬送ロボットが、現場さながらの環境のなか、コンセプトの完成イメージそのままの姿で訓練を重ねていた。自動化が進む最先端の工場のようだ。
 特に目を引くのは、ロボットの「職長」だ。「職長」とは、複数の自律型ロボットの仕事をクラウド上で統括する「統合管理システム」のこと。同システムを活用すれば、人は最初にタブレット型端末で作業を指示するだけで済み、ロボットの付き添い役は必要なくなる。
 「職長」は、部下である各ロボットが無駄な作業をしないよう、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング=コンピューター上で建物の3次元モデルを構築するシステム)のデータを基に現場内を地図化。資材の位置やロボットが走行するルート、段差に至るまで、全て頭に入れる。ロボットは、「職長」に指示された通りに連携しながら動く。
 清水建設が自律型ロボットと併せて「職長」の開発を進めるのには、理由がある。1980年代から90年代にかけて盛り上がったロボット開発ムーブメントのトラウマからの脱却だ。当時はまだ、人工知能(AI)やセンサー、カメラなど、ロボットが認識・判断するための技術が十分でないうえ、ロボット自体も大型。ロボットに仕事を手伝わせるはずが、ロボットの管理に人が労力を割いていた。

 


建設現場でウエアラブル、熊谷組立命館大など実証実験、安全性・生産性向上に。

 熊谷組立命館大学などと共同でウエアラブル端末を建設現場で活用する実証実験を始める。作業員の生体情報や位置情報を取得し人工知能(AI)が解析、熱中症対策など安全性の向上に役立てる。ベテラン技術者の動きをAIに学ばせ生産性向上にもつなげる。国土交通省が提唱する「アイ・コンストラクション」を追い風に実用化したい考えだ。
 実験には立命館大熊谷組のほか、計量器大手のイシダ(京都市)が参加する。大阪市内で6月下旬に熊谷組が施工する雨水滞水池の現場で実施する。
 東洋紡が開発を進めるスマート衣料「COCOMI(ココミ)」や華為技術(ファーウェイ)のスマートウオッチを作業員30人が型枠から足場を外す作業に従事する際に着用。心拍数や体温など生体情報のほか、移動した距離や順路などといった測位データを現場の各所に設置したアンテナを通し取得する。
 データはAIが解析する。生体情報の変化を、実験前後の作業員へのストレス診断の結果と組み合わせて、どのような状況で熱中症などにより体調を崩しやすいかなどを分析する。
 将来的には作業員が体調不良を起こしそうだったり、現場の建設機械周辺など事故が起きやすいエリアに侵入したりした際にスマートウオッチを振動させて注意を促す仕組みを作る。また熟練した作業員がどのような流れで作業に取り組んでいるかなどを測位データを基に分析し、作業の効率化も図る。
 建設業界は東日本大震災の復興関連や東京五輪に向けた活況な建設需要により、慢性的な人手不足に悩んでいる。
 国土交通省が毎月実施する「建設労働需給調査」によると、2011年以降、働き手が不足している状況が続いている。人手不足感は今後も強まり、25年には最大で93万人程度の労働者が不足する見通しだ。
 高齢化も悩みの種となっている。建設業の働き手は55歳以上が3割強、29歳以下が約1割だ。若い働き手をどう確保し、ベテラン技術者の高い技術を伝承するかが課題となっている。
 課題解決に向けて、国交省は16年から「アイ・コンストラクション」を提唱している。熟練工の経験や勘に頼っていた建設現場にICT(情報通信技術)を導入する手法で、生産性や安全性を向上させ、作業負担の軽減や人材確保を目指す取り組みだ。
 ゼネコン各社はICT活用を急ぐ。前田建設工業は老舗繊維メーカーのミツフジ(京都府精華町)に出資している。ミツフジは胸の部分に導電性繊維を編み込んだ衣服型ウエアラブル端末を製造しており、前田建設は現場の作業員の健康管理に活用したい考え。竹中工務店はAI開発のHEROZ(ヒーローズ)と組み、建築物の構造設計にAIを活用するシステムを開発する。

 


AIで細胞、高速取り分け、東大発スタートアップのシンクサイト、形で判別、世界初、再生医療に弾み。

 東大発スタートアップのシンクサイト(東京・文京、勝田和一郎社長)が開発した世界初の技術が、米国のトップレベル科学誌「サイエンス」に掲載された。人工知能(AI)を利用して細胞を高速で取り分ける技術で、装置も開発した。再生医療の研究への貢献が期待される。装置は来年度から販売予定で、すでに製薬会社などから多くの問い合わせが来ている。
 新技術は東京大学先端科学技術研究センター准教授の太田禎生氏が中心になって開発。米国時間15日付でサイエンス誌に論文が掲載された。
 新技術の名称である「ゴーストサイトメトリー」がそのまま論文のタイトルにも掲げられた。
 細胞の形を瞬時に判断して1秒間に数千から数万個の細胞を取り分ける技術だ。「こんな形の細胞を選べ」と命令すれば、1億個に1つしかない希少な細胞などを短時間で多数集められる。これまで人が手作業で行っていたことを格段に効率化できる。
 従来、細胞を高速で取り分けるための技術として「フローサイトメトリー」が使われてきた。だがこの技術は蛍光色素で染めた細胞を色の有無で分けており、形では分けられなかった。

 

 

エコモット、AIカメラで建設現場の安全確認

 システム開発のエコモットは人工知能(AI)を搭載したカメラを使った画像解析サービスを始めた。建設現場での安全確認や食品検査、防犯対策などに活用できるとして、初年度で500台の導入を見込む。
 米エヌビディア製のGPU(画像処理半導体)をカメラに搭載。必要な映像データをAIが選んでクラウドに送信する。全映像を送信してクラウドで解析する場合と比べて通信費を抑えられる。導入費はカメラ1台あたり50万円。
 建設現場での安全対策での利用を想定している。建設現場では高所作業の墜落事故を防ぐため、フルハーネス型安全帯の着用が2019年2月から義務付けられる。AIカメラで瞬時に作業員がハーネスを適切に着用しているか確認できれば、確認要員をなくすことができる。

 

車を変える「次の深セン」(DeepInsight)

 300を超す提案が現在あるという。中国政府が昨年、新経済特区の建設を表明して注目される「雄安」の都市計画だ。
  ヒントは習氏がめざす4つの「AI(人工知能)特区」構想だ。南から深〓をヘルスケア(医療映像)、杭州をスマートシティー、合肥安徽省)を音声認識北京一帯(雄安を含む)を自動運転の中心地区と決めた。
 医療映像は騰訊控股(テンセント)、スマートシティーはアリババ集団、音声認識は科大訊飛(アイフライテック)、自動運転は百度バイドゥ)と巨大企業をそれぞれ中心企業に選んだ。これらを総称して、中国では「4大プラットフォーマー」と呼ぶそうだ。
 中でも自動運転は習氏の肝煎りだという。渋滞や大気汚染、大都市と周辺の経済格差。これらを一体的に解消するのが雄安開発の狙いだ。
 空想が過ぎる、という指摘も出るかもしれない。300の提案には従来の車や二輪車を地下道に、自動運転車を地上の道路に集約する、などの奇想天外な案も多いらしい。自動運転の最大の障害は、無人で動かない車や自転車、歩行者が道路に混在することだ。地上と地下ですみ分ければ、実用化は容易になる。中国なら本当にやりそうな話ではある。
 そうした前提があるからか、雄安ですでに走行実験を進める百度は「アポロ」という自動運転用のプラットフォームを提唱し、部品や装備品のサプライヤーと自動車メーカーに参加を呼びかけている。事実上の「国家推奨技術」であるだけに、これまでに100を超す内外の企業が参加を表明した。
 中国は自動車でゲームチェンジを狙っている。そんな印象を強く受けたのは上海で先週開かれた見本市、CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)アジアだった。自動車関連の出展は全体(約500社)の4割近くに達した。多くは中国で生まれたばかりの無人タクシーや自動運転用のソフトウエア、半導体チップのベンチャー企業。車やエンジンというより、アルゴリズムやサービスを世に問う展示が多かった。
 最も興味を引いたのは、関係者の多くが「自動車産業では今後、販売台数や市場シェアの重要性が失われる」と断言していたことだ。配車やシェアリングなど、これから勃興する新しい自動車サービスの産業規模は「車を製造して販売する従来型自動車ビジネスの規模に匹敵、または追い抜く可能性が高い」と考え始めている。
 もちろん来年、再来年の話ではない。2020~30年にかけてのことだろうが、それでも百度ベンチャー企業によれば、中国政府の政策的、資金的支援は今から大規模だという。「自動車は家電製品のように簡単には米欧、日本に勝てない」という割り切りがそうさせるのか。半ば強引にでも「ハードで戦わない世界」を創り出そうとの意志はいたるところで感じられた。
 他の業種だが、中国で見聞きした成功事例にこんな企業があった。航空券予約の「航旅縦横」と映画鑑賞券の購入サイト「時光網専業版」。どちらも急成長株だ。
 航旅縦横は自社のウェブサイトがすべての航空会社の情報システムとつながり、予約や顧客の乗る飛行機の情報閲覧が携帯端末から簡単にできる。航空会社が自社の顧客を囲い込む日本や欧米ではあり得ない話だ。映画の時光網も同じような仕組みをもつ。
 ここからわかるのは二つだ。中国では政府の鶴の一声で企業間のデータの統合が常に容易だという点。さらにはベンチャー企業には最初から規制を設けず、問題が生じるまで意外にも事業を自由にさせていることだ。
 自動運転サービスにもそうした考え方は適用されるという。百度のプラットフォームには近い将来、アリババやテンセントのSNSや電子商取引、決済サービスがつながる可能性がある。中国国内のあらゆる情報、データが統合されることもありうるらしい。
 「デジタルサービス収入を至上と位置づけるゲームチェンジ」と言えばいいだろう。販売台数やシェアではなく、携帯電話やインターネットで言う「ARPU(1契約当たりの月間平均収入)」が重視される世界だ。そのピラミッドの頂点には中国の巨大IT(情報技術)企業が座り、中国政府も強大な影響力を握り続ける。
 雄安はそんな産業構造転換の象徴になるのだろう。中国はそこで確立するビジネスモデルを別の都市にも移植する。いずれは、新経済圏構想「一帯一路」と関係が深いタイ、ラオスなどにも「輸出」するはずだ。
 中国は自動車産業への外資規制をやめるが、それは「別のやり方で産業支配が可能」との自信の表れでもあろう。あくまで中国1国で進む話だ。だが、中国は世界の3割を占める自動車市場であり、日本企業の経営戦略にも大きく影響する話である。

 


新事業創出、米で新会社、NEC、シリコンバレーに。

 NECは20日、米国シリコンバレーに新事業の創出を支援する新会社を設立すると発表した。米国のスタートアップ企業と自社の人工知能(AI)などの技術を掛け合わせ、新しいサービスを生み出す。ベンチャーキャピタルからの投資を呼び込む狙いもある。世界中の先端技術や人材、投資マネーが集まるシリコンバレーで迅速な事業化につなげる狙いだ。
 7月に「NEC X」を設立し、まず米シンギュラリティ大学と連携し、最短1年で新事業を立ち上げる「NECアクセラレータープログラム」を始める。AIや生体認証、ブロックチェーン(分散型台帳)、データ分析といったNECの研究所が持つ独自技術を収益化するため、シリコンバレーのスタートアップ企業と連携する。

 

IoT、柏の葉で連携、三井不など産学官が組織、ドローンなど活用策探る。

 千葉県柏市産学官が連携し、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」を活用する取り組みが始まった。柏市三井不動産、市内外のベンチャー企業などでつくるIoTビジネスの推進組織が21日、発足した。メンバー間で最新の技術やノウハウを共有し、行政サービスの向上やドローンの安全な飛行、農業のデジタル化など幅広い活用策を探る。
 同日発足した「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」には柏市や三井不のほか、日本マイクロソフト大日本印刷、ドローン開発のドローンワークス(柏市)、東京大学フューチャーセンター推進機構などの企業・団体が参加。東大・千葉大学のキャンパスや研究機関、三井不が運営する起業支援施設「KOIL」などが集まる柏の葉地区を拠点に活動する。
 まずはIoTや人工知能(AI)、仮想現実(VR)などに関する勉強会やセミナーを年3~4回のペースで開催し、メンバー間で最新の知識や情報を共有する。研究者や技術者が新しいビジネスやサービスのアイデアを競う「ハッカソン」も実施する。各メンバーの具体的な事業案が固まった段階で新しい製品やソフトウエア、サービスの開発に順次着手する計画だ。
 研究機関が多い柏の葉地区は、省電力で広域の無線通信ができ、IoTに利用しやすい「LPWA」網が整備されている。メンバーが開発した製品やサービスは柏の葉地区で実証試験し、実用化を目指す。
 柏市はIoTを活用して行政サービスの向上を目指す。アイデアの一つがIoTを活用した次世代型の水道管理システムだ。「柏市は工業用水がなく、企業誘致を進める上で課題となっている」(市商工振興課)。IoTを導入して一般の水道水を効率的に循環・再利用し、水資源が限られる中でも企業が進出しやすいようにする。
 ドローンワークスは街なかを安全に移動できるドローンやロボットの開発に取り組む。農業経営支援アプリを手がけるトレックスエッジ(東京・品川)はIoTを活用し、農作業の省力化や機械化の研究を進める。
 柏の葉地区では、東大と産業技術総合研究所が19年春をメドにAIの研究開発拠点を開設する計画。柏市柏の葉地区をAIとIoTの研究拠点に育て、新たなビジネス創出を後押ししたい考えだ。

 


AI、IoTで課題解決、広島県、実証実験案募る。

 広島県人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoT技術を活用して地域課題の解決を狙う実証実験の具体的な企画案を募集する。実験を関係者が集まる砂場(サンドボックス)と位置づけ、今後3年間で最大10億円を支援。地域や中小企業が抱える課題を解決できる人材や知見の集積につなげる。
 人づくりや新たな経済成長など、県が掲げる重要政策に基づくテーマに関連した課題解決策の企画案を募る。企画を提出する応募参加者は「ひろしまサンドボックス推進協議会」に加入する民間企業、大学、自治体など4者以上が参加するコンソーシアムであることなどが条件。1者以上が広島県内に本社などを置く事業者であれば、県外企業なども参加できる。
 1次公募は7月13日まで。選定結果は8月上旬ごろをメドに通知し実証事業を開始する。2次公募開始は9月の予定。

 

 

AIで商品自動発注、スーパーのオークワ、省力化で効率経営、自動精算レジも投入。


 スーパーのオークワは、7月から人工知能(AI)を用いて商品を自動発注するシステムの運用を始める。人手不足に対応し、発注現場の作業負担を軽減する。このほか買い物料金を自動精算するセミルフレジや、総菜工場の加工度向上も推進する。一連の省力化投資で効率的な店舗運営につなげ、今期以降の収益拡大を目指す。
 オークワの自動発注システムはAIが過去の在庫水準や気候など様々なデータを基に、菓子や飲料、冷凍食品などを物流センターに最適な量で自動発注し、店舗での欠品や廃棄ロスを減らす。従来のシステムは一定の在庫水準を下回ると追加発注をするもので、イベントなどで需要が盛り上がりそうな場合は各売り場担当者の経験などに頼って注文していた。
 自動発注システムの導入に伴い、売り場担当者の発注業務も従来の3時間から1・5時間程度に短縮できるという。空いた時間をほかの業務に転用できる。
 セミルフレジも4月に改装した南摂津駅前店(大阪府摂津市)に8台、松阪下村店(三重県松阪市)に13台を導入した。セミルフレジは通常のレジに比べ精算時間を半減できる。客の待ち時間も短縮できるため、レジに必要な従業員の数も少なくてすむ。
 このほか、岐阜県安八町の総菜工場では、水産物や畜産物を切断する機械も導入する。工場であらかじめ調理しやすいサイズまで加工度を引き上げて、店舗での調理負担を減らす。
 オークワは今期、自動発注システムなどIT(情報技術)投資に8億円、総菜工場の能力増強に5億円それぞれ費やす。
 同社の利益水準(今期純利益予想は12億円)と比べ投資規模は決して小さくないが、神吉康成社長は「人件費の高騰は続く。その中で店舗人員を増やさずに経費を抑えなくてはいけない」と話す。オークワの取り組みはほかの関西の小売業の共通テーマでもある。

 

携帯3社の新SMS、開発の裏側

 NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯大手3社が新メッセージングサービス「+(プラス)メッセージ」を2018年5月9日に開始した。ショートメッセージサービス(SMS)の後継という位置付けで、「打倒LINE」と目されるサービスだ。開発の裏側を探った。
 特徴は携帯電話番号だけでコミュニケーションの相手を指定できること、そして携帯大手3社が同時にほぼ共通のサービスを始めることだ。実現しているのが「RCS」(リッチコミュニケーションサービス)と呼ぶ仕組みである。
 RCSではメッセージングのほか、チャット、データ通信で音声を扱うVoIP、テレビ電話、コンテンツ共有、プレゼンス情報など、様々なサービスを定義している。ただし、今回の+メッセージでは、メッセージングサービスだけを採用している。
 RCSのサービスの技術仕様を定めているのがGSMA発行の「ユニバーサルプロファイル」だ。これに準拠することで、各事業者の相互接続を担保できる。ただ、複数の事業者が共通のサービスを問題なく提供できる半面、各社独自の工夫を縛る面もある。
 +メッセージは従来のSMSに比べ、送信できる文字数が大きく増え、写真や動画も送れるようになったことが売りだ。送信できる内容は、テキスト・絵文字が最大全角2730字、写真・動画が最大100メガ(メガは100万)バイトとなっている。これは、ユニバーサルプロファイルでの推奨値を採用したものだ。
 「3社で同時にサービスを始められるように、できるだけRCSの仕様に準拠したいと考えていました。このため、独自仕様を盛り込むのを諦めたこともあります」(NTTドコモスマートライフ推進部の戸部章子コミュニケーションサービス担当課長)
 まずはコンシューマー向けのメッセージングサービスから始めたが、今後は企業向けへの展開にも期待がかかる。
 ここでLINEのようなインターネットのメッセージサービスに対し、携帯電話番号が大きな差異化要因になる。「やはり電話番号を使っているところが重要です。IDを使った半分匿名のようなサービスよりも、電話番号を使ったサービスを企業は必要とするでしょうし、ユーザーも安心して利用できます」(藤間担当部長)
 今後は、人工知能(AI)が自動的に質問に答える「チャットボット」など、はやりの周辺技術を採り入れたサービスも検討したいという。
 なお、ソフトバンクは6月21日時点で、アンドロイド用アプリの配信を一時的に停止中だ。

 

自動運転、米中が断トツ、有力スタートアップ副総裁に聞く、中国、専業の新興勢に勢い

 世界各国で自動運転技術の開発が活発になるなか、世界最大の自動車市場である中国でも大手から新興企業まで各社が激しい競争を繰り広げている。米中の実力が突出するとされるが、実情はどうなのか。有力な新興企業として注目される景馳科技の張力・副総裁(46)に、中国の開発の現状や課題などを聞いた。
 ――業界の現状をどうみていますか。
 「中国と米国が断トツにリードしている。それは政府の支援、技術、企業数、関連の特許数など総合的だ。両国がものすごい競争を繰り広げている。開発スピードが速く法整備も重要になるが、現状では米国のカリフォルニア州の方が中国よりも進んでいる状況だ」
 ――技術のビジネス化に向けたターゲットはどこにありますか。
 「技術レベルが全体の中で2番目に高い『レベル4(特定の場所での完全自動運転)』を2020年に商用化する考えだが、それをもっと前倒しにしたい」
 「ビジネス案としては、車両を車メーカーから購入して当社の自動運転技術を搭載し、スマートフォンのアプリを通じて、タクシーのように配車できるサービスの運営会社を考えている」
 ――開発上の最大の課題は何ですか。
 「自動運転で鍵となるセンサー技術には課題が残る。運転中に周りの状況を正確に判断できなければ事故につながる。人工知能(AI)の学習能力にも課題はあり、状況に応じて進化が必要だ。地図の精度にもまだ課題はある。法律の制限も壁としてある。レーダーなど基幹部品は輸入品が多く、国産化も課題だ」
 ――開発人材の確保はいかがですか。
 「それも課題だ。中国本土には無人運転の技術者がまだまだ少ない。当社の7~8割は海外で勉強し、中国に戻ってきた中国人だ。地元の市政府とは広州の大学に無人運転学科を設けようと話し合いもしている」
 ――米中間の競争環境をどうみていますか。
 「米国ではグーグル系のウェイモを筆頭に、ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のクルーズなどが有力視される。一方、中国では百度バイドゥ)がネット企業として自動運転をリードし、専業の新興勢にも勢いがある。当社も含め、小馬智行や深〓星行科技など有力企業は約6社。こうした米中の企業が水面下で激しく競争している」
 ――中国のネット大手であるアリババ集団や騰訊控股(テンセント)の動きはどうですか。
 「自ら社内で自動運転を開発していくべきか、先ほど話した新興6社などに出資するか、考えている段階だと思う」
 ――自動車メーカーの開発状況はどうですか。
 「当社のような新興企業は『レベル4』を目指しているが、車メーカーではコストや大量生産の観点からひとつ下の『レベル3(特定の場所で自動化、緊急時はドライバーが操作)』の開発を進めている会社が多い」
 ――最高レベルの「レベル5(あらゆる状況で完全自動化)」の商用化はいつごろですか。
 「20年のレベル4商用化はもう見えている。レベル5は22年くらいになるだろう」

 

画面付きAIスピーカー、画像でも旅行情報、JTB、アマゾン向け提供。

 JTBは21日、米アマゾン・ドット・コム人工知能(AI)スピーカー向けに国内のホテルやレジャーチケットなどの検索ができるサービスを始めると発表した。AIスピーカーに旅行先の地名や宿泊する人数などを伝えると、空いている旅館を自動で検索する。AIスピーカーが旅館の情報を音声で伝えるほか、写真も表示する。その後、予約ができる。
 アマゾンジャパン(東京・目黒)が7月末に出荷予定の画面付きのAIスピーカー「アマゾン エコー スポット」=写真=に対応する。現在発売されている「アマゾン エコー」向けにも同様のサービスを提供しているが、これまでは画像は表示されなかった。新機種は画面付きのため、旅館の写真や空き施設情報などを目で見て確認できる。レジャー施設やコンサートなどのチケットの検索もできる。
 検索情報は登録したメールアドレスに送れる。予約をする場合は、メールで案内されるJTBの旅行サイトを通じて手入力で申し込む。

 


画像から立体の構造予測、新AI「GQN」、グーグル系、人の空間認識に近似。

 米グーグルの持ち株会社アルファベット傘下で、人工知能(AI)を研究する英ディープマインドが新しい画像認識技術を開発した。2次元の画像から3次元の立体を認識する技術で、画像認識技術の開発の手間を大きく削減できる可能性があるという。
 開発した技術の名称は「GQN」。米サイエンス誌に14日(現地時間)発表した。
 GQNは脳の動きを模した「ニューラルネットワーク(神経回路網)」技術の一種。「動物や人間が認識するように、周囲の状況を観察して認識できるようになる」。ディープマインドのリサーチサイエンティスト、アリ・エスラミ氏は同社が公開した動画でこう説明する。
 これまでの画像認識技術では、人間の手によってラベル付けされた「正解データ」と、それに基づく学習過程が必要だった。GQNでは正解データの作成過程が不要で、画像認識を利用したシステム開発の手間の削減につながるほか、生命が視覚をどう獲得してきたかを探るヒントとなると期待されている。
 ソニーコンピュータサイエンス研究所が出資するAIスタートアップ、ギリア(東京・台東)の清水亮社長はGQNの論文を読んで「人間が見知らぬ土地に降り立ったときに、“土地勘”をつかむのに近いことがAIにもできることがわかった」という印象を持ったという。
 現状はコンピューターグラフィックス(CG)で作成した画面による実験が成功したにすぎないが、「実写で同様のことができるよう発展させたものをロボットに搭載すれば、未知の場所や惑星などの探査が可能になるなど期待は大きい」(清水氏)。
 GQNは「表現ネットワーク」と「生成ネットワーク」という2つの部分からなる。表現ネットワークは状況に関する情報を獲得する際に使う。物体の色や形状などを様々な角度から見て学習し、その世界に関する情報(シーン情報と呼ぶ)を獲得する。生成ネットワークは表現ネットワークが生成したシーン情報を利用して、学習時に見たことのない物質であっても対象物の形状などを推論する。
 実験では、複数の物体がランダムに存在する、仮想空間で学習を実施させた。学習時に存在しなかった角度や視点からでも正しく状況を推測できたほか、画像から立体物の形状を正しく推論することもできたという。
 また、ロボットアームで物体をつかむ処理をさせた場合、従来型の学習よりも少ないデータ量で精緻に認識できることを確認した。現時点ではまだCGに基づく合成的な画像しか対象にできていないうえ、既存の物体認識技術を超える精度には達していない。ディープマインドではハードウエアなどが進化すれば、現実の視界に対する処理に発展できると考えている。
 シンプルな構造も特長だ。ギリアの清水社長は「これまで深層学習は複雑な階層構造を持つため、なぜそうなったのかを説明できなかった。GQNによってこれが覆されるかもしれない。その場合は深層学習以外の分野にも影響を与えるだろう」と説明する。
 ディープマインドはGQNと同様、事前に用意した正解データなしで知識を獲得できるAIの開発に力を入れている。例えば同社を一躍有名にした囲碁AI「アルファ碁」。最初はプロの囲碁棋士の打った手を学習させていたが、後継バージョンの「アルファ碁ゼロ」では「正しい」とされる手を学習させずに、以前のアルファ碁を上回る囲碁AIに成長させた。
 人間も正解データがなくても学習ができる。GQNを含め、正解なしで学べる技術の進化は、人間の知能を超える、いわゆる「汎用人工知能」の開発につながりそうだ。

 

効率業務、AIが導く、PFU、相次ぎシステム、会話識別、会議室カラ予約解除、文字抽出、文書をデータに変換。

 業務用スキャナー最大手のPFU(石川県かほく市)は、人工知能(AI)を使って企業の業務を効率化する製品を相次いで投入する。人間の会話を感知し、使用されない会議室の予約を自動でキャンセルするセンサーや、文字や画像の認識精度を上げた紙文書のデータ化システムを開発する。働き方改革関連の製品の実演をするショールームや専門の営業部署も新たに設け、残業削減などに取り組む企業の需要を見込む。
 発売するのは掃除などの雑音と人間の会話をAIが判別するセンサー。会話が確認できず、会議室が使われていないと判断した場合は、予約システムと接続して自動的に会議室の予約を解除する仕組みだ。2019年3月期中の商品化を目指す。
 センサーには会議中の発言などを録音する機能も付ける。録音データを音声ファイルにして代表者にメールで自動送信し、会議の内容を共有することもできる。センサーは室内の二酸化炭素(CO2)の濃度も検知。一定の基準以上になると、音声で注意を促し、社員の健康管理などに役立ててもらう。
 同センサーを自社の会議室に試験導入したところ、予約時間の1~3割が実際には会議が行われていない「カラ予約」だった。無駄をなくし、生産性向上につなげる。
 一方、AIの文字認識や画像処理技術の精度も向上させ、書類のペーパーレス化につなげる。装飾の上に書かれた文字を認識するには、現状ではエンジニアらが書類ごとに設定をやり直す必要がある。画像を白と黒の2階調に変換する「二値化技術」の精度を上げ、網掛けやケイ線などの装飾から、文字だけを自動で抽出してデータ化できるようにする。
 同社は5月から、AIが文字を認識し、領収書などの書類をデータ化するサービスを開始した。こうしたサービスに活用して受注の拡大を図る。定型作業を自動化するソフト「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)にも連携できるようにして業務効率化を支援する。
 製品を売り込む営業体制も強化する。昨年12月、働き方改革関連の製品を企業などに売り込む専門部署「働き方改革ビジネス統括部」を設立した。5月には横浜本社内に実際の製品を実演するためのショールームを開設した。

 


鹿島、建機の自動運転システム開発

鹿島がダムやトンネルなどの土木工事で、建設機械を完全自動化する施工システムの開発に乗り出す。無人運転の制御に必要な人工知能(AI)技術の獲得を目指し、スタートアップ支援のWiLが運営するファンドに出資。同社のシリコンバレーの拠点に社員を常駐させる。人手不足などをにらんで土木工法を抜本的に転換する。

 

パナソニック、AI人材500人体制に増員

 パナソニックは22日、都内で人工知能(AI)の戦略説明会を開き、2018年度末に社内のAI人材を500人に増員する方針を明らかにした。現場のエンジニアにデータ分析をはじめとしたAIの素養を身につけさせる。17年4月に示した戦略では18年度末で300人に増員する予定だった。社内の学習プログラムを拡充し、前倒しで人材を育成する。3月時点で300人の体制を整えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

週刊人工知能6月10日から16日

6月10日から16日

農業効率化へデータを活用、政府計画案、AI重点。

 政府のIT(情報技術)分野の重点策をまとめた「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」案が分かった。ビッグデータ人工知能(AI)を使い、農業の生産性向上や物流効率の改善につなげる。住所変更など全ての行政手続きをデジタルにする方針も明記する。近く閣議決定する。
 ビッグデータで農業の生産性を高める「スマートフードチェーンシステム」の運用を2019年度に始める。農産物の生産や物流、販売、消費といった情報を農家や企業から集約。トラックの空き状況や小売店の販売実績を基に農家が収穫時期をずらし、鮮度を保った状態で生鮮品を出荷できるようにする。農家の所得向上と食品ロスの削減につなげる。
 先端技術の活用も促す。AIによって港湾の倉庫の空き状況を一覧できるITシステムを20年までに整備する。貨物の搬出入時間を縮め、港湾の渋滞を和らげる狙い。


来店客の視線、AI分析、NEC、マクロミルと提携、目を引く包装などに活用。

 NECは調査会社のマクロミル人工知能(AI)のマーケティング活用で提携する。コンビニエンスストアの棚に設置したカメラで来店客の視線を検知し、AIが画像分析で目に留まりやすい商品を割り出す。食品メーカーなどは包装を工夫し、消費者が手に取りやすい商品作りにつなげることができる。両社は視線検知など先端技術を取り入れた実験店舗を作ることも視野に入れる。
 マクロミルは実際のコンビニ店を模した空間に商品を陳列した棚を置き、モニターとして参加する消費者がどういった商品を手に取るか調査する事業を手掛ける。食品・日用品メーカーが発売前の商品企画の実験に活用している。
 NECは人間の視線を小型カメラで撮影し、AIで分析する技術を持つ。マクロミルの実験店舗の棚にカメラを取り付け、モニターが長い時間見ていた商品を割り出す。メーカー側は注目されやすい商品包装を開発できるようになるほか、コンビニ各社は売れる棚づくりを考案できる。
 NECとマクロミルは視線分析の技術を実用化するため、新たな実験店舗の設置も検討する。一般消費者を招き、試験発売する商品を陳列するなどしてデータを集め、売れ行きを確かめる。コンビニ大手と組むことなどを想定している。
 NECはコンビニで販売する飲み物やおにぎりなどの画像をAIに覚えさせ、レジに置いたカメラで商品を画像認識する技術を持つ。来店客はセルフ決済ができる。すでに自社内にある販売施設で導入している。

 

シャープ、ペット関連事業に参入。

 シャープはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)の事業化の一環として、7月にペット関連事業に参入する。まず飼い猫の体調の異変を検知するトイレを発売し、今後も製品やサービスを増やして利用価値を高める。IoTの活用が手薄な分野に新規事業として参入し、育成を急ぐ。

 

AI人材を発掘・育成、コンテストで能力可視化、SIGNATE社長斉藤秀氏(世界デジタルサミット)

 ――コンテスト形式で「懸賞金」をかけて、人工知能(AI)などの技術を駆使してビジネスに使うデータの予測精度を競い合う「SIGNATE」という、ユニークなビジネスを展開しています。
 「日本では唯一のサービスだ。狙いは大きく3つある。まずグーグルのような先端的な大手企業でなくても、AIをビジネスに応用できる。優秀なAI人材を自社で組織化できる企業はそれほど多くない」
 「次にAI人材の育成。AIを学び始めたばかりの初学者であっても実務に基づくデータを使う経験が可能になる。AIやデータサイエンスに必勝法はなく、課題に応じてベストなモデルは異なる。経験が非常に大きな意味を持つ。そして最後に、AI技術者の能力や実力を可視化し、人材を発掘できる。実力がある個人や組織が評価される仕組みだからだ」
 ――現在は9千人が登録していますが、この数は十分ですか。
 「まだまだだ。東京五輪までに10万人くらいの参加者を集めたい。このサービスは、登録者が多ければそれだけ開発できるモデルの精度は向上する。現状では参加者の90%が日本人だ」
 「参加者は社会人や学生、研究者など多岐にわたる。初学者もいれば、企業などで研さんを積んだ経験者もいる。コンテストで勝つのは70%くらいが社会人だ。社会人といっても、課題のドメインに属する参加者が勝つとは限らない。例えば旅行業から出された課題に勝ったのは金融業に属する社会人だった。これは、一定の課題設計をしていれば、対象となるドメインの知識は不要であることを意味している」
 「初学者にとっては、勝てなくても参加するだけで意味がある。実課題を分析する過程はデータサイエンティスト教育に必要な機能だ。こうした課題を大学だけで提供するのは難しい。そこで大学にシステムを提供し、教育に役立ててもらっている」
 ――コンテストにデータを提供する企業からすると、秘密にしたいデータの切り分けが難しいのでは。
 「実際には、ほぼ生のデータに近い。もちろんデータ提供に当たり、当社がコンサルテーションした上で、必要に応じて暗号化を施すなどの工夫はしている。しかし実際には公開して不利益になるデータは企業が懸念するほどでもなく、意外に少ない」
 「むしろ成果が出ると満足してもらえる。現在コンテストは月に3~4件実施している。これまでで25の課題を公開してきた。大体コンテスト1回当たり、200人程度が参加し、4千~5千回程度のトライアルが実施される。多数の参加者が関与することによって、精度の高いモデル開発が担保される」
 ――利用する企業側も、参加者もオープンなマインドが必要ですね。
 「オープンイノベーションという言葉ももう古いので、もっとシェアエコノミー的な観点で捉えたい。ウーバーとかエアビーアンドビーのようなシェアサービスと考えられるからだ。能力のある参加者は余裕のある時間を活用して懸賞金を獲得する。一方で依頼する企業側から見ると、自前で能力の高い技術者を雇用しなくても高精度のモデルを開発できることになる」

 


運転手の異常、AIが警告、サンクレエ、北大とシステム、よそ見・居眠り検知、中小運送向けに。

 システム開発のサンクレエ(札幌市)は、北海道大学と共同で人工知能(AI)を使って運転手の異常を警告するシステムを年内にも開発する。画像や動きのデータからAIが不自然な動きを検知し、重大事故を防ぐ。管理の負担やコストを減らしたい中小の運送会社に売り込む。害獣対策や医療現場への応用も視野に入れる。
 開発には米グーグルが無償公開している深層学習ソフト「テンソルフロー」を使う。深層学習は膨大な情報から特徴的なパターンを自ら発見する機能で、AIの中核となる技術だ。サンクレエは北大の川村秀憲教授らと共同で、細切れにしたドライブレコーダーの映像をAIに学習させた。
 まず試作版として、データを学ばせたAIを組みこんだドライブレコーダーを9月に販売する。トラックの運転手がよそ見運転や居眠りした場合、数分後にタブレット端末などで異常を把握することができる。
 集めたデータを分析し、年内にも異常をリアルタイムで警告できる仕組みを確立する。車の急発進や急ブレーキといった動作の異常も検知できるようにして重大事故を未然に防ぐ。
 運送会社は管理者がドライブレコーダーの映像を確認し、異常がないか確認したり、運転を指導したりしている。システムの導入で管理者が人件費を大幅に削減できる。サンクレエは道内の中小企業が導入できるように開発コストを抑制。利用料金は月額7万~10万円に設定する考えだ。
 農業や医療現場への応用も検討する。エゾシカやアライグマといった害獣の群れをドローン(小型無人機)に搭載したAIが識別し、個体数や生息地域を把握。農家がタブレットで指示を出し、追い払う、わなを起動するといった対応を想定する。医療現場では患者をAIが見守り、異常があればナースコールを鳴らすといった使い方を想定する。
 AIのように技術革新が速い分野では、早く成果を公表したい研究者が論文をインターネット上で無料公開する例が相次ぐ。川村教授は「今後は大手より、固定費が安くすむ中小主導でIT(情報技術)サービスの開発が進む時代になる」とみる。
 

 

札幌でAI人材育成、3社・団体、5コースの講座で。

 札幌市の3社・団体が人工知能(AI)関連の人材育成に乗り出す。AI開発に必要な知識やビジネスに活用する方法など、基礎から応用まで5コースの講座を14日から札幌市内で順次始める。企業経営者やエンジニアの卵など幅広く受講者を募る。
 札幌市の産学官組織「SAPPORO AI LAB」、サツドラホールディングス傘下の「AI TOKYO LAB」、IT(情報技術)分野の人材育成を手がける北海道ソフトウェア技術開発機構が企画・運営する。
 技術習得に関する上級者向け講座では、AIエンジニアとして開発の基礎知識のほか、機械学習や画像認識の演習を通じたAIの活用方法を5日間で学べる。受講料は入門編の2講座が無料。AIエンジニア講座が32万4千円。同講座は経済産業省の補助対象となる予定で、個人受講者は料金の最大7割が助成される。


データセンター3カ所に、日本IBM、18年に首都圏で増設、分散設置、リスク低減。

 日本IBMは首都圏のデータセンターを2018年中に現在の1カ所から3カ所に増強する。停電などで1カ所のデータセンターに障害が起きても、他のデータセンターが補完し、クラウドサービスを維持する。国内のクラウドサービスは米アマゾン・ドット・コムや米マイクロソフト(MS)が先行する。IBMはデータセンターの増強で障害リスクを低減するなど品質を高め、対抗する。
 新設するデータセンターは地理的に分散して設置し、高速ネットワークで相互接続する。具体的な場所はテロやサイバー攻撃から守るため、明らかにしていない。設備投資額も公表していない。
 北海道など気温が低い地域の方がサーバーの冷却や消費電力で優位だが、首都圏の方が顧客の回線つなぎ込み費用が安く、動作が早く、保守管理もしやすいという。どのデータセンターも同じソフトやデータを利用できる環境を整備する。1カ所のデータセンターが障害で停止しても顧客企業はITシステムを継続利用できる。


トロント大、AIで開花、「深層学習」長い雌伏も支えた、グーグルなどに人材輩出。

 カナダのトップ公立校、トロント大学人工知能(AI)研究の人材育成で頭角を現している。地道な基礎研究へのサポートが花形研究者を生み、その教え子たちは様々な業界でAI開発の最前線に立つ。IT大手が相次ぎAI関連の研究拠点をトロントに開設するなど、地域活性化のエンジンにもなった。政府はAI産業育成を国の成長戦略の中核に据えており、同大が担う役割も重みを増しつつある。
 オンタリオ湖に面して広がるトロント市中心街。トロント大のメインキャンパスに隣接する非営利インキュベーション施設「MaRSヘリタージ・ビルディング」の7階に、AI研究の中枢である「ベクター研究所」が入居する。
 緑の広場を見下ろすガラス張りのオフィスには何列も机が並び、様々な企業や大学から研究者が出入りする。
 同研究所はトルドー内閣が2017年、1億2500万カナダドル(約106億円)の予算を投じて打ち出した「汎カナダAI戦略」で設立された3カ所の研究拠点の一つ。政府と地方自治体、グーグルなどの民間企業30社が出資して昨年開設した。
 同研究所を率いるのが「AIのゴッドファーザー」(同大)の異名を持つジェフリー・ヒントン名誉教授とその門下生だ。ヒントン教授はAIが飛躍的な発展を遂げるきっかけとなった「深層学習(ディープラーニング)」と呼ばれる概念を実証し、実用化への道筋を固めた。
 「深層学習」の概念は80年代から存在した。だが、実際に検証が進むには、膨大なデータを処理できる高性能なコンピューターの普及を待つ必要があった。同分野の研究は長年成果を出せず「異端」視されてきたという。それでもこだわり続けたヒントン教授の研究を、約30年にわたりサポートしたのがトロント大だ。
 同大は学部・大学院を含め学生数9万のマンモス校だ。設立50年の歴史を持つ同大コンピューター科学(CS)学部は学部生2000人、博士・修士課程250人を抱える。今やAIの可能性を一変させたヒントン教授の「深層学習」の研究も、同大で無数に進められる基礎研究の一つにすぎなかった。
 日本経済新聞とエルゼビアの共同調査によると、12~16年のAI関連論文の引用回数ランキングで、トロント大はMITやグーグルを抜いて世界6位にランクインした(東京大学は64位)。
 「深層学習」の急速な発展により、「異端」の研究者だったヒントン教授と教え子たちはIT業界の大企業に招かれ、今やAI研究開発の第一線を担う。「トロント大学を『業界地図』に載せた」(研究とイノベーション事業室のゴエル室長)立役者のヒントン教授自身も13年にグーグルに入社。
 変化が速いAI研究の分野で世界最先端を維持するため、同大は現場で企業が直面する課題の取り込みに力を入れる。
 修士課程の「コンピューティング応用」プログラムは、8カ月の大学での研究と、同期間の企業研修を組み合わせたコース。実地で学んだ内容を教授や学生と共有することで、企業の開発動向や現場の課題を学生や教授陣と共有できるメリットがある。10年前の立ち上げ当時に6人だった履修生は、17年に58人に増えた。
 大学のAI研究の躍進は、トロントの街も変えつつある。同市内には過去2年でグーグル、ウーバー、アマゾンなどがAI関連の研究拠点を相次ぎ開設。5月には韓国サムスンもAI研究所を新設し、トロント大のディッキンソン教授が研究を率いると発表した。
 ただ、「米大手企業の人材獲得競争で、カナダの産業育成につながる現地企業やスタートアップにAI人材が回らない懸念がある」(ベクター研究所のリチャード・ゼメル研究部長)。トロント大学では、AI研究を目指す学生の受け入れ拡大に向けた教員の確保や施設整備が喫緊の課題という。


AIの会話認識、5年でヒト並み、米マイクロソフト開発責任者。

 米マイクロソフト人工知能(AI)戦略や研究開発を統括するハリー・シャム上級副社長が来日し取材に応じた。対話型AIの一種である「ボット」が企業経営に不可欠になると述べ、多様なAIが共存する社会が来ると予測した。与えるデータ次第で偏見を持ったAIが生まれるといったリスクにも言及した。
 AIを取り巻く環境について「クラウドによるコンピューター能力の向上、膨大なデータ、機械学習の躍進が重なり、AIの進化が加速している」と指摘。「会話の認識は5年で、画像の認識は10年で人間並みになる」との見通しを示した。
 応用分野として自動運転やロボットに注目が集まるが、「AIの究極の姿はデジタル・インテリジェント・アシスタントだ」と語った。人と対話しながら生活や仕事に必要な作業をこなすAIアシスタントは同社のほか、アマゾン・ドット・コム、グーグルなどが開発や普及に力を注ぐ。
 ただ、シャム氏は「近い将来に1つのシステムが全ての問題に対応するのは難しい。得意な分野ごとに分岐する」とし、仕事に関する用途に強いマイクロソフトと、日常生活の分野が得意なアマゾンが、AI同士の連携を決めたのは自然な流れと説明した。
 企業にとってボットは直接、顧客とつながる手段となり、好みやニーズの把握に欠かせないと同氏はみる。自動車メーカーが車内でドライバーと対話し情報提供するボットをつくったり、小売業者がネット通販用に接客ボットをつくったりすることが考えられる。「マイクロソフトは自社用だけでなく、他社のボットの構築や運用も手がける」と、ここに商機があるとした。
 IT(情報技術)大手がデータを独占してAI開発を進め競争を妨げているのではとの指摘には「企業はそれぞれの業務で発生する独自のデータを持つ。マイクロソフトはそういう知識を整理する手伝いができる」などとかわした。
 欧州連合(EU)が施行した一般データ保護規則(GDPR)については「EUは正しい」としたうえ、「マイクロソフトは2年以上前に技術開発の努力を始めた」と話した。データの所在を追跡したり、暗号化したデータを機械学習に活用したりする技術だという。
 一方、AIには高い信頼性が求められる。マイクロソフトは開発や法務などの代表者が十数人参加する社内委員会を設け、プライバシー保護などの観点から出荷する製品やサービスを審査しているが、なお難題は残る。

 

スクラムベンチャーズ代表宮田拓弥氏――米2社に見たAI革命(WAVE)

 先月、フェイスブックとグーグルという、現在のテクノロジー業界をリードする2社の開発者向けカンファレンスがシリコンバレーで相次いで開催された。いずれのカンファレンスでも発表の中心にあったのは「AI」、すなわち人工知能だ。
 フェイスブックでは、アップした写真に写っている友達の自動タグ付け、外国語の投稿の翻訳など我々が日常的に目にする機能に加えて、AIにより毎日、数百万という規模で作成されるフェイクアカウントの発見、アルカイダイスラム国関連の投稿の削除(99%が事前削除に成功)などが行われているという。
 一方のグーグルではAIを使ったバーチャルアシスタント「グーグルアシスタント」の利用が広がっている。AIスピーカーの「グーグルホーム」だけでなく、テレビ、ヘッドホン、食器洗浄器など5000種類以上のデバイスに採用され、すでに5億台以上が出荷されているという。世界中の人々が、日常的に機械に向かって「OK Google」と話しかける時代がやってきたのだ。
 そして今回、両社から「ついにAIもここまで進化したか」と感心させられる技術が発表された。
 グーグルの新機能「Google Duplex」では簡単な指示をするだけでAIが予約などの電話を代わりにかけてくれる。傘下のディープマインド社が開発した、自然に合成音声を生成する技術「Wavenet」をベースにしており、詳細な会話データを用意することなくAIが自動で音声を合成し、巧みに会話を組み立てる。
 デモでは散髪やレストランの予約などを非常に自然な声で時間、メニュー、人数の指定などのかなり複雑なやりとりを正確にかつ巧みにこなしていた。もちろん応対している側の店員は自分がAIとしゃべっていたとは気づいていない。
 フェイスブックは新しいVR(仮想現実)ヘッドセット「オキュラス Go」を発表した。VRの感覚をよりリアルにするために、バーチャルな映像をAIでリアルにする取り組みを公開した。デモでは実際の家の中の映像とAIで再構築したバーチャル映像が比較され、角度まで考慮して鏡の中の写り込みまで正確に再現していた。最後に答えを聞くまでは全く見分けが付かなかった。
 グーグルがそれまでの「モバイルファースト」から「AIファースト」を宣言してからわずか2年。AIは急速に我々の生活に浸透しつつあり、かつ信じられないスピードで進化をしている。
 AIの進化の一つのネックとなっていたのが「教師データ」だ。AIに正解を教えるためのデータの数のことだ。これも今回、フェイスブックのユーザーがインスタグラムにアップする画像とそのハッシュタグから自動で教師データを作り上げる仕組みを発表した。この仕組みにより一気に35億枚のハッシュタグ付きの画像が教師データに活用できるようになり、ユーザーがインスタグラムを使えば使うほどAIが進化するループ(循環)が完成した。
 2045年に来ると言われている「シンギュラリティー」、いわゆるAIが人間の知性を超えるタイミングの足音が聞こえ始めている。
 日本と米国でスタートアップを複数起業後、ミクシィアメリカの最高経営責任者(CEO)を経て、2013年にスクラムベンチャーズを創業。50社超の米国のスタートアップに投資。

 


AI使う健康事業募集、大阪府

 大阪府はヘルスケアに人工知能(AI)などを組み合わせた新たなビジネスの創出を支援する。スタートアップ企業や個人からビジネスプランを募り、健康ビジネスの専門知識を持つ中小企業診断士らがプランの内容向上に協力する。半年かけて優秀な10件を選抜し、その後3カ月で集中的に事業化を支援する。
 「健康寿命延伸産業アクセラレータープログラム」として19日に大阪イノベーションハブでキックオフ・セミナーを開く。AIやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術を生かす分野のほか、健康経営支援、保険外介護予防の3つの分野別にビジネスプランを募集する。大阪でビジネス展開の予定があれば、本社所在地は問わない。
 応募した企業や個人は7~9月に専門家による3回の講習を受け、個別に協力を得ながらビジネスプランを磨く。府は書類と面談による審査で支援先を10件に絞り込む。12月にはプレゼンテーションによるコンテストも開く。
 選抜後の具体的な支援について大阪府は「効果の科学的な裏付けを得るために大学や研究機関を仲介するなど、ヘルスケア産業に特化した支援を準備している。まず60件以上のプラン応募を目標にする」(産業創造課)という。


毎秒20京回、最速スパコン、米国立研、中国から首位奪還視野。

 米オークリッジ国立研究所は世界最速のスーパーコンピューター「サミット」を開発した。計算速度は理論上、毎秒20京回(京は1兆の1万倍)で、これまで最速の中国の「神威太湖之光」を抜いて首位を奪還できるとしている。米国のスパコンが首位に立てば2012年の「タイタン」以来。
 サミットの開発について、米エネルギー省のペリー長官は「科学、経済の発展や国家安全保障に資する」と話した。世界各国は毎秒100京回の計算ができる「エクサ級」のスパコンの開発でしのぎを削っており、同研究所は「これを弾みに21年までに完成させたい」としている。
 米国はサミットを、天文研究や新素材の開発に役立てるほか、人工知能(AI)へ応用して病気の治療法確立にもつなげたいとしている。
 17年11月に発表されたスパコンの世界ランキング最新版では、中国が1、2位を独占。中国はこれら二つのスパコンで13年から首位を守ってきた。
 日本は実際の計算速度で「暁光」が4位に食い込んだ。暁光を開発したペジーコンピューティング(東京・千代田)の前社長らは国の助成金をだまし取った詐欺罪などに問われて公判中の状況だ。


シンギュラリティ大学上級フェロー、ジョナサン・ノウルズ氏――技術の飛躍に心構えを(世界デジタルサミット)
失敗に学び リスク恐れず
 ――シンギュラリティ時代には「指数関数的な心構え」を持つことが大切と提唱しています。指数関数的な心構えとは。
 「技術が飛躍的に進展することを理解し、行動しようとする姿勢のことだ。30歩歩くことを想像してほしい。仮に1歩ごとに進める距離が指数関数で伸びるとしたら、30歩で地球を26周できる。とりわけ重要なのは最後の1歩で地球を13周できることだ」
 「この例えと同じくらい、技術は飛躍的に進展する。宇宙技術や3次元プリンターなどの技術を組み合わせ、3次元プリンターで巨大な無線LANの基地局を宇宙に作り出し、地球全体がインターネットにつながる空間にするような時代も訪れるだろう」
 「この飛躍的な進展を前提にすれば、人や組織には早いうちにリスクを取り、失敗を大切にする姿勢が求められる。もちろん、心構えを持てない組織もある。象徴的な例は米イーストマン・コダックだ。1975年にデジタルカメラの技術を生み出したが、ビジネスにならないと判断してしまった。当時ではデジカメの技術は早すぎたかもしれないが、指数関数的な心構えがあればやってみようと思えただろう」
 ――最近の技術進歩を支えた、18カ月で半導体の集積効率が倍増するという「ムーアの法則」は限界に近いと言われます。指数関数的な技術の進展は続くでしょうか。
 「全く心配ない。ある技術が限界と言われるころには別の技術がいくつも登場している。現状では取るに足らない技術も指数関数的に進化する。例えば航空技術はわずか数十年で発達した。逆に急激な進化が続くことを恐れる必要もない。人工知能(AI)が進化し、感性の領域にも応用が進みつつあることに警鐘を鳴らす人がいる。確かにリスクはあるが積極的にとらえるべきだ。間違ったとしても課題に気づける」
 「人間という生物は心配性だからこそ25万年前から生き延びてきた。否定的なバイアスにかかりやすいのは仕方ないが、歴史を見れば指数関数的な技術の進化によって世界は着実によくなっていることも確かだ」
 ――シンギュラリティ大学では何を教えているのですか。
 「指数関数的な心構えを持ち、世界をよりよく変えたいと考える人たちに、様々な技術の最前線で何が起こっているのかを伝えている。米航空宇宙局(NASA)のシリコンバレーセンター内にあるキャンパスで、量子コンピューター、ブロックチェーン、デジタル生物学などを7日間、集中的に学んでもらう。受講者は本気で世界を変えようとしている人ばかり。修了者には医薬品をドローンで届けるプログラムをアフリカで取り組む人たちもいる」
 ――指数関数的な発達が続く今後、日本のビジネスパーソンや企業には何が求められますか。
 「日本にはものづくりの現場などで数多くの革新をもたらしてきた歴史がある。ソニーのaiboが象徴するように、今後さらなる発展が見込めるAIやロボティクスの分野でも世界をリードする立場になれる。革新を生み出すため、米国や世界各国の人、組織と互いに学び合い、アイデアを結合させる取り組みを推進してほしい」

 

オムロン、世界の技術営業拠点2倍に。

 オムロン大阪市で事業戦略説明会を開いた。2020年度に売上高を1兆円に拡大する計画で、工場自動化に使う制御機器とヘルスケア事業を2本柱に据えることを強調した。制御機器関連では18年度に顧客に機器を直接案内する技術営業拠点を前年度比約2倍の世界35拠点に拡大するほか、7月には人工知能(AI)を使って工場の設備の異常を監視するサービスも始める。
 ヘルスケア関連ではウエアラブル血圧計端末を使って、睡眠のデータを計測する。その上でデータを蓄積、解析し突発的な疾患を予防するサービスも米国で始める。


東芝三井物産が提携、デジタル化、提案型ビジネス拡充。

 東芝は13日、企業のデジタル化に対応した提案型ビジネスで三井物産と提携すると発表した。東芝の孫会社、東芝デジタル&コンサルティング川崎市)に三井物産が20%出資する。出資額は数億円程度とみられる。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)を既存事業に組み合わせることで提案型ビジネスを拡充する。
 10月1日付で出資手続きを完了する予定。東芝デジタル&コンサルティングへの出資比率は東芝が30%、デジタル事業会社の東芝デジタルソリューションズが50%、三井物産が20%になる。
 発電や物流システムなど社会インフラ事業にビッグデータ解析などを盛り込むことで、顧客の課題を解決するビジネスモデルを目指す。東芝は4月1日付で「デジタルトランスフォーメーション戦略統括部」を新設。デジタル化を中心とした顧客企業のビジネス変革を支援する事業を策定中の新中期経営計画の柱に据える。三井物産も中期計画の中でデジタル技術を活用した新たな価値の創造を掲げており、両社で事業拡大を加速する。

 

欧州IT見本市「CeBIT」開幕、AI・ロボ、人と協働――IBM、カールスルーエ工科大。

IBM 宇宙の実験手伝い
カールスルーエ工科大 声を認識 作業補助
 欧州最大級のIT見本市「CeBIT」がドイツ・ハノーバーで開幕した。フォルクスワーゲン(VW)やSAPなどドイツ企業を中心に、人工知能(AI)やクラウドなど最新のデジタル技術を披露した。
 「この板を外したいんだけど」「オテツダイシマス」。作業員の声と姿を認識し、緑色の双腕ロボットが動き始めた。板を支える場所や手が何本必要かをAIで判断し、作業を手助けする。
 独カールスルーエ工科大学(KIT)が披露したAIを搭載したロボット「ARMAR―6」のデモだ。カメラとセンサーが周囲の状況や人の声を把握し、経験を通じて新たな仕事を覚えていく。タミン・アスフォー教授は「事前のプログラムは最小限でいい」と話す。
 米IBMは国際宇宙ステーション(ISS)で利用される予定の球形ロボ「サイモン」を展示した。同社のAI「ワトソン」を搭載し、宇宙飛行士の宇宙での実験の手伝いをする。重さは5キロで無重力空間で自由に姿勢を制御し、呼べば近くに来て実験の手順や記録をしてくれる。
 映画「2001年宇宙の旅」に登場する「HAL」のようなAIの暴走を防ぐため、背面には手動で電源をオフにするボタンを備える。
 自動車関連の展示も目立った。VWは完全自動運転車のサーファー向け派生モデルや量子コンピューターを使った取り組みを紹介。スタートアップのe.GOモバイルは小型の電気バスを出展。クラウドにつながり、交通状況や利用者の要望に応じて運行する。
 SAPは会場に高さ64メートルの観覧車を持ち込んだ。同社のソフトを使ってテーマパークの運営を最適化するという設定だ。来場者は観覧車に乗りながら同社のAIやクラウドについて説明を受けることができる。
 CeBITはこれまで3月だった開催を6月に移し、伝統的な法人向けITイベントから、スタートアップを含めたデジタル交流イベントに衣替えした。DJイベントを開いたり、野外スペースに休憩できる場所を多く設けたりするなど若い世代の来場増加を狙う。米ラスベガスの家電見本市「CES」や、欧州で注目度が高まるポルトガルリスボンの「ウェブサミット」を意識しているようだ。
 一方で、記者会見の多くがドイツ語のみで実施されるなど、海外の報道陣から不満が上がった。企業側が出展する展示会を選別する動きは広がっており、新しい立ち位置の模索が続きそうだ。
 日本企業にとってもCeBITとの距離感は難しくなった。17年は日本がパートナー国で安倍晋三首相が出席し、117の日本企業・団体が大挙したが、今回は29の企業・団体にとどまった。日本貿易振興機構ジェトロ)が企画した中堅・中小企業中心のパビリオンを除けば、ソニーセミコンダクタソリューションズや東京都など7社・団体だけだった。

 


上海で見本市CESアジア、アリババ・百度・ホンダ…、AI・自動運転をPR。

 中国の家電IT(情報技術)見本市「コンシューマー・エレトロニクス・ショー(CES)アジア」が13日、上海市で始まった=写真。開催は4回目で、出展企業は3年で2倍の500社に増えた。人工知能(AI)や自動運転、仮想現実(VR)など、先端テクノロジー分野の大手からスタートアップ企業まで幅広い企業が顔をそろえた。
 中国電機大手、海信集団(ハイセンス)の周厚健董事長は講演で「中国のハイテク産業は猪突(ちょとつ)猛進の勢いで成長している」と話した。「CESアジア」は13カ国・地域から企業が出展し、7割を中国企業が占めている。開催期間に4万人が訪れる見通し。新しいテーマと位置づけたのがAIで、アリババ集団や検索大手の百度が技術をアピールした。
 米国のCESと同じく、自動運転やあらゆるものがネットにつながる「IoT」も来場者の関心が高い。自動車技術を紹介するブースでは中国の電気自動車最大手、比亜迪(BYD)や韓国の現代自動車が参加した。日本からはホンダと三菱電機が自動運転の関連技術を出展している。

 


外国人材、KYOTOへ、LINEのAI拠点、800人応募(NEWSFOCUS)


 LINEは13日、人工知能(AI)を中心とする新しい開発拠点「LINE KYOTO」を京都市に開いた。技術者の募集に1000人が応じ、800人は外国人だったという。AI分野の人材獲得競争が世界的に激しくなるなか、「KYOTO」ブランドが効果を発揮した。
 「日本語が公用語なのに英語しか通じない」。和装で登場した出沢剛社長は同市内でこう冗談めかした。
 LINEのソフトウエア開発拠点は東京都、福岡市に続いて3カ所目。「ユニークな街に住みたい」と、福岡では半数を外国人が占めている。伝統文化や寺社が多い京都にも設けると2017年9月に発表していた。
 まずビルの2フロアで18人体制で稼働した。外国人は12人で、5人は東京と福岡からの転勤。新たに採用した7人の出身国・地域はフランス、メキシコ、中国、香港、台湾。「月に7500万人の利用者がいるサービスの開発に携わりたい」と、業務用を開発していた人が来日した例もあるという。福岡から移ったドイツ出身の男性(34)は「街から様々なインスピレーションを受ける」と話していた。
 LINEは18年中にAIスピーカーの技術仕様を公開し、企業が自由にサービスを開発できるようにする計画。京都にはインターネット系の研究開発拠点が少ないこともあり、京都大学などの大学出身者と合わせて3年後にも100人体制を目指している。今夏には月40万円の報酬で学生を受け入れるインターンシップ(就業体験)も開く。
 「オフィスとしてふさわしい場所」。13日にはトヨタ自動車がAI開発の新会社のオフィスを東京・日本橋に置き、国内外から即戦力となる技術者の募集を始めたと発表した。限られた技術者を日本に呼び込むには立地戦略も重要かもしれない。

 

開発人材集う2800万人、マイクロソフト、ギットハブ買収、開放型で技術革新狙う。

 ソフトウエアのもととなるソースコードを技術者が共有できるサイトを運営する米ギットハブが13日までの2日間、日本で技術者向けイベントを開いた。同サイトは全世界で2800万人ものIT(情報技術)開発者が集まるほど力を持つ。同社を巡っては米マイクロソフト(MS)が巨額買収すると発表した。MSは技術者が自由に行き交う場を取り込み、人工知能(AI)などに関わる複雑なソフト開発競争を勝ち抜く考え。
 「技術者が楽しんでソフトウエア開発をできる環境をつくるのが役割だ」。ギットハブのジェイソン・ワーナー技術担当上級副社長は日本経済新聞の取材にこう語った。
 2008年設立のギットハブが運営するサイトには、複数の技術者が手掛けたソースコードが無償で公開されている。誰でも自由に参照、改良でき、ソフトウエアを共同開発する場として全世界で利用されている。
 企業がサイト内にソースコードを保存する場合などに代金が必要。こうした一部有料サービスが同社の収益となっており、損益は黒字で推移しているとみられる。
 ソースコードの更新履歴や、誰が作業したのかも分かり、オープンな開発プラットフォーム(基盤)として多くのプログラマーを引き寄せている。国内利用者はこの3年間で3・5倍増えており12、13日のイベントには800人が参加した。
 履歴書の代わりにギットハブのIDを申告――。フリーマーケットアプリ大手のメルカリ(東京・港)は、技術者の採用にギットハブを使う。過去にギットハブ上で作成したソースコードが評価されれば、通常の選考過程で課される技術課題が免除される。採用担当者は「技術者としての実績が一目で分かる」と明かす。
 ヤフーはソースコードの管理や活用だけでなく、ギットハブを窓口に社外と社内の技術者の接点を増やすことで自社開発力の強化を図っている。ワーナー副社長は「人工知能(AI)や(あらゆるモノがネットにつながる)IoTの領域ではソフト開発が複雑化している」と指摘。自動車のソフトのソースコードの行数は1億行に達するという調査もあるが、ギットハブを使えば「開発工程を単純化できる」(同副社長)という。
 ギットハブは開発者同士が情報をやりとりする交流サイト(SNS)の機能も果たしている。この結果、開発者の強みや能力などの人材データが集まりやすい。
 MSは約75億ドル(約8200億円)を投じた買収による直接的な収益拡大効果について明言していない。だが、外部の技術を取り込んだ「オープンソース」の場に人材が集まることでMSのサービスやソフトの価値を高められるとみている。
 近年MSはソフトウエア開発でオープンソースを強力に推進。「MSはギットハブの中で最も多く活動している企業」(同社のワーナー副社長)とも言われる。
 実際、プログラミング用編集ソフトなどはソースコードを次々と公開し、外部の開発者と改良を繰り返している。MSの基本ソフト(OS)などもオープンソース化が進むとみる関係者もいる。
 もっとも、ソフトウエア開発に必要なクラウドなど自社サービスでギットハブに集まる技術者を囲い込めば、自由でオープンな開発の楽園が侵されることになる。同社をMS色に染めず中立性を保ちながら、投資回収をどう進めるのか。その答えを市場は待っている。

 


AI開発、サムスン急発進、脱・メモリー依存急ぐ、半導体を高速化、創薬にも活用(Asia300)

 韓国サムスン電子人工知能(AI)の研究開発を一気に本格化する。推進役となる幹部ポストと海外3カ国の開発拠点を新設し、2020年までに技術者1千人体制とする。AI向けに情報を高速処理する半導体や、新薬の開発につなげ、半導体モリーに続く新たな経営の柱を育てる。事実上のトップ、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が主導し、出遅れが指摘されるAIで巻き返しを狙う。
 サムスン関係者によると、AIなどの新分野や新事業の推進役となる最高イノベーション責任者(CIO)職が5月に設けられ、米国人のデービット・ウン氏が就いた。ウン氏は米グーグルでAIなど先端技術を担当し約6年前サムスンに入社。スタートアップとの連携や投資を手がけてきた。
 CIOの役割についてサムスン幹部は「AIや第4次産業革命などをテーマに将来の新事業育成にあたる」と説明する。CIOの新設は対外的には公表していない。
 同社は5月下旬に、英国、カナダ、ロシアにAI研究センターを相次いで開設。本国の韓国と米国を合わせた5カ国で研究開発を進める体制に改めた。英国はデータ解析、カナダは音声認識、ロシアは物理学との連携といった具合に各国の強みを研究にいかす。足元の技術者数は明かしていないが、2年後に韓国で600人、海外で計400人の人員を計画する。
 併せてAI研究の世界的権威とされる米プリンストン大学のセバスチャン・スン教授と、米ペンシルベニア大学のダニエル・リー教授を招いた。両教授はこれまでのポストを離れ、サムスンに所属するという。
 AIを巡ってはトヨタ自動車が3月に自動運転技術を開発する会社の設立を発表しており、1千人規模とする方針。米国の開発拠点トップには著名研究者を招いた。サムスンはAI技術者が数千人規模とみられる米IT(情報技術)大手に及ばないが、世界大手メーカー並みの体制を整える。
 同社は日本企業の人材を厚待遇で取り込み、液晶パネルや半導体の技術力とシェアを急速に高めた。17年12月期の連結営業利益は53兆ウォン(約5兆3千億円)。資金力を生かし、優秀な人材を囲い込む光景がAIでも再現される可能性がある。
 サムスンはAIの研究開発を進めることで、AIの基幹技術である深層学習など向けに、データの処理速度を3~4倍に高める「AI半導体」を開発する。画像などのビッグデータを高速処理できるAI半導体は、高速通信規格「5G」の実用化やそれに伴う技術革新の中核を担うとされる。
 17年に米インテルから半導体首位の座を奪ったサムスンは、DRAMなどのメモリー半導体部門の主力。最近はメモリーとは別に半導体の受託生産にも力を入れる。近年は米アップルをはじめ自社製品やサービスに最適な半導体を独自に設計する企業が増加。サムスンはAIをテコにこうした企業からの受託生産事業を拡大し、同事業で世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)を追う。
 自動運転関連の自動車部品やバイオ医薬の創薬でもAIの活用を探る。サムスンは新たな収益の柱に自動車部品とバイオを掲げているが、足元では成長鈍化懸念が強まっており、AIによりテコ入れをめざす。
 サムスンは足元の連結営業利益に占める半導体部門の比率が7割を超え、このうち9割がメモリーとされる。稼ぎ頭のDRAMについては、中国政府が独占禁止法違反の疑いで同社などを調査しており、関係者によると「5月31日に立ち入り調査を受けた」という。
 DRAM市況の先行きにも不透明感が漂い、メモリーに依存する経営からの脱却は時間との戦いに突入しつつある。
李副会長が主導
人材確保、後発組に難題
 韓国サムスン電子は、人工知能(AI)の分野では後発だ。2018年3月に発売した高級スマートフォンスマホ)「ギャラクシーS9」に独自のAIを搭載しているが、音声認識の精度はいまひとつ。米グーグルなどとは、技術力に差がある。
 ここにきてAI研究センターの開設や技術者のスカウトを矢継ぎ早に進める裏には李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の指示がある。李氏は韓国の前大統領とその友人の国政介入事件への関与を問われ、17年2月から約1年間、拘束された。現在も上告審を控え、経営の表舞台に出ないようにしている節がある。一方で釈放から間もない3月以降、欧米やアジアを歴訪。6月も日本や香港に出張したとされる。
 目的は先端技術に詳しい経営者や有識者との交流だ。李氏はAIと次世代高速通信規格「5G」に対する関心が高く、積極的に情報収集している。
 AI分野での課題は人材確保だ。IT大手に加え、トヨタ自動車などのメーカーも開発体制の強化に動き、AIは人材獲得競争の最も激しい分野となった。後発のハンディを乗り越え、目的に合った優秀な人材を確保できるかがまず試される。
 

過疎地で自動運転バス、IT戦略閣議決定

 政府は6月15日、IT(情報技術)分野の重点策をまとめた「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を閣議決定した。自動運転の実証実験を進め、2020年度までに交通の便が悪い過疎地で無人の自動運転バスの運行開始を目指す。交通事故が頻繁に起きる場所などのデータを公開し、自動運転の技術向上につなげる。
 ビッグデータで農業の生産性を高めるシステムの運用を19年度から始める。トラックの空き状況や小売店の販売実績といったデータをもとに農家が収穫時期をずらし新鮮な商品を出荷できるようにする。人工知能(AI)を使って港湾での物流を効率的にし、搬出入の渋滞を和らげる新システムを20年までに整備する。
 住所変更や法人設立など行政手続きは「100%デジタル化」を目指す。書類提出や窓口での本人確認を省き、オンラインで手続きが済むようにする。行政手続きの電子化を進める「デジタルファースト法案」を早期に国会に提出する方針も明記した。


勤務シフト、自動作成、吉野家高島屋、時間半減。

 外食、小売り大手が勤務シフトづくりを自動化している。吉野家ホールディングス(HD)はセコムなどと人工知能(AI)を使う管理ソフトウエアを開発、秋から導入する。店長がシフト調整にかける時間を半減させる。リーダー役の負担を減らし、従業員の指導などに力を割く。
 外食、小売り企業は短時間勤務のシフトを増やしている。育児や介護の合間に働きたい社員の要望をすくいあげたり、アルバイトを採用しやすくしたりするため。店長らリーダーのシフトづくりの負担は増している。
 シフトづくりを自動化できれば、リーダーは浮いた時間でアルバイトの教育を充実させたり、接客サービスの改善策を練ったりできる。
 牛丼店「吉野家」では、半月のシフト決定に10日間の断続的な作業が続く。出勤したスタッフによるシフト表への書き込みを待ち、他店に応援を求める。吉野家HDはセコムやAIスタートアップ企業のエクサウィザーズ(東京・港)とシフトの自動作成ソフトを開発。店長のシフト作成時間を半減したいという。
 従業員の出勤の実績や休日の希望を入力し、AIに一定のシフトを作らせる。応援要員の候補も選ぶ。埼玉県の81店舗で採用し、全国に広げる。
 高島屋は9月、スタッフが勤務時間帯の希望を端末に入力するとシフトができるアプリを一部店舗で採用する。従来は勤務希望の時間帯を紙に記入して調整していた。8時間程度かかったが、半分になると見込む。
 ビックカメラは2月までに全店で、勤務希望の入力をもとにする自動作成システムを入れた。従来は1フロアに必要な人数を割り出し、経験と勘で作っていた。ある店舗ではフロア責任者が1カ月の1フロアのシフトを2時間半かけて作っていたが、新システムでは15分間の微修正で済んだ。
 日本のサービス産業は生産性の向上が課題で、IT(情報技術)の活用が欠かせない。日本生産性本部によると、サービス関連分野の16年の就業1時間当たり付加価値額(売上高から原材料費などを除いた金額)は製造業に比べて大幅に低くなっている。

 

 

 

 

週刊人工知能ニュース6月3日から9日

 

企業の人材配置、AI使って助言、電通国際情報

 電通国際情報サービスは、人工知能(AI)を使って、企業の人材配置を支援するシステムを開発したと発表した。従業員の経歴や資格などの人事データを分析し、従業員が能力を発揮できる異動先を助言する。これまで人事担当者の経験や勘に頼っていた人材の登用や配置、育成などの判断を客観的なデータをもとにできるようにする。
 同社が販売する人事情報管理システムの新機能として、9月に提供を始める。

 

LIFULL「あのマンション気になるなー…」、カメラかざして物件情報、AI活用、まずiOS向け、家賃や間取りなど表示。

 不動産情報サイト「ライフルホームズ」を運営するLIFULLは、スマートフォンスマホ)のカメラでマンションを写すだけで画面上に家賃や販売価格などの物件情報を表示するサービスを始めた。散歩中などに気になる物件を見つけた際、直感的に情報を集められるため、利用者の満足度を高める。
 同社が提供する物件探し専用アプリに拡張現実(AR)を使った新機能「かざして検索」を追加した。アプリを通じてカメラを起動し興味のある物件の外観を写すと、外観画像や撮影した位置、カメラを向けている方角などから物件を特定。スマホ画面上に間取りや築年数、駅からの距離や家賃、販売価格などの物件情報を表示する。
 物件の特定には人工知能(AI)を活用する。スマホのカメラに映った画像から建物が写っている範囲をAIが判別。どの物件を映しているのかを、画像やスマホの位置情報、カメラが向けられている方角などの情報をもとに導きだす。物件情報はホームズに登録されているデータを表示する仕組みだ。
 賃貸用のマンションやアパート、新築分譲マンションと中古マンションが検索対象。ホームズに登録されている全国100万件の物件情報が検索対象となる。戸建て物件は検索できない。

 

AIで無人販売・店舗警備、イオンディライト、中国に研究拠点、日本で活用視野。

 イオン子会社で施設管理大手のイオンディライト人工知能(AI)を活用して店舗の効率化を進める。AI技術を持つ中国のスタートアップと設立した研究開発(R&D)拠点を5月末に中国・上海で開業。AIを活用した無人での商品販売や警備システムなどのノウハウを蓄積するのが狙いだ。アジア市場開拓の武器にするとともに、日本での活用を視野に入れる。
 「AIやIT(情報技術)を活用した防犯システムやロボットを開発して、店舗の省人化など大幅に生産性を向上させる」。5月30日、イオンディライトとディープブルーテクノロジー(深蘭科技、上海市)の合弁会社「永旺永楽深蘭科技」の開業式典で、イオンディライトの浜田和成社長は100人以上の参加者を前にこう意気込んだ。
 イオンディライトが今回手を組んだディープブルーはアリババ集団も出資しており、AIや無人店舗、ロボットなどの技術を持つほか、自動運転などの研究も進めている。中国国内にはロボットなどを製造する複数の生産拠点も持つ。
 30日の発表会ではディープブルーの技術を活用し、カメラの顔認証技術などを活用して無人で商品を販売する「ディライト・ゴー」のデモの様子を公開した。大型の冷蔵庫の取っ手の近くに手のひらの掌紋が認証できるセンサーが設置されており、事前に自分の掌紋と「支付宝(アリペイ)」などの決済サービスを登録すれば使用できる。
 手のひらをかざすと「カチャッ」という音が鳴り扉が開く。棚に並ぶイオンのプライベートブランドトップバリュ」のミネラルウオーターを取り出した時点で、取り付けられたカメラが商品を認識し、すでに決済は自動で完了している。
 このほかにも菓子などを乗せたロボットが「売り子」のようにフロアを自由に動き回り、顧客に商品を販売する技術も披露された。今後は清掃ロボットやAIを活用した防犯カメラで来店客の異常などを監視する警備システムなどの開発と商品化に乗り出す。
 まずは来春にイオンが江蘇省常熟市に開業予定のイオンモールの子供向けの衣料品などを販売する区画に警備システムと清掃ロボットを導入する。実用化のめどがつけば中国のイオンの総合スーパーなど約80店に順次展開する。
 イオンディライトの中国事業の売上高の約半分は既にグループ外の顧客だ。日系の電機メーカーなどの工場や、中国の地下鉄などの設備管理を請け負っている。こうした顧客網を生かして、「永旺永楽深蘭科技」で開発した商品を中国国内で販売していく。
 ディープブルーの陳海波最高経営責任者(CEO)は「(イオンとの)今回の協業をきっかけに日本市場の開拓にもつなげたい」と意気込む。イオンディライトは新会社で培った技術を生かして、東南アジアでの事業拡大にもつなげるほか、人手不足感が強まっている日本での活用にもつなげたい考えだ。

 

金型の調整、AIが指南、IBUKI、熟練の思考、モデル化、必要な人員、8割削減。

 プラスチック金型製造のIBUKI(山形県河北町、松本晋一社長)は、加工時の不具合を検知し、加工条件の調整法を自動で示す金型を開発する。熟練技術者の思考をモデル化して人工知能(AI)に記憶させる。熟練者でなくても加工時に細かい調整ができるようになり、必要な人員は現在の2割程度にできる。2021年4月以降の販売開始を目指す。
 開発しているのは「機差・環境差推定システム」。バリの発生や離型不良といった不具合が起きた際に、何が起きたかを言葉で、不具合が発生した際の数値と合わせて入力すると、AIがどんな不具合が起きているかを推定して射出圧力の調整などの対策を示す。AIが示した方法をもとに加工条件を調整する。
 金型設計などに関する言葉同士の関係性を表す図をAIに入力し、成型条件などの数値データとひもづける。不具合の発生メカニズムをパターン化でき、AIが不具合への対応策を指示できるようになる。
 図を作製する過程では、熟練技術者に金型設計などの知見をヒアリングする。技術者の思考などをAIで活用できるようにする事業などを手掛けるグループ会社と協力して作製する。使用する樹脂によって流れやすさなどの条件が異なるため、特性が違う樹脂ごとに図を作る。新しい金型の条件設定の作業に携わる人数が現在の2割程度に抑えられるという。
 同事業は中小製造業の研究開発を支援する、経済産業省の「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択され、補助金を受けた。17年度から19年度までの総事業費は約1億3千万円。
 これまで、製造した金型を金型メーカーが出荷前に検査したときには問題なくても、出荷先の企業で成型する際に、温度などの条件が製造元と異なるために成型不良が出るといったケースがあった。成型する企業の技術者がその都度条件を調整して対応していたが、海外工場で生産する場合などは現地に赴いて調整するのに時間がかかることがあった。
 IBUKIは金型にセンサーを取り付けて金型のたわみなどを検出する金型を開発し、加工条件を数値化している。熟練技術者でなくても適切な加工をできるようにしてきた。
 今後は加工条件の調整だけでなく、金型のメンテナンスまで遠隔でできる仕組み作りも目指す。まずは得意の自動車分野で実験を重ねたうえで、対象とする産業分野も将来はIT(情報技術)機器や医療機器などに広げていきたい考えだ。

 


台車止めずに仕分け、日立、AI判断、時間3割超短縮。

 日立製作所は倉庫や工場で、商品を運ぶ台車が動いたままピッキングできる技術を開発した。これまではピッキングするアーム型ロボットの前で台車は一時停止していた。何を取り出すか事前にカメラで認識し、ロボットの前に来たら即座にピッキングするようにした。台車が一時停止しなくても低速で進んでいる間にピッキングするので作業時間を38%短縮できる。
 倉庫では集荷・配送するための商品、工場では組み立てに必要な部品が台車に乗って運ばれている。これまではピッキングするアーム型ロボットの前で台車が止まり、箱の上からカメラが必要な商品を見分けてロボットに指示し、ピッキングしていた。
 新しい技術は台車がロボットの前を通る前に、カメラが箱に入った商品を認識し、どの商品をどう取り出すのがいいか人工知能(AI)がまず判断する。
 その後、AIを搭載した台車がロボットの前まで減速しながら最適なスピードで動き、AIを搭載したロボットがピッキングする仕組み。
 日立は英エディンバラ大学と共同で、これら3つのAIを協調して制御する技術を開発した。台車が毎秒50センチの速さで動きながら、停止しなくても、必要な商品や部品を取り出すことに成功した。従来のピッキング用アームロボットは商品をカメラで認識するために台車を止める必要があり、作業が遅くなるという課題があった。
 また、商品を正確に取り出すためには箱の中に無作為に積まれている商品が搬送中に崩れた場合に備え、あらゆる傾きを想定した商品形状をAIに学習させる必要がある。
 このシミレーション作業に商品1個当たり、5時間程度かかる。日立はこのシミレーション作業を短縮化し、ピッキング効率を改善することで2~3年後の製品化を目指す。
 インターネット通販の普及で物流倉庫の処理業務が急増しているが、商品の仕分けはまだ人手による作業が中心となっている。
 日立は今回の技術をもとに処理スピードや精度を高めたピッキングロボットシステムを開発し、倉庫や工場の自動化ニーズを取り込む狙いだ。

 

 

AI時代、人は「提案」集中、米国際法律事務所トップに聞く、ポール・ローリンソン氏、カナダ・独に拠点、新事業練る。

 人工知能(AI)の進化は法律事務所に変革をもたらしつつある。契約書の単純なチェック作業などはAIに代替されるなかで、法律事務所に求められる役割はなにか。世界最大級の国際法律事務所、米ベーカー&マッケンジーを率いるポール・ローリンソン・グローバルチェアマン(英国弁護士)に聞いた。
 ――AIがいずれ、弁護士の業務を奪うとの予測があります。
 「技術は人間を代替するものではなく、能力を拡張するものだ。AIを活用すれば、弁護士は機械でもできる単純作業に時間と労力を使わずに済む。いまや法律事務所は紛争解決などの事後的な業務にとどまらず、企業経営者のパートナーとして事業機会創出やリスク回避策などの提案を求められている。単純作業をAIに任せ、付加価値の高い提案に集中することで、事務所の競争力は高まり、より多くの収入を得られるようになる」
 ――事務所にAIをどう取り込みますか。
 「2017年初頭に『イノベーション委員会』を設置し、同委員会を中心に3段階の中長期的な業務改革戦略をたてた。第1段階はAIによる業務の効率化だ。すでに全拠点でAIを契約書やM&A(合併・買収)などの際の資産査定文書の精査に使い始めている」
 「第2段階では顧客企業の新たなサービスモデル構築を目指していくつもりだ。顧客に対して法的な助言をするだけでなく、AIなどIT(情報技術)を使った新事業創出を支援していく。今後2~3年かけて検討を深める」

 

知能の謎を解き明かす(1)東京大学特任准教授松尾豊さん

AI支える深層学習
匠の技を海外へ輸出
  今や「人工知能(AI)」という言葉をメディアで聞かない日はない。東京大学特任准教授で、AIを研究する松尾豊さん(43)は、現在のAIブームのけん引役だ。
 AI自体は実はそれほど新しい技術ではなく、1950年代と80年代に第1次、第2次ブームが到来しました。ただ当時のAIは現実の複雑な問題に対処できるものではなく、やがて下火になりました。現在AIが第3次ブームを迎えたのは、「深層学習(ディープラーニング)」という手法の開拓で、利用の可能性が広がったためです。
 深層学習では人間の脳の働きを模したネットワークを使うことで、膨大なデータからAIが自ら特徴をつかみ出し画像や音声を分類できるようになりました。例えば猫の写真を何枚もAIに読み込ませれば、自ら猫の特徴を会得し、猫の写真かそうでないかを見分けられるようになったのです。
 僕はこの技術が、日本の産業を再生すると期待しています。深層学習ができるAIを組み込んだロボットは、眼前の状況に応じて動けるため、人間の作業の大部分を代替できます。「目」を獲得した機械が誕生するのです。実際に建設、農業、食品加工分野に深層学習を使ったAIを取り入れる研究をしています。建設業界は人手不足が深刻です。目の技術を使えば、機械がその場の状況を見て図面通りに鉄筋を組むこともできるようになるはずです。
 農業分野では、トマトの収穫作業はAIを搭載した機械に向きます。水耕栽培で足場がしっかりしていることが多く、機械を動かしやすいのです。実の色を見極め、適度な力でつかみ、カゴに入れることは、今のAIにとってそれほど難しいことではありません。
  インターネットの分野を席巻したのは、グーグル、フェイスブックなどの米国企業だった。
 この20年、日本はIT(情報技術)分野でぼろ負けしてきました。しかし、機械系は強い。ここに勝機があると考えています。深層学習の技術を機械と結びつけ、あらゆる作業を自動化するのです。少子高齢化による人手不足の解消にもなりますし、輸出促進にも寄与します。
 食の分野への応用も有望です。店での調理、コンビニエンスストアの総菜づくりなどあらゆる作業が自動化できます。
 変わったところでは、「南部美人」という岩手県二戸市の酒造会社と組み、匠(たくみ)の技をAIで再現しようとしています。画像認識技術を使い、発酵過程のデータを分析中です。日本酒は海外でも人気があり、機械化すれば輸出も増やせます。
 AIに学習させれば、日本で行っている作業と同じことを、海外でも機械が自動的に行えるようになります。食品製造の機械化は巨大産業になります。しかも、ニューヨーク、ロンドン、パリなど世界中に持って行って、レシピなども配信すれば新しい食のプラットフォームになるかもしれません。

 

AIやIoT技術、「課題解決へ協創」、世界デジタルサミット開幕。

 人工知能(AI)を軸にした技術革新について議論する「世界デジタルサミット2018」(日本経済新聞社総務省主催)が4日午前、日経ホール(東京・大手町)で開幕した。「シンギュラリティへの挑戦」をテーマにし、あらゆるモノがネットにつながるIoT、第5世代(5G)通信などについて討議する。
 日立製作所の東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は講演で「社会課題の解決は1社だけでは困難。IoTの分野で協創しながら新たな価値を創出する」と他企業との連携の重要性を訴えた。ダイキン工業や自動車用エアバッグダイセルと協業したことに触れながら説明した。デンマークコペンハーゲンで導入した新たな鉄道運行システムや最先端のがん治療などの具体的な事例も紹介した。
 マット・ハンコック英デジタル・文化・メディア・スポーツ相はビデオ出演し「AIを含む最新技術が日英の絆をさらに深める」と述べた。欧州の個人情報保護の新ルール「一般データ保護規則(GDPR)」について「AIを効果的に活用するためにも積極的に対応すべきだ」と指摘した。
 米シンギュラリティ大学のジョナサン・ノウルズ上級フェローは、AIが人間の知性を上回るシンギュラリティについて、「その方向に進んでいることは間違いなく、日々加速している」と話し、遺伝子工学など各分野における技術革新の事例を紹介した上で「テクノロジーの進化は指数関数的だ」と強調した。

 

新薬、創薬期間を短縮、長期に収益貢献、田辺三菱、AIで申請効率化、大日本住友、統括者が一貫進行。

 新薬各社が創薬期間の短縮に力を注いでいる。田辺三菱製薬は承認申請の準備に人工知能(AI)を導入し、事務作業の効率化を図る方針だ。大日本住友製薬は開発部門をまたいだ統括責任者を配置した。後発薬の普及が進み、特許切れ薬(長期収載品)で稼ぐことは難しい。新薬の開発期間を短縮することで販売機会を増やし、収益力強化につなげる。
 田辺三菱製薬はAIの導入を進める。例えば臨床試験(治験)に関して、厚生労働省に承認を申請する作業の一部を人手から置き換える。
 申請資料は1万ページに及ぶことがある。そのうち化合物の科学的な分析データはほぼ定型の文章となるため、AIがこれまでの申請資料をもとに基本的な資料を作成。それをもとに人間が資料作りを進める。
 資料の量にもよるが、治験を終えてから申請まで、これまで半年~8カ月かかっていたものを、2020年ごろをめどに2~3カ月に縮めることを目指すという。
 開発期間を短縮し、競合製品より一日でも早く市場に投入すれば、それだけ売り上げを伸ばす機会も増えるとみる。同社は日立製作所とも連携しており、患者の臨床データ収集にAIを活用する取り組みを進めている。
 大日本住友製薬は17年秋から「プロジェクトリーダー」「プロジェクトディレクター」職を設けた。一貫したプロジェクト進行や戦略提言をするほか、予算の執行権限も持たせて意思決定のスピードを速める。
 これまでは開発の前期・後期で組織が分かれており、引き継ぎや情報・技術の伝達に時間がかかっていた。
 今後は治験計画の作成にAIやビッグデータを活用することも視野に入れる。適応疾患を選んだり、被験者の選択や除外基準を決めたりすることを想定する。また一定の投与量でのデータから、未知の投与量での効き目や安全性を予測したり、大人で得たデータから子どもでの有効性・安全性を予測したりすることも検討している。
 製薬企業の創薬では化合物の特許期間内に開発~治験~申請などを経て発売し、1000億円以上にのぼる開発費を回収しなければならない。
 特許期間は20~25年程度で、開発に10年以上かかることも少なくない。開発期間の短縮で収益貢献の期間が延び、何よりも患者に新薬を早く届けられる。
 審査時間を短縮する制度も整ってきた。塩野義製薬のインフルエンザ薬「ゾフルーザ」は厚労省が15年に創設した審査期間を短くする「先駆け審査指定制度」を使うことで、申請から4カ月と従来の半分以下の審査期間で承認された。
 17年10月には治験を一部省略できる特例制度もできた。重篤な疾病や希少疾患に対して、新規性があり劇的な効果が見込める場合に早期に承認する。

 

産業機器、AIで迅速修理、日立、稼働解析し故障箇所特定。

 日立製作所は4日、産業機器を迅速に修理できる新たなシステムを開発したと発表した。各機器の稼働状況や修理の情報を人工知能(AI)で解析し、故障箇所をいち早く特定し修理できるようにする。保守費用の削減だけでなく、設備の稼働率向上にもつながる。2018年中に北米や日本でサービスを始める。
 日立のIoT基盤「ルマーダ」の新たなサービスとなる。9月から空気圧縮機を手がける米子会社のサルエアーで実証試験を始める。開発したシステムは、各機器で故障が起きた際に不具合が起きた箇所を特定。さらに修理に必要な部品の発注なども簡単にできるサービスも提供するという。
 従来は機器の利用者がメーカーや保守会社と連絡をとり、修理が複数回になることも多い。また製造現場では機器に精通したベテラン技術者が減少し、機器の復旧までの時間がより長くなる原因にもなっていた。日立のシステムでは機器の情報を利用者とメーカー側が共有し、修理を的確に進めることにも役立つ。

 


新事業、IoTで後押し、各社、共創へ拠点立ち上げ――NTTデータ、専門家20人超常駐、OKI、体動かしアイデア

 NTTデータは6月、東京・六本木で顧客企業の新規事業立ち上げを支援する施設を開設する。人工知能(AI)や仮想現実(VR)機器を用意し、試作品開発を後押しする。OKIも顧客企業などと新ビジネス創造を促す拠点を開設した。AIなど技術革新が急速に進むなか、IT(情報技術)会社や電機メーカーが外部の人材や知恵を借りて実際のビジネスにつなげようとする試みが広がっている。
 NTTデータが6月11日に開く新拠点「アクエア」にはデザイン思考やマーケティングに詳しい専門家が20~30人が常駐する。延べ床面積676平方メートルで、博報堂と店舗設計の乃村工芸社と協力し、AIやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用したビジネスの企画を話し合ったりVR機器を利用したりできるスペースやアパレル店を模した実証実験用のスペースを設けた。
 技術革新統括本部の風間博之技術開発本部長は「AIやVR、脳科学技術やクラウドサービスを組み合わせ、顧客企業が発想したビジネスアイデアを目に見える形にできる」と話す。米グーグルのクラウドサービスや博報堂の調査データも利用できる。手厚い体制で、事業化につながるように後押しする。
 実証実験では乃村工芸社が設計したアパレルの模擬店舗を設営。客役の脳波、瞳孔の開閉などのデータを測定し、新規ビジネスの企画や試作品が受け入れられるかどうか詳しく検証できる。風間本部長は「実際の店舗のように実験できる」と話す。試作品について博報堂のモニター調査によるマーケティングもできる。
 NTTデータ傘下の英コンサルティング会社、RMAコンサルティングなどが同様の施設を欧米などで開設しており、ノウハウを移管する。風間本部長は「顧客が漠然と持つ事業のイメージを停滞させず、流れるように形作る場にしたい」と意気込む。年間十数社の利用を見込む。
 OKIはイノベーション(技術革新)を促す新拠点「夢スタ」を東京・虎ノ門の本社に設けた。同社は4月にイノベーション推進部を新設し、他社と連携して社会課題を解決する取り組みを進める。夢スタでは議論やイベントを通じて新たなサービスの開発をめざす。

 

AI活用オープンに、パネル討論、午前、技術教育見直せ、午後、5G軸に新産業(世界デジタルサミット)


 4日開幕した「世界デジタルサミット2018」では、人工知能(AI)の活用にはオープンイノベーションが重要との発言が相次いだ。企業トップらが、AIやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」を、社会課題の解決につなげる取り組み事例を紹介した。AIが人間の知性を超えるとされるシンギュラリティ(技術的特異点)についても活発に議論された。
 午前開始のパネル討論「AI・ビッグデータが促すデジタル革命」では外部の知見を取り入れる「オープンイノベーション」や教育の重要性について議論した。
 アクセンチュアの保科学世氏は「日本は労働力不足で、企業がやりたいことができていない。AIの活用で人が本来やるべき仕事にリソースを割り当てられる」と強調。AIを使いこなせれば企業収益は4割増え、雇用も減らないとした。
 インターネット総合研究所の藤原洋所長は、AIで分析したデータの活用について熟練者が不足しているといい、「熟練者と初心者の情報共有が必要」と強調した。
 SIGNATE(東京・千代田)の斉藤秀社長はAIの活用にあたっては「教師となる事例がしっかりとデータ化されていけば、AIをうまく使えるチャンスが増えるのではないか」と話した。保科氏も「日本の質の高いサービスのデータを学習させることで世界に通用するAIサービスができる」と述べた。
 理化学研究所革新知能統合研究センターの杉山将センター長は「学生時代に文系・理系で分けるが問題。様々な人が最低限の技術的なリテラシーを身につける必要がある」と指摘。AIを使う側のリテラシーの抜本的な改革を訴えた。
 米ガートナーのピーター・ソンダーガード氏も「人の仕事をAIで完全に置き換えるのは不可能。仕事が減るとしても、残った人間の仕事が変わらなければならない」と企業内での再教育の重要性を訴えた。
 午後のパネル討論「5G・IoTが生み出す新ビジネス」には米クアルコム幹部らが登壇し活発な議論を交わした。次世代高速通信「5G」はあらゆる産業やアプリを巻き込み、全く新しいサービスが生まれるという見方で一致した。
 クアルコムのジム・キャシーシニアバイスプレジデントは「5Gでこれまでになかったビジネスができるようになる」と述べた。ノキアソリューションズ&ネットワークス(東京・港)のジョン・ハリントン社長は「消費者だけでなく、あらゆるモノをつないで新しいサービスが生まれる」と指摘した。
 具体的には「コネクテッドカー(つながる車)や交通輸送、エネルギーなど利用者やアプリの幅が広がる。IoTを活用したスマートシティーは5Gへの移行が加速するだろう」(ハリントン社長)と予測する。
 KDDI傘下のIoT通信ベンチャー、ソラコム(東京・世田谷)の玉川憲社長は「IoT時代は通信回線の単価が下がる。低価格でなければ成り立たないビジネスモデルがたくさんある。5Gの可能性は大きい。アイデアがある人はすぐにでも起業すべきだ」と提案した。
 GSMAのマッツ・グランリド事務局長は「5GはIoTやAI(人工知能)も融合し、インテリジェント・コネクティビティーになる。個人向けにとどまらず、バリューチェーンの上位に来る」と期待する。
 一方、個人情報やデータの取り扱い方が課題となっており、欧州では「一般データ保護規則(GDPR)」が始まった。ソラコムの玉川社長は「世界進出を目指すスタートアップが増えている。対応することで組織としても洗練される」と前向きにとらえる。IoT機器に対するサイバー攻撃のリスクについては、「IoTもセキュアな製品が積み重なっている。アクセスデータを制御し、技術的にカバーする」と話した。

 

チケット価格、AIが最適化、三井物産・ヤフーが新会社。

 人工知能(AI)を使い需要と供給から最適な料金を探るサービスが日本で急速に広がりつつある。三井物産は4日、ヤフーなどと共同でこのサービスを始める新会社を設立したと発表した。スポーツ観戦チケットやホテルサービスなど幅広い産業での採用を促す。人間が経験をもとに決めてきた価格決定をデータとAIで効率化する。
 需給の状況から価格を柔軟に変える仕組み「ダイナミックプライシング」の技術を持つ米ニュースター(バージニア州)と協力する。新会社のダイナミックプラス(東京・千代田、平田英人社長)は資本金が約10億円。三井物産が62・6%を出資した。ヤフーが34%、チケット販売大手ぴあも3・4%出資した。
 スポーツ観戦チケットの場合、販売実績やチームの順位、試合の曜日や天候に関するデータをAIで分析し1試合ごとに座席の価格を決める。
 三井物産は2017年にプロ野球ソフトバンクホークスヤクルトスワローズの試合の一部で実験し、需給に応じチケット価格を変えた。新会社は6月からサッカーJ1の横浜F・マリノスの試合にシステムを提供する。システムの提供やデータ分析の対価として収入を得る。
 AIは空席が多くなりそうなときは価格を下げ、消費者に購入を促す。首位攻防戦など人気が高い試合は価格を上げる。定価5000円の席が、条件によって4000円になったり6000円になったりする。
 スポーツのチケットは一般に、シーズン開幕前に決めた一律料金で販売する。ただ、活躍の状況などにより試合ごとに売れ行きの差が出てくる。システムで価格を柔軟に変え、消費者が「その価格なら買ってもよい」と考える料金を示す。
 新会社はコンサートなどイベントの興行主にも需給変動型料金の採用を提案する。駐車場やホテル、物流サービスなど特定の時期に需要が集中する分野でも利用を促す。
 需給連動型の料金は航空業界で先行している。ANAホールディングスや日本航空は航空需要の高い時期や曜日、過去の搭乗実績などをビッグデータとして解析して値段を決める。そのため年末年始など旅行や帰省で飛行機を使うことが多い時期は運賃が比較的高くなる。閑散期には可能な範囲で運賃を引き下げ、需要を喚起する。
 航空機は1便当たりの座席数が決まっており、空席が出ても在庫を保存しておけない。そのため限られた席数の中で料金を変動させて、収益を最大化させる管理手法が浸透している。
 ホテル業界も同様の経営課題を抱える。ホテル経営分析のスタートアップ企業、空(そら、東京・渋谷)はAIを使い、ホテル料金を最適化できるサービスを実施する。競合ホテルやイベントの開催状況をネット上で自動収集する特徴があり、1年先までの設定料金を毎日提案する。松村大貴社長は「経験や勘に頼りがちなホテルの業務を効率化できる」と話す。
 タクシー業界は18年度、需給に応じ迎車料金を変える実験を予定している。タクシーの利用は曜日や時間帯、場所、天候で左右される。運賃そのものは認可制で柔軟に変更するのが難しいため、迎車料金で試す。
 需給による料金設定は海外で積極的に活用されている。米ウーバーテクノロジーズが米国など各国で配車サービスの料金を決める際に、近隣の車両数などに応じて料金を変動させている。
 ▼ダイナミックプライシング 需要と供給の状況に応じて価格を変動させる技術やサービス。需要が集中する時期は価格を上げて需要を抑え、閑散期は値下げして喚起する。航空やホテルの価格決めに導入され、電気料金での活用が検討されている。AIの予測精度が上がっており、様々な産業で広がる見込み。

 

ロボの専門人材、中小企業に紹介、経産省が登録制度。

 経済産業省生産現場でのロボットの活用拡大に向け、7月にも中小企業に専門人材を紹介する人材バンクのしくみをつくる。現場の要望に合わせてソフトを入れたり操作を調整できたりする専門人材やこうした人材を雇っている企業に登録してもらい、中小企業に紹介する。あらゆるモノとインターネットがつながる「IoT」や人工知能(AI)技術を使いやすくし、中小の生産性向上につなげる。
 AIなどの技術進展や人材不足でロボを導入したい中小は増えている。メーカーが作る産業用ロボは規格品が多く、現場で実際に使えるようにするためには、専用のソフトを入れるなどの手間がかかり、導入の壁になっているという。
 経産省は、工場などにロボを導入する専門家の「システムインテグレータ」をデータベース化し、導入を検討している企業が問い合わせできるしくみとする。人材バンクを通じ、足元で約2万人のインテグレータを2020年までにを3万人に増やす政府目標の達成も後押しする。

 

AI社会へ企業育成、成長戦略素案、ベンチャー支援強化、雇用の流動化不可欠。

 政府は4日の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)に成長戦略の素案を示した。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)を活用する社会の実現に向け、新技術の担い手となるベンチャー企業の育成を強化する。世界で進むデジタル革命の主導権を握り、生産性を高めていく狙いだが、雇用の流動化などイノベーション(革新)を創り出すための環境づくりは踏み込みが甘い。
 成長戦略はアベノミクスの「第3の矢(きょうのことば)」にあたる。今回の戦略は世界的なデジタル革命への対応に2つの狙いを込めた。一つは生産現場や行政でAIなどの導入を促し、コスト削減につなげること。もう一つは技術革新を通じて日本経済の競争力を高めることだ。
 デジタル革命の波に乗って世界有数の企業が生まれるようベンチャー企業の成長を後押しする。「ユニコーン」と呼ばれる、企業価値が10億ドル(約1100億円)以上の未上場スタートアップ企業などを「2023年までに20社創り出す」といった野心的な数値目標を掲げた。
 必要に応じて法規制を一時的に停止する「サンドボックス」制度を活用し、新規事業を支援するほか、外国人起業家の受け入れを増やす。IT(情報技術)人材の育成にも力を入れ、児童が20年度までに学習用コンピューターを授業で1人1台使えるようにする。
 ただデジタル革命で主導権を取るのに欠かせない、イノベーションを生み出す環境を整える政策は乏しい。
 富士通総研の早川英男氏は「同じ会社に勤め続けることを前提とした日本型の働き方では、巨大IT企業のような事業モデルは生まれにくい」と指摘する。年金や教育など働き方に関わる制度全般を見直し、雇用の流動性を高めないと、デジタル革命をけん引できる人材が育たないとみる。
 長年の検討課題である解雇の金銭解決は、規制改革推進会議が4日に提出した答申でも結論を先送りした。
 次世代技術に成長マネーが流れ込む仕組みづくりも課題だ。日本のベンチャー投資は1500億円前後。7兆円超の米国や2兆円台の中国との差は大きい。成長戦略は官民ファンドによる支援などを盛り込んだが、大企業や民間金融機関による資金提供をどう増やしていくかは描けていない。
 中国の産業育成策を明記した「中国製造2025」や、製造業のデジタル変革を中長期で促す方針を掲げたドイツの「インダストリー4・0」はインパクトが強く、国際的な注目度も高い。
 これに対し、日本の成長戦略は毎年策定しているにもかかわらず、波及効果が鈍い。各省庁による提案を積み上げて作られているため、各省庁の予算獲得の側面が色濃くなっている。
 成長戦略への民間企業の期待も低下しているのが現状だ。内閣府の調査によると、上場企業は今後5年間に見込む日本の実質経済成長率は年1・1%。これは安倍政権発足後の13年度調査(1・5%)を下回る。戦略ではこのほか、プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業の台頭に対応し、利用者への公正性確保といったルールを整備する方針なども掲げた。
 19年以降の成長戦略を議論する場としてビジネス現場に近い人材による「産官協議会」を設置する。首相は「本年を『第4次産業革命元年』とし、自動運転、ヘルスケア、デジタルガバメント(電子政府)など重点分野に設ける」と話した。

 

先端IT人材、年に数万人、イノベーション戦略素案、25年までに育成。

 政府は5日、首相官邸イノベーション戦略調整会議(議長・菅義偉官房長官)を開き、分野を横断して科学技術の革新を目指す「統合イノベーション戦略」の素案をまとめた。人工知能(AI)などを扱う最先端のIT(情報技術)人材の育成が柱で、2025年までに年間数万人規模を育てる目標を盛り込んだ。6月中旬に閣議決定する方針だ。
 同戦略をつくるのは初めて。21年度までに東京大学など主要6大学を中心にIT人材を育成するカリキュラムを設ける。AIの普及が本格化する中、内閣府は20年に先端IT人材が約5万人不足すると試算しており人材育成を急ぐ。
 AIを活用しやすい環境も整える。研究機関や企業が持つ医療・介護や農業、防災など分野ごとに異なるビッグデータの書式を5年後までに共通化する。書式を統一すれば、AIが複数分野の膨大なデータをまとめて解析できる。災害と交通の情報を組み合わせ、災害時に自動運転車を安全に避難誘導する技術の実用化などにつなげる。
 大学の研究力の強化策も盛り込んだ。19年度にも民間投資の呼び込みに積極的な大学に運営費交付金などを重点配分する制度を始める。大学教員の年俸制も拡大し、成果を報酬に反映しやすくする。研究費の重点配分で若手研究者が研究しやすい体制も整える。

 

中小の生産ライン、IoTで測定、旭鉄工、初期費用10万円、業務効率化促す。

 トヨタ自動車グループを主な取引先とする部品メーカーの旭鉄工(愛知県碧南市)は、中小企業向けの生産ライン測定システムを本格的に売り出す。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」をいかし、生産性や品質の向上に役立ててもらう。初期費用を10万円と大手の1割以下に抑え、2020年度をめどに内外2000社の導入を目指す。
 システムは旭鉄工子会社のiSTC(愛知県碧南市)が提供する。設備の稼働状況と生産の所要時間をリアルタイムで把握できるのが特徴だ。不具合の多い設備や作業を集中的に改善することで、生産性を高める。
 中小企業でも導入しやすいように機能を絞り、価格を抑えた。システムの配線やサーバーは不要で、生産ラインに1個50円の光センサーや250円の磁気センサーをつける。ラインで部品の動きを感知し、1個できるごとに信号を出す簡単な仕組みで「生産個数」「停止時刻」「サイクルタイム」を正確に把握できる。
 初期費用は10万円で、月間利用料(5ライン)は3万9800円から。製造から年月の経過した機械にも対応可能という。データはクラウド上に集め、現場でスマートフォンなどで分析できる。大手のシステムを導入する場合、一般的に数百万円から数千万円かかる。
 旭鉄工の木村哲也社長はトヨタの出身。現場で徹底的にムダ、ムラ、ムリを省く「トヨタ生産方式」を中小企業にも広げようと、今回のシステムを試験を含めて約100社に導入してきた。旭鉄工でも西尾工場(愛知県西尾市)で生産性が高まり平日の残業がゼロになったという。
 システムを導入した後のデータ活用や経営支援も行う。iSTCは外販先の5日分のデータを分析し、生産ラインの診断リポートも月額9800円で提供。経営コンサル事務所や各地の商工会議所などと連携し、全国で販売先を増やす。今年5月にはタイ工業省と覚書を締結し、タイで7社が計20の生産ラインで試行している。
 18年1月には人工知能(AI)の研究者を採用した。自動で生産ラインの異常を見つけたり、予測したりするシステムの開発にも乗り出す。
 好調な世界経済を背景に、自動車や機械を中心に取引先から増産要請を受ける中小企業は多い。一方で人手や設備、資金などが不足がちなところも多く、生産性の底上げが急務になっている。

スマホなどで生産ラインの稼働を分析する(愛知県碧南市にある旭鉄工の工場)

 


AI起業家予備軍支援、孫氏のM&A番・仁木勝雅氏、スター誕生の助っ人に

  10兆円ファンドをひっさげ世界の投資関係者が注目するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長。派手なM&A(合併・買収)を裏方の立場から支えてきた知る人ぞ知る人物がいた。その男は2016年にソフトバンクを去ったが、わずか半年で復帰。帰ってきた孫氏の「M&A番」が目指すのは、未来の人工知能(AI)のスター誕生だ。
 17年4月、東京・有楽町。孫氏が毎年開く若者向け講演会の直前。仁木勝雅氏(50)が姿を現すと、孫氏はニヤリと笑って告げた。「ウエルカムバック。やっぱり戻って良かっただろう」

仁木氏は、17年9月にソフトバンクグループの100%出資で、AI人材育成のディープコア(東京・港)を設立。その社長に就任した。
 帰ってきたM&A番の新たな目標は「日本から世界に通じる起業家を生み出す」ことだ。
 投資に通じた仁木氏はAI専門の投資ファンドも組成。資金規模は最大60億円。カネの面でも起業家を支援する。
 ただ、仁木氏は「ソフトバンクみたいな“ギラギラの投資”じゃない」と話す。その真意を「AIで起業できそうな気がする、という程度の人にも関心を持ってもらいたい」と説明する。技術に自信はあってもビジネスには疎いような起業家予備軍にも門戸を広げるというわけだ。
 そのための支援体制も整えた。東京大学の近くに24時間利用可能の共有オフィス兼研究室を完備。AI研究で有名な松尾豊・東京大学特任准教授と、孫氏の実弟で連続起業家の孫泰蔵氏をアドバイザーに迎えた。
多士済々な人材
 今年2月に第1陣として、200人ほどの応募者から75人を選抜した。大半は20代だが、独学でディープラーニングを学んだ40代の現役医師まで多士済々。まだ緒に就いたばかりだが、仁木氏は「日本の大企業にはAI人材が足りない」と、AI起業支援の可能性を語る。
 「起業してみてダメならリターンマッチすればいい。そんな起業の循環までつくっていきたい」と言う仁木氏。若き起業家候補たちを前に、孫氏の隣で巨額のカネを動かしていた頃とはひと味違った楽しみを感じているようだ。


iPhoneの次、見えた、アップル世界開発者会議――音声認識、Siri使いやすく。

 人工知能(AI)を用いた音声アシスタント「Siri(シリ)」を使いやすくするためのアプリ「ショートカット」も発表した。アプリと呼びかける文言などを設定しておくことで連携させやすくなる。
 利用者が自分の生活に応じてよく使うアプリとシリを操作する方法を設定しておくことで、今までよりも簡単にシリを使えるようになるという。今秋に更新予定のOS「iOS12」で利用できるようになる。
 シリは音声操作の先駆けだったが、利用者のデータを吸い上げない方針などが影響し、音声アシスタントとして賢くなるスピードでグーグルの「グーグルアシスタント」や米アマゾン・ドット・コムの「アレクサ」などに後れを取っている。
 スマートスピーカーの市場が拡大したことで音声操作も普及。グーグルは5月の開発者向け会議で美容院やレストランの予約をこなす音声AIのデモを披露した。だがシリは正答率などで後じんを拝している。
 アップルが開発中とされるAR対応の眼鏡でも「声が(人と端末の)新たな接点になる」と、AR端末や部材を手掛ける米コピンのジョン・ファンCEOは言う。アップルにとって音声での劣後は致命的になる。

 

丸紅、監視カメラにAI活用、通信コスト安く。

 丸紅は人工知能(AI)を搭載した監視カメラを使ったサービスを始めた。画像に映る人物の顔認証や車両のナンバープレートの検知に活用できる。子会社の丸紅無線通信(東京・中央)がサービスを手掛け、年5千~6千台の導入を見込む。
 米半導体大手エヌビディアのGPU(画像処理半導体)をカメラに搭載。必要なデータをAIで特定した上でクラウドに送信する。全ての画像を送信しサーバーでAI解析する場合と比べ、通信費を1割未満にできる。
 丸紅とOKIが出資する丸紅OKIネットソリューションズ(東京・港)が営業やシステム構築で協力する。丸紅の顧客基盤のほか、OKIが強みを持つ金融や流通業界に販売していく。カメラの導入費用は1台あたり数十万円。通信やクラウド利用料は毎月1万円からと割安にし、合わせた費用は低減できるという。
 監視カメラ需要は大規模なイベントでのテロ対策などにより急増。防犯対策のほか、車両ナンバーの登録地域などは顧客分析への活用も期待できる。監視カメラの国内の市場規模は2020年には17年比2・6倍の260万台に伸びる見込み。

 

 

議事録AI、手軽に、オカムラと日本IBM

 オフィス家具大手のオカムラと日本IBMは働き方改革向けシステムの販売で協業する。IBMの人工知能(AI)「ワトソン」を応用した議事録作成システム「トークビュー」を開発し、オカムラが7日に発売する。働き方改革法案が今国会で成立する見通しであることを追い風に、会議の効率化などを模索する顧客企業に売り込む。
 会議の参加者の音声をインターネット経由でワトソンのクラウドに伝送するとAIが音声を認識。ほぼリアルタイムで文字データに変換して会議室のモニターに表示する。日本語、英語、中国語など9カ国語に対応する。
 これまでの議事録作成AIは顧客に合わせてシステムの作り込みが必要なものが多く、利用できるようになるまでに時間やコストがかかるという。オカムラは専用パソコンやマイク、ソフトを組み合わせて提供し、注文から1週間で利用できる手軽さを売り込む。価格はマイク5本セットで税別650万円から。設置費用や1年間のソフト利用料を含む。
 オカムラは近年、オフィス家具の販売だけでなく、業務効率を高めるオフィス環境の提案に力を入れている。IDCジャパンによると、働き方改革関連のIT(情報技術)市場の規模は17年に2兆円を突破した。今後も年平均7・9%のペースで成長し、21年に2兆6622億円に達する見込み。成長市場に注目し、IT企業だけでなくオカムラのような異業種の参入が増えつつある。

 

AIスピーカー、言い間違い注文は無効、経産省、EC規範に見解、「タイヤ」のつもりが「ダイヤ」注文。

 経済産業省は声によってインターネット販売の商品注文などができる人工知能(AI)スピーカーについて、テレビの音声や言い間違いによる発注は無効であるとの見解をまとめた。消費者保護の一環で、メーカーに対しては注文を確認する機能の設置を推奨する。6月にも電子商取引(EC)に関する規範「電子商取引準則」を見直し、見解を盛り込む。
 政府の法解釈を示す準則に法的拘束力はないが、企業の多くや消費者が参考にする。海外ではテレビの音声やペットのオウムの発声音で勝手に発注されるなどの事例が報告されている。人による注文でも、たとえば「タイヤ」を買おうとして「ダイヤ」と言い間違った場合の救済方法が課題となっている。
 準則では、テレビ音声などの発注の場合、実際には注文の意思表示がなかったと解釈し契約は成立していないと見る。言い間違いも一般的に起こりうるとし、契約は無効との見解を示す。ただし、ウェブサイトやアプリで確認する仕組みになっている場合には、発注者に過失があると認定される可能性がある。
 AIスピーカーをめぐっては、5月下旬にも米国で勝手に所有者の会話を録音して知人に送ってしまうトラブルも起きるなど、誤作動に対する警戒感が強まっている。

 

安川電機、「見える工場」を支援、ソフト提供開始、AIで稼働データ分析。

 安川電機は6日、生産現場の様々なデータを収集分析できる「見える工場」向けのソフトウエア「YASKAWAコックピット」を開発し、提供を始めたと発表した。生産設備や検査装置を監視・診断し、故障予知や不良品検出に生かす。顧客企業の既存システムと連携させることもできる。
 同ソフトは生産現場の装置ごとに稼働データを集め、日本IBMの人工知能(AI)の「ワトソン」などで分析する。顧客が既に持っている作業者の動作分析や在庫管理システムとも連携。普段と違う動きの工程や異常値を察知できる。
 安川電機はロボットやモーターの販売だけでなく、ビッグデータに基づく生産支援サービス「アイキューブ メカトロニクス」を普及させる方針で、中核ソフトの提供で弾みをつける。

 

住宅施工、助っ人ロボ、積水ハウスが実演、アシストスーツも。

 積水ハウスは住宅施工現場にロボットとアシストスーツを導入する。滋賀県栗東市の訓練施設で6日、公開した。作業員の高齢化などで人手不足が懸念されるなか、負担の重い作業をロボットに任せる。労働環境を改善して人員確保を狙う。
 ロボット開発のテムザック(福岡県宗像市)と共同開発したロボットは石こうボードを天井に張り付ける。作業員がタブレットで指示を出すと、2機が通信しあいながらぶつからないよう動き、ボードを持ち上げてビスで固定した。動作速度の向上や小型化を進め、2020年の本格導入を予定する。
 12月にも導入するアシストスーツは、米社の製品を改良した。軒裏の工事など上を向いて作業するときに腕を支える。少ない力で重量物を持ち上げたり、同じ姿勢を長く保ったりできる。現場で試したところ、作業員の負荷が大幅に軽くなったという。
 積水ハウスの住友義則・施工部長は「(人手不足などで)施工力の確保が課題になっており、期待している」と述べた。一方、建材をつくる静岡工場(静岡県掛川市)には外壁の生産ラインに人工知能(AI)を活用した品質検査システムを導入した。品質向上やコスト削減につなげる。

 


ブロックチェーン、関連求人4.2倍に、民間調べ。

 IT(情報技術)関連の人材を求める動きが強まっている。人材サービスのビズリーチ(東京・渋谷)がまとめたIT関連の求人動向によると、件数が最も多かったのはAI(人工知能)や機械学習に関する求人だった。あらゆるモノがネットにつながるIoT関連の引き合いも多く、人材獲得競争が一段と激しくなりそうだ。
 同社の求人検索エンジン「スタンバイ」に掲載された約840万件を対象に、「ブロックチェーン(分散型台帳)」「自動運転」「フィンテック」などのキーワードを抽出して調べた。
 件数が最も多かったのはAIや機械学習に関わる求人で1万9959件、次いで「IoT、M2M(マシン・ツー・マシン)」の1万7660件だった。いずれも、最高提示年収は4000万円以上だった。IT業界に限らず、教育関連やメーカーなど幅広い業種の採用意欲が強い。
 前年に比べ急増したのが「ブロックチェーン」に関わる求人で、4・2倍となった。仮想通貨関連の新規事業立ち上げを目指す通信会社やIT関連企業の募集が目立つ。サイバーセキュリティーに関わる人材も金融機関や保険会社などが広く募集している。IT人材不足は今後も一段と激しくなると予想され、年収も上がっていきそうだ。

 

ソフトバンクロボティクス、床洗浄、無人走行ロボ、ルート記憶、自動運転。

 ソフトバンクグループでロボット事業を手掛けるソフトバンクロボティクス(東京・港)は、自動運転技術を搭載した床洗浄機を8月に発売する。一度ルートを覚えさせれば、無人で床掃除が可能。人手不足が深刻化する中、清掃コストを削減したい商業施設などでの利用を見込んでいる。4施設ですでに試験的に導入しており、管理・清掃の自動化を進める三菱地所なども検討している。
 床洗浄機の名称は、「RS26 powered by Brain OS」。運用額10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドが投資した米ブレインコープ(カリフォルニア州)が開発した人工知能(AI)を搭載した。清掃するエリアをいったん人が運転することで地図データを作成して記憶。スタートボタンを押せば、次回以降は自律走行する。
 先頭にあるカメラや複数のセンサーで自らの位置を把握する。通行人や障害物があった場合は、停止したり回避したりしながら走行する。価格は非公表だが、人が乗るタイプの清掃機とほぼ変わらない価格設定にするという。
 5月からアリオ亀有(東京・葛飾)、ゆめタウン廿日市広島県廿日市市)、大阪駅大阪市北区)、阪急西宮ガーデンズ兵庫県西宮市)の4カ所の商業施設が試験的に導入している。
 ユニクロなど約200のテナントが入るゆめタウン廿日市では、2、3階の通路の床清掃をRS26が担う。1フロア6千平方メートルという広さを掃除するにはかなりの人手がいるため数年前から掃除ロボを探していた。ソフトバンクロボティクスの商品は、米国の大手スーパーなどでの実績もあると知り、導入を決めた。
 ゆめタウン中国地方を中心に約65店舗がある。運営会社イズミグループで施設管理を担うイズミテクノ(広島市)によると、廿日市店や他の店舗も含めて数十台を導入する方向だ。「自動運転であれば清掃の品質も一定になるし、人件費の削減などで20%程度生産性が上がるとみている」(同社)という。
 三菱地所は5月末、RS26の試験走行会を東京丸の内の地下道で行った。集まった同社社員や清掃関係者からは「1回ルートを覚えれば次回は自動というのは楽。清掃の範囲やスピードも申し分ない」との声があったという。
 三菱地所は4月からビルの警備に綜合警備保障(ALSOK)の警備ロボを導入するなど、人手不足や将来の人口減少を見据えて建物の管理・警備の自動化を進めている。お掃除ロボの導入についても前向きに検討しているという。

 

知能の謎を解き明かす(4)東京大学特任准教授松尾豊さん(人間発見)

AIは人類のために
欧州で法人格の議論
  2017年2月、松尾さんは人工知能学会の倫理委員会委員長として、人工知能(AI)開発の倫理指針をとりまとめ、公表した。
 AI開発を進めるうえで、社会との関わりを考えることは重要です。人間のような知性を持ち、自律的に学習し行動するAIは、社会に与える影響も大きいからです。指針では法規制の順守やプライバシーの尊重などを、開発者の原則として定めました。
 同時期、世界でも同様の指針作りの動きがありました。米カリフォルニア州ではAI研究者、倫理学者、社会学者などが世界中から集まり、「アシロマAI23原則」を作りました。僕も渡米し議論に参加しました。強制力はありませんが、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)など多くの著名人が支持しています。「AIは人類のためにあるべきだ」というコンセプトは、日本の人工知能学会の指針と共通しています。
 ただ、アシロマ23原則にはAIの暴走を将来のリスクとして指摘し、対応を促す項目があるのですが、僕はAIは道具であって、生命のように暴走することはないと考えています。
  12年に人工知能の学会誌の編集委員長に就任。表紙の絵を女性型のロボットが掃除をしている姿にしたら「女性蔑視」とインターネットで“炎上”してしまった。
 人工知能学会は会員がほとんど男性です。「男性会員には女性型ロボットの方が好まれるかもしれない」というぐらいの気持ちでした。しかし、実際には「女性」と「掃除」がキーワードとして並ぶことで反発を受けました。これが男性型ロボットだったら単なる風刺ですが、ジェンダーに対する配慮が足りなかったと思います。
 AIの研究でももっと女性が活躍すべきだと思いますが、僕の研究室にも女性はほとんどいません。AI開発にも女性ならではの視点は必要です。プログラマーの女性比率が高いイスラエルで聞いた話ですが、男性と女性ではプログラマーの育成方法、教え方も違い、女性を教えるのは女性が向いているそうです。女性でプログラミングができる人を増やさないと、後進も育ちません。
  欧州では、AIに「人権」を与えるべきかどうか、との議論がある。
 欧州で行われているのは、「人権」という言葉から我々が想起する「基本的人権」ではなく、「法人格」を与えるべきかどうか、という議論だと理解しています。例えば、米ウーバーテクノロジーズの自動運転車が事故を起こしたとき、ウーバーという会社ではなく、同社の人工知能を営業停止にした方がよいかもしれません。
 ある企業のAIが何か問題を起こした場合に罰を与える、あるいはある基準を満たしたAIには信用を付与する、もしくは市場に上場させるなど、そうした法律行為の受け皿としての法人格は認めた方が都合が良い場合もあるかもしれません。AIの可能性を広げる面白い議論だと思います。

 


岐阜大、金型開発の拠点、デンソーなどと、IoTやAI活用。


 岐阜大学は7日、「スマート金型開発拠点」を設けた。デンソーオムロン、太平洋工業など10社と共同研究講座を立ち上げる。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)をつかい、新しい金型の研究開発に取り組む。
 国の補助金7億円を活用し、3階建ての研究棟(延べ床面積約1100平方メートル)に装置を整備した。工学部の教授らが民間企業と組み、金型の異常を事前に予測して、不良品の発生を抑える仕組み作りなどを研究する。デンソーは鍛造分野、オムロンは射出成型、太平洋工業はプレス分野で研究開発を進める。
 7日は同大で開所式があり、森脇久隆学長は「拠点からの発信で金型の国際基準を押さえていきたい」とあいさつ。企業を代表して太平洋工業の小川信也社長は「研究のスピードを上げて人材を育ててほしい」と述べた。

 

札幌でAI人材育成講座、3社・団体、基礎から応用まで。

 北海道で人工知能(AI)関連技術を開発する技術者不足が見込まれる中で、札幌の3社・団体が人材育成に乗り出す。AI開発に必要な知識やビジネスに活用する方法など、基礎から応用まで5コースの講座を6月14日から札幌市内で順次始める。企業経営者やエンジニアの卵など幅広く受講者を募る。
 「札幌AI人材育成プログラム」は札幌市の産学官組織「SAPPORO AI LAB」、サツドラホールディングス傘下の「AI TOKYO LAB」、IT(情報技術)分野の人材育成を手がける北海道ソフトウェア技術開発機構が企画・運営する。
 技術習得に関する上級者向け講座では、AIエンジニアとして開発の基礎知識のほか、機械学習や画像認識の演習を通じたAIの活用方法を5日間で学べる。ビジネス応用に関するAIプランナーの育成講座では、開発時の課題や知的財産の扱いなど、より実践的な内容を学ぶ。
 受講料は入門編の2講座は無料、他はAIエンジニア講座が32万4千円、ディープラーニングに特化した講座が6万4800円。AIエンジニア講座は経済産業省の補助対象となる予定で、個人受講者は料金の最大7割が助成される。
 ビジネス応用講座はさっぽろ産業振興財団、技術習得講座は北海道ソフトウェア技術開発機構で申し込みを受け付ける。

 

自動運転、バスで実験、小田急など、乗客の動きも把握。

 小田急電鉄神奈川中央交通慶応義塾大学は、同大学湘南藤沢キャンパス(神奈川県藤沢市)で自動運転の走行実験を公開した。緊急時だけ運転手が操作する「レベル3」の自動運転技術を採用した小型バスが走行した。10日には市民向けの試乗会を予定する。同キャンパスと最寄り駅を結ぶバス路線の自動運転を目指す。
 レベル3は原則システム操作が運転を担うが、緊急時には人が操作する程度の技術水準。ソフトバンクグループ傘下で自動運転を開発するSBドライブ(東京・港)が開発したバスを使った。
 バスは全地球測位システム(GPS)などで現在地を認識しながら、事前に設定した約500メートルのルートを5分ほどで自動運転で走行した。レーザーセンサーを搭載しており、前方40メートルを通行する自動車や二輪車、歩行者を見分け、急な飛び出しなどにも対応できる。
 車内の様子を把握するため、人工知能の画像認識技術を使い、乗客の頭の動きから行動を推定する。バス走行中に乗客が移動した場合には放送を流して注意喚起する。乗客の転倒を認識した場合には、遠隔操作する運行会社に通知するシステムも披露した。
 今後、実証実験を重ねて安全性を確認する。2020~21年をメドに一部路線での実用化を目指す。バス運転手は人手不足だが、社会の高齢化に伴い公共交通の重要性も増している。自動運転バスが実用化すれば、より少人数できめ細かな交通サービスが実現できる可能性があるという。

 

中国自動運転、「爆速」の新興勢――中国政府、資金支え、摩擦一因に、米、ビザ制限で対抗。

 「本当にありがたい。地元政府からの補助金のおかげで安心して仕事ができますから」。景馳科技のある幹部はこう話す。広東省の同社本社の家賃は全て地元政府が負担する。本社横には社員100人超が入居できる立派な新築マンションが用意され、家賃は政府が負担し社員は無料で入居できるという厚遇ぶりだ。
 中国は、自動運転や人工知能(AI)など最先端分野の有力企業の成長を、補助金で強力に後押しする。米国に並ぶ技術大国を目指す国家戦略「中国製造2025」があるためだ。だが、こうした手法を米国は不公正と強く反発、米中摩擦のひとつとなっている。
 米国は最近、対抗策に出た。ハイテク分野での中国人に対するビザの発給制限だ。11日から中国人留学生に対し、従来は最長5年間だったビザの有効期限を1年間に短縮する。留学生だけでなく、ハイテク分野で企業や大学に勤務する人のビザ取得も厳しくした。米国で学んだ中国人が、中国政府の支援で帰国後に起業し、米国に対抗するケースが多いためだ。

 


知能の謎を解き明かす(5)東京大学特任准教授松尾豊さん(人間発見)

研究室で若手を育成
利用者の知識高める
  「松尾研究室」は、人工知能(AI)起業家を輩出。東京大学がある東京都文京区の「本郷バレー」の核となる。
 2005~07年の間、米スタンフォード大に客員研究員として留学しました。シリコンバレーでは学生や研究者がアイデアを提案し、あっという間に投資家から資金を集め起業し、利益を研究開発に再投資していました。「複利」の循環をつくった者が勝つ、与えられる研究費を元手に論文を書いているだけでは駄目なのだと学びました。授業もiPhoneアプリの作り方やインターネット広告の仕組みなど、実用的なものでした。
 最新の技術を教えることは大事です。僕が15年に90人の学生を対象に始めた深層学習(ディープラーニング)の講義は毎年、受講生が倍々で増えています。先端技術の知識は事業でも武器となるため、学生は自然に起業に関心を持ちます。
 学生は経験が足りないので、ビジネスモデルの構築方法も授業で教えます。僕の研究室は企業からの共同研究費や寄付だけで運営されています。学生は企業との共同プロジェクトを通じて、企業の考え方、ビジネスマナーなどを身につけていきます。研究室ではこうしたグローバルに当たり前のことを実践しているにすぎません。
  17年には一般社団法人日本ディープラーニング協会(東京・港)を立ち上げ、ビジネスパーソンなどを対象とした検定試験を始めた。
 ここ数年、なぜ世界の時価総額トップはIT(情報技術)企業だらけになり、日本企業が1社も入っていないのかを考え続けました。大きくふたつ理由があると思います。ひとつは年功序列です。ITの世界は20代が最強なのです。米国のIT業界で著名な人たちは皆、20代で大活躍し、経営者になります。でも日本では20代は下働きをしています。勝てるわけがありません。
 もう一つの理由は、ITシステムの利用者のリテラシーが低いことです。顧客となる企業の担当者や経営者にITの知識が乏しいから、工数の多い高額なシステムを勧められ、良しあしが判断できないまま購入してしまう。利用者側に目利きがいなければ、技術力のあるベンチャーは営業力のある大企業に勝てず、育つ余地がないのです。それが日本全体のITの発展を阻害したとみています。
 顧客企業側に、AIって何か、どういう技術があって、性能の指標にはこういうものがあるなどの一般的知識を身につけてもらおうというのが、検定の目標のひとつです。顧客を育てれば良いベンチャーも伸びます。
 AIに「冬の時代」からこだわってきた僕は、今でも「変わっている」と指摘されることがあります。でも自分では変わった自己主張をしているつもりはありません。子どもの頃から、できるだけ合理的に物事を解釈しようとする癖がありました。その結果、自分にとっては「最適解」と思われることを、普通にやってきただけなのです。

 

宅配事業に積極投資、コープさっぽろ、AI活用。

 コープさっぽろは宅配事業に積極投資する。8月末に自動倉庫システム「オートストア」を導入。人工知能(AI)を活用して音声で商品を注文できるシステムを構築し、コールセンターの自動応答化も進めるなど18億円の設備投資をして、収益拡大を目指す。一方で、人手不足や働き方改革に対応して、夜間の配達を徐々に減らしていく。
 8月末に稼働するオートストアは、ロボットがピッキング作業をすることで、作業員の負担を減らしながら取扱商品数を現在の約1万2000品目から2万品目に増やす。宅配の注文紙も、買い忘れがないように一度注文した商品に印をつける様式に改良した。
 AIスピーカーに顧客が話しかけて音声で商品を注文できる仕組みを、19年半ば以降に構築する。コールセンターも過去の問い合わせデータをAIで分析し、質問の約8割は自動応答で対応できるとみて、来年にも実用化したい考えだ。
 一方、宅配スタッフの仕事環境に配慮して、夜8時まで受け付けている配達を夕方6時までに前倒しし、夜間の配達を減らす。夜間配達している組合員と相談しながら、札幌市中心街以外は徐々に減らしていく。
 8日に開いたコープさっぽろの総代会では、組合員から「スマホのデジタルカタログから直接注文できるシステムにしてほしい」との要望があった。大見英明理事長は「現在もあるが、使い勝手が悪い。19年にはスタートしたい」と述べた。
 店舗事業では、業務提携しているファミリーマートと複合店舗を出すことを検討する。
 総菜の需要が伸びていることから、札幌市の中心街などに総菜の品ぞろえを充実させた小型の都市型店舗を出店する予定だ。


メルカリ、AIで強く、フリマ市場、世界10倍、山田会長兼CEOインタビュー。

 フリーマーケットアプリで国内最大手のメルカリ(東京・港)の山田進太郎会長兼最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞とのインタビューで、「世界のフリマ市場の規模は日本の10倍と想定され、海外展開に力を入れていく」などと語った。19日に東証マザーズ市場に上場した後は、M&A(合併・買収)や提携などで「メルカリ経済圏」を拡大していく戦略だという。
 ――上場で最大630億円の資金を調達します。どう成長につなげていきますか。
 「まずは海外事業への投資だ。立ち上げ段階で赤字の米国事業を成り立たせたい。ネットオークションなら米イーベイの世界の流通総額は、(『ヤフオク』を運営する)日本のヤフー(の売上高)の約10倍だ。フリマアプリも世界には10倍の市場があると考えている」
 「米国事業の黒字化の時期は明言できない。1年ほど前に米フェイスブック(元副社長)のジョン・ラーゲリンが参加し、良いチームができてきた。流通額も増えている。規律を持って投資し、赤字を垂れ流すことはしない。英国にはテスト的に出ている。アジアなど新興国も可能性があるが全くの未定だ」
 ――その他の重点分野はどこですか。
 「スマホ決済『メルペイ』にも投資していく。17年に新会社をつくり、どれぐらいの投資額が必要かなど詳細を詰めている。18年末から19年初めに事業を始めようとしている」
 「(フリマアプリの)『メルカリ』の技術も強化する。人工知能(AI)に力を入れており、例えば出品する不用品の写真を撮るだけでタイトルやカテゴリー、ブランド、推定価格などが自動で出るように機能を拡充している」
 ――事業の多角化M&A・提携戦略について教えてください。
 「モノだけでなくサービスの個人間取引も手掛けていく。すでに自転車シェアの『メルチャリ』やスキル(技能)シェアの『teacha(ティーチャ)』を始めた」
 「ただ、全部自分たちでやろうとは考えていない。メルペイの決済サービスや、メルカリでの売買代金や評価、取引データなどを、プライバシーを守りながら外部の会社も使えるようにし、その上に新しいサービスを構築していく。パートナーを含めたエコシステム(生態系)にはものすごく可能性がある」
 「イメージは(中国のスマホ決済サービスの)『アリペイ』や『ウィーチャットペイ』だ。中国ではこれがあったから、自転車シェアやフードデリバリーなどのサービスが広がった。パートナーを増やすには、M&Aや出資のほか、単純にメルペイサービスを使ってもらうケースもあるだろう。そこは柔軟に考えていく」

 

「AI、軍事利用せず」グーグルが指針、社員の反対運動が後押し。

 米グーグルは7日、人工知能(AI)の開発や適用を巡る「指針」を発表した。AIは社会に便益をもたらすためのものと位置づけ、武器のように人を傷つける分野向けの開発はしない姿勢を明確にした。他のIT企業より一歩進んだ取り組みの背中を押したのは、AIの軍事利用に対する社員の反対運動だった。
 スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が自身のブログを通じて公表した。
 指針は7つあり「社会にとって役に立つ」「バイアス(偏向)を避ける」「プライバシーに配慮する」といった項目が並ぶ。他社にない強いメッセージとして「人を傷つける」分野への適用はしないと明示した。中でも「武器用のAIの開発はしない」としている。
 指針をあえて公表したのはAIの活用の仕方について社内で議論が巻き起こっているからだ。
 複数の米報道によるとグーグルはこのほど、米国防総省と結んでいた軍事用無人飛行機(ドローン)向けのAI開発契約を2019年で打ち切ることを決めたとされる。物体認識ができるAI技術をドローンに生かすはずだったが4千人を超えるグーグル社員が反対の署名運動を起こし、一部社員が辞職する騒ぎにまで発展していた。
 グーグルは指針をつくることで社内の動揺に配慮したもようだ。あるグーグル社員は「自分たちの仕事が人の役にたっていると皆が信じている」と話す。同社は「邪悪になるな」という社是を掲げていただけに軍事や社会監視と見なされる業務への関与に反発を抱く社員も少なくないようだ。
 軍事でなくともAIを不安視する声は社外にもある。画像検索で人種差別的な結果が出たり、AIを使った人の採用や保険審査でバイアスが生じたりするのではという疑念はAI研究者の間でも上がっている。ある英国の研究者は「AIが何を基準に意思決定をしているのかが分からないと危険だ」と話す。
 グーグルの指針はこうした潮流も踏まえて作成したようだ。ピチャイCEOはブログで「AI技術でリードする企業として社会への影響に深い責任を感じている」とした。説明責任に堪えられるAIを開発し、監視目的や非人道的なAI活用はしないと強調した。
 AIへの考え方を巡ってはシリコンバレー企業によって温度差がある。フェイスブックは人の手を借りずにAIを使って偽ニュースを見つける試みを続けている。「僕たちは技術に楽観的でいる」と繰り返すマーク・ザッカーバーグCEOの考え方が底流にありそうだ。
 一方でテスラのイーロン・マスクCEOは「AIは悪魔を召喚する技術」と述べ、規制の必要性を説いている。
 グーグルの動きは、考え方を社内指針に落とし込み、製品づくりに反映させる点で一歩進んだ取り組みだ。通常ならば注目されにくい倫理や規制といった議論が盛り上がっている。未来の技術と思われていたAIが急速に生活に浸透している裏返しだろう。

 


鴻海、中国で巨額調達、スマホ生産会社、上海上場で4600億円、技術導入、習政権も期待(Asia300)

 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は8日、中国の上海市場に中核子会社を新規上場させ、271億人民元(約4600億円)を調達した。鴻海は液晶パネル工場などの大型投資構想を打ち出しているが、本業である電子機器の受託製造の稼ぐ力が弱まっており、資本市場から資金をかき集める必要がある。米中のハイテク摩擦が強まる中、有力企業を取り込みたい中国側と思惑が重なり、スピード上場と巨額調達が実現した。
 8日、鴻海の中核子会社「フォックスコン・インダストリアル・インターネット」(FII)の上場式典後の記者会見。陳永正董事長は中国の習近平(シー・ジンピン)政権が掲げる産業政策「中国製造2025」を引き合いに出し、「偉業に積極的に身を投じる」と語気を強めた。上場初日の株価は値幅制限いっぱいの公募価格比44%高まで上昇した。
 同社は米アップルのスマホ「iPhone」の中国生産を担い、鴻海の純利益の約半分を稼ぐ中核企業だ。調達資金は生産ラインへの人工知能(AI)の導入などに充て、自動化で人件費高騰への対応力を高める。ネット大手のアリババ集団や騰訊控股(テンセント)も株主に名を連ねた。
 鴻海は中国との結びつきを一段と強め、支援を引き出す構えだ。鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は6日、中国・深〓で開いたフォーラムで「AI人材を2万人育成する」とぶち上げた。既に台湾などで関連会社数十社が上場するが、プリント基板を手掛ける臻鼎科技の中国子会社が深〓市場へ上場を予定する。
 日本ではシャープも財務戦略に動員する。5日に最大2千億円の公募増資を実施し、優先株の買い取り原資にすると発表。2016年の買収交渉では原資の一部を鴻海が出すとの観測も出たが、鴻海は負担を避けるとともに、財務が正常化したシャープの社債発行といった独自の資金調達も期待しているようだ。
 鴻海はスマホ需要の失速や中国の人件費上昇などで単純な受託生産モデルは行き詰まり、事業構造の転換に向けた投資構想を相次ぎ打ち出す。中国・広州と米ウィスコンシン州ではそれぞれ1兆円規模の液晶パネル工場の建設計画が進む。郭氏は5月には半導体製造に参入すると表明。実行には少なくとも数千億円の資金が必要となる。
 トランプ米大統領は昨年、鴻海の米国投資はさらに2兆円規模で膨らむと明かした。ほかにもインドでの工場建設など各国で投資構想が浮上。手元資金は17年末に日本円で2兆3千億円強と潤沢に見えるが、同業大手の幹部は「投資構想は手元資金の3倍はかかるのではないか」と話す。
 鴻海は17年12月期に9期ぶりの最終減益となり、事業で稼いだ資金収支を示す営業キャッシュフロー(CF)は393億台湾ドル(約1440億円)のマイナスとなった。スマホの失速や在庫増のほか、取引条件の変更による一時的な要因が影響している可能性もあるが、足元の資金余力の厳しさがうかがえる。
 米国とのハイテク摩擦が激化する中国にとって、鴻海のような海外の有力企業を取り込む必要性はさらに強まる。郭董事長が今後も米中の雇用拡大や産業高度化の思惑をうまく利用しながら、自社の構造転換と成長持続に結びつけていこうとするのは間違いない。

 

アリペイ」1.5兆円調達、IPOの観測、財務体質強化。

 中国アリババ集団グループの金融会社、アント・フィナンシャルは8日、140億ドル(約1兆5000億円)の資金調達をすると発表した。株式の新規発行か債券による調達かなどの具体策は明らかにしていない。同社は電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を展開。近く新規株式公開(IPO)するとの観測が出ており、上場に向けた財務体質強化の一環とみられる。
 資金調達は既存の株主や投資会社などが中心で、人民元と米ドルの両方で計140億ドルの調達を計画している。アントの資金調達は2015、16年に続き3回目となる。アントは調達した資金の使途について、決済システムに関連する研究開発や人材育成に投資するとしている。
 アントのエリック・ジン最高経営責任者(CEO)は「人工知能(AI)や(あらゆるモノがネットにつながる)IoTなどの技術に投資し、次世代の金融プラットフォームを構築していく」としている。アントの企業評価額は1500億ドル規模に達するとの見方も出ている。
 アリババは今年2月にアントに33%を出資すると発表している。アントは以前はアリババの子会社だったが、馬雲会長らが出資する形に切り替えられていた。上場を控えて再びアリババの持ち分法適用会社となっている。
 アリペイのユーザー数は世界で8億人を超えている。インドや韓国、タイなど9カ国地域で決済サービスを展開し、中国国内のユーザー数は5億人を超える。
 中国では11年からサービスの展開を開始した。スマートフォンスマホ)上のQRコードをかざすだけで使用できる利便性が支持され、ここ数年で小規模な飲食店や小売店などでも導入が進み、中国だけでなくアジアでもユーザー数を伸ばしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

週刊人工知能 2018年5月28日から6月2日

 

人工知能が「万引きGメン」に 被害額は4割減


NTT東日本ベンチャー企業のアースアイズが、AI(人工知能)技術を活用した、万引き防止サービスを6月下旬から提供する。先行導入した店舗では、導入前と比べると万引き被害額が約4割減ったという。
 小売り店舗にAI(人工知能)を搭載したカメラを設置し、来店者の不審行動を検知して万引きを防止するサービス「AIガードマン」を、NTT東日本ベンチャー企業のアースアイズ(東京都中央区)が6月下旬から提供する。
 店内のカメラが来店者の不審行動を自律的に検知し、NTT東日本クラウド経由で、店員のスマートフォンに位置や静止画などの情報を通知する。通知を受けた店員が不審者に「何かお探しですか?」などと声掛けし、万引きを防ぐ。

 


AIで新製品名を提案、京王電鉄電通大教授と新会社。

 京王電鉄電気通信大学坂本真樹教授と共同で、人工知能(AI)を活用したサービスを展開する新会社、感性AI(東京都調布市)を設立した。擬音語・擬態語が人に与える印象を数値化する坂本氏の技術をもとに、新製品名を提案する事業などを展開する。
 京王電鉄が大半を出資して社長を送り込み、坂本氏は最高執行責任者(COO)に就く。
 坂本氏は擬音語・擬態語の音質特性を様々な項目で分析し数量化する「オノマトペ感性評価システム」という技術を持つ。例えば「かさかさ」という言葉を聞くと「乾いた」「弾力のない」「伸びにくい」という印象を強く与えることなどがわかるという。
 同技術を使い、製造業など依頼先が訴えたい新製品の特徴や印象に合った言葉の組み合わせなどをもとに名称を提案する。京王電鉄グループで展開するベーカリー事業での新製品名などにも活用する。

 

 

産総研、AI技術開発、意見募る、研究者に事例提示。

 産業技術総合研究所茨城県つくば市)・人工知能研究センターは人工知能(AI)に関する開発項目の事例をまとめた。日本が今後取り組むべき基盤技術として(1)人と協調できる(2)実世界で信頼できる(3)容易に構築できる――という3つの方向性を提示。これらをもとにAIに携わる研究者などに広く意見を募集し、今後の研究計画に反映させる方針だ。
 開発項目として、論文や教科書からの知識の自動的な構造化、機械学習の結果に対する説明可能性の向上、AI開発・導入工程の自動化など約20の具体例を挙げた。
 産総研は、取り組むべき技術の内容、3~5年後の目標、関連技術や研究事例などについて6月15日までメールで意見を求める。研究内容に意見を募集するのは異例という。辻井潤一センター長は「いつまでも米国の後追いをしていては意味がない。日本的なAIはどうあるべきか議論を始める時期だ」と話した。

 

農作業ロボ、自動走行、イームズジャパン、GPS・カメラ活用、水やり負担軽く

ドローン(小型無人機)開発・製造のEAMS JAPAN(イームズジャパン、溝部弘之社長)は農薬散布や水やりをする農作業ロボットを開発した。搭載カメラの映像を見ながら栽培ハウスの外から操作でき、全地球測位システム(GPS)によって直線部分を自動走行する。1台80万円前後で、人手不足に悩む花や露地物のハウス栽培農家を中心に売り込む。

 

音声認識×AI、教師の負担軽く、サカワ、黒板に投映、声拾い文字に、関連画像表示。

 黒板メーカーのサカワ(愛媛県東温市)は音声認識技術と人工知能(AI)を組み合わせた授業支援システム「Josyu(ジョシュ)」を開発した。授業中の教師の声を文字にしたり、重要単語を抽出して関連画像を表示したりする機能があり、教師の授業準備や板書などの負担が軽減できる。2019年中にも全国の学校向けに有料での提供を目指す。
 AIを活用したシステムの開発は国際大学グローバル・コミュニケーション・センターと共同で、18年初めから取り組んだ。パソコンとプロジェクターを使い、黒板に投映して利用する。
 新システムでは授業中の教師の声をマイクで拾い、文字テキストを自動作成する。さらに繰り返し登場するなど、前後の文章の関係から重要と思われる単語を抽出。重要単語として黒板の端にリストで表示する。単語を選択すると、AIがネット上から収集した関連単語や画像を表示する。

 

荷物取り出し、台車止めず、日立、AI使いロボと連動。

日立製作所は28日、物流倉庫などで荷物を取り出すロボットを、人工知能(AI)を使い台車やカメラと連動させる技術を開発したと発表した。台車を動かしたまま箱の中に荷積みされた多くの商品の中から1つだけをつかむ。取り出しにかかる時間が従来手法より38%短くなった。物流を効率化できる技術として早期の実用化を目指す。


AI監視、万引き防ぐ、映像解析、不審者を検知、NTT東とアースアイズ

 NTT東日本は28日、アースアイズ(東京・中央)と提携し、6月下旬から人工知能(AI)を活用した万引き防止サービスを始めると発表した。店舗に設置したカメラ映像をAIが解析。不審な行動をする来店者を検知し、犯行を未然に防ぐ。両社は3年間で1万店舗への導入を目指す。
 販売する「AIガードマン」は、店舗に設置するネットワーク対応のAI内蔵カメラや、不審者を検知するパターンファイルをAI、内蔵カメラに送信したりカメラで撮影した映像を保存したりするクラウドサービスなどで構成する。
 AI内蔵カメラが、店舗内できょろきょろしたり、急に立ち止まったりする来店者を自動検知する。検知したら店舗の従業員のスマートフォンスマホ)に通知し、不審な行動を取る来店者に声がけすることで万引きを未然に防ぐ仕組みだ。
 AI内蔵カメラや不審者検知の仕組みはアースアイズが開発した。「小売業では売上高の1%近くが、万引きなど商品ロスであることが珍しくない」とアースアイズの山内三郎代表は指摘する。同社の技術を使ってホームセンターで実証実験をしたところロス削減の効果があったという。
 AI内蔵カメラや不審者検知の仕組みはアースアイズが開発した。NTT東日本と組むことで販売網を拡大する。NTT東日本は、アースアイズと提携することでネットワークサービスに付加価値を加える狙い。

 


ネスレ、「健康」成長の柱、血液検査からサプリ提供。

ネスレ日本が新たな成長の柱に健康分野を据える。28日、DNAや血液検査を無料で提供し、希望すれば自社の栄養商品を購入できるサービスを始めると発表した。顧客一人ひとりに体質や不足しがちな栄養素を伝える。スマートフォンの対話アプリを通じ食習慣の改善も促す。主力のコーヒーの国内市場が飽和しつつあるなか、新しい領域を開拓する

 

 

新興国、IoTで渋滞解決、空き車線、AI誘導、信号、クラウド管理、先端技術、効果探る


 新興国であらゆるモノがネットにつながる「IoT」を使った渋滞対策が動き出した。道路整備を上回る勢いで車が増える新興国では、渋滞による経済損失が2030年に年4兆円に迫るとの予測もある。経済成長の足かせになるとの懸念が強い東南アジア諸国は、官民を挙げた対策に着手。渋滞解消の先進例を探る実験場となっている。
 タイの首都バンコクでは豊田通商がタイのチュラロンコン大学などと組み、11月にも本格運用を予定する日本の準天頂衛星「みちびき」を活用した高精度ナビゲーションシステムの実証実験を3月に始めた。日本版の全地球測位システム(GPS)と呼ばれるみちびきは日本からオーストラリアにかけての上空を8の字を描くように飛行。東南アジア各国のナビサービス普及を後押しすると期待されている。
 バンコクでの実証実験では位置情報の誤差は約10センチメートルで、これまでわからなかった車線単位の混雑状況まで把握できる。GPSを搭載したタクシーやトラックなど約15万台の位置情報も併せて人工知能(AI)で分析し、混んでいれば赤色、空いていれば緑色などと混雑状況を色分けし、空いた車線に車を誘導する。豊田通商は「2年後の実用化を目指す」と話す。
 シンガポールでは混雑を減らすため、都心部に入る車に課金する電子式道路課金システムを導入しているが、20年にも測位衛星システム(GNSS)を使った次世代型に切り替える計画だ。次世代型では従来のようなゲートが不要となる。国土が狭く道路拡張に限界があるため、先端技術の導入に力を入れる。
 インドネシアでは独ダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスが今年発売する中型トラック「ファイター」にトラックの経路を記録する運行システムを搭載した。混雑の少ない最適ルートの立案に役立てる。インドネシア独自のサービスで、IT(情報技術)を使って運用を効率化し、燃費効率を改善する。
 マレーシアでは1月、政府系機関が中国アリババグループと組み、首都クアラルンプール中心地の信号機をクラウドに接続する計画を打ち出した。信号281基とカメラ382台のデータから交通状況を分析。最適な信号切り替えを通じて、渋滞を緩和する。
 こうしたアジアの新興国で進む渋滞対策について、新興国の都市交通に詳しい横浜国立大学の中村文彦教授は「先進国をしのぐスピード感で高度な技術導入の検討が進んでいる」と指摘する。
 17年の東南アジア主要6カ国の新車販売は前年比5%増と2年連続で拡大した。一方、道路インフラ整備が追いつかず、オランダの地図サービス会社トムトムがまとめた渋滞都市ランキングでは、上位をアジアや南米の新興国が占める。日産自動車とみずほ総研の推計によると、渋滞が原因の経済損失は東南アジアや南米、インドなどの新興国で30年に3兆9000億円に達する見込み。人件費や物流コストの上昇は経済成長の重荷になりかねず、各国は対策を急いでいる。
【表】渋滞都市ランキングは上位に新興国が目立つ   
1  メキシコシティ(メキシコ) 
2  バンコク(タイ) 
3  ジャカルタインドネシア) 
4  重慶(中国) 
5  ブカレストルーマニア) 
6  イスタンブール(トルコ) 
7  成都(中国) 
8  リオデジャネイロ(ブラジル) 
9  台南(台湾) 
10  北京(中国) 
(注)蘭トムトムの「交通量指数2017」から作成。人口80万人以上の都市が対象  

 

 

 

需要予測システム全店で、ワークマン、在庫を適正化。

 作業服販売店チェーンのワークマンは販売状況などを基に発注数を自動で決める需要予測システムの導入を進める。店舗は在庫数などを入力することなく、端末のボタンを押すだけで本部に発注できる。現在80店強で導入しているが、2020年3月までに約820の全店に広げる。従業員の作業軽減を図るとともに、在庫を適正化して販売効率を高める。

 

エア・ウォーター室蘭工大と連携協定、農業・食品の新技術で。

 産業ガス大手のエア・ウォーター室蘭工業大学(北海道室蘭市)は、北海道で農業・食品分野の新技術を開発するための包括連携協定を結んだ。加工用野菜のロボット栽培技術や、人工知能(AI)を活用した温室栽培の自動制御技術などを共同研究する。農産物に含まれる機能性成分の量を高精度で分析する技術などでも連携する。
 研究者同士の交流や相互派遣を通じ、複数の研究を同時並行で進める。インターンシップ(就業体験)など学生の教育でも協力する。協定期間は1年間だが、研究の進展状況に応じて更新していく。
 エア・ウォーターが大学と包括協定を結ぶのは初めて。同社グループの農業・食品関連事業の売上高は1300億円で、全体の18%を占める。ただ、生産現場の人手不足や利益率の伸び悩みなどの課題も出ている。室蘭工大の技術を活用し、農産物や加工食品の生産効率の向上につなげる。
 国立大学は国からの運営費交付金が減少。室蘭工大にとって同社との連携は共同研究を通じて外部資金を獲得する好機になる。

 

NECとマルイ農業協同組合、死んだ鶏、AIで確認。

 NECとマルイ農業協同組合(鹿児島県出水市)は28日、鶏舎に人工知能(AI)を導入する実証実験を始めたと発表した。台車に載せたカメラで鶏舎内を撮影し、あらかじめAIに学習させた画像と照らし合わせて死んだ鶏を検知する。作業員の負担を減らせ、卵の品質向上につなげる。2020年度に実用化する。

 

新潟市、AI使い音声翻訳。

 新潟市人工知能(AI)を使った音声翻訳システムの本格的な窓口運用を6月に始める。凸版印刷の実証事業の一環で、2019年3月末まで試用する。市は使い勝手や課題などを踏まえて本格的な導入を検討、外国人住民の利便性向上につなげる。
 音声翻訳システムは新潟市西区役所の窓口で運用し、外国人の転入・転出届などの手続きに生かす。専用アプリを搭載したタブレット端末を使い、英語や中国語、ベトナム語など10カ国語に対応する。タブレットのスピーカーにふき込んだ言葉を翻訳し、文字と音声の両方で伝える。新潟市は4~5月にも一部の外国人住民向けにシステムを活用してきた。長い文章や敬語は正確に翻訳できないといった課題が出ており、6月から「簡潔な表現を使って対応する」

 

 

テスト採点・集計、ITで、NECやキヤノンMJ、自動化、教員の負担減

 NECやキヤノンマーケティングジャパンは小中学校や高校の学科試験の採点を支援するシステムを開発した。テストの解答用紙をスキャンして読み取り、自動で採点したり、採点結果を集計したりする。小中学校や高校では教師の仕事の負担の軽減が課題となっており、IT(情報技術)を活用した業務の自動化を後押しする。
 NECが開発した「テスト採点支援ソリューション」は解答用紙を専用端末でスキャンしてパソコンに取り込むと、生徒の手書きの解答を問題単位ごとに一覧で表示し、解答が正しいか間違っているかは教師が判断する。その結果の採点はシステムが自動でする。
 採点結果のデータを集計して、問題ごとの正答率や合計点を一覧表示することもできる。問題の作成から学科試験の実施、解答用紙の回収といった従来のやり方は変えず、採点作業や採点結果の集計作業にかかる時間を短縮する。
 1学年の生徒数が117人の学校で英語の試験を実施し、採点したところ1時間35分で採点や試験結果の集計ができた。従来の方法と比べて約45%短いという。教師は採点していた時間をその他の学習指導などに使うことができる。価格はオープンだが、A4用紙対応でパソコン3台を使用する場合、30万円前後を見込む。今月から出荷し、初年度3000件の販売を目指す。
 キヤノンマーケティングジャパンは6月から中学校や高校の学科試験で、採点した結果を自動で集計するシステムを教育機関向けに販売する。子会社のキヤノンITソリューションズで研究開発を担うR&D本部と組み、紙から文字を読み取る際に人工知能(AI)を活用して精度を高めた。小中高校や大学の現場に取り入れ、教員の業務負担を軽くする。
 発売する「イン キャンパス スキャン」は、教師が採点した後の解答用紙をまとめてスキャンする。光学式文字読み取り装置(OCR)エンジンが、クラウド上で学籍番号や点数を読み取る。試験用紙やリポート用紙は事前に登録し、専用の用紙を使わなくても読み取れる。
 手書きの数字や文字は、隙間や形からAIが大量のデータと照らし合わせて認識する。学生の名前や点数を自動でリストにするため、教師が米マイクロソフト表計算ソフト「エクセル」にいちいち入力して集計する手間や時間が省ける。
 システムはクラウドを通じて提供する。価格は小中高校向けが年間税別50万円から、大学向けは100万円から。今後順次機能を追加し、AIによる自動採点も視野に入れる。
 教育現場では部活動の指導や事務作業などで教師の負荷が増え、生徒と向き合う時間が確保しづらくなっている。文部科学省が学校の働き方改革について緊急対策をまとめるなど、長時間労働の解消が課題となっている。NECやキヤノンMJはITによる効率化の余地が大きいとみている。

 

 

AI・ロボで介護負担軽減、パナソニック、グループの技術活用、送迎や夜間巡視、人手不足解決の糸口に。

 パナソニックが介護事業に人工知能(AI)やロボット技術を取り入れて業務負担を減らす試みを増やしている。6月には自動でデイサービスの最適な送迎ルートを割り出すシステムの導入を開始する。車いすの機能が付いた介護ベッドも海外で販売を始める。総合電機ならではのグループの技術を集めることで人手不足という介護現場の課題解決に迫る。
 パナソニックの介護事業は全額出資の子会社パナソニックエイジフリー(大阪府門真市)が手がける。介護用品の開発、販売に加え、全国でショートステイ付きの在宅介護サービス拠点を44カ所、サービス付き高齢者住宅(サ高住)を56カ所運営している。母体となる会社が設立されたのは介護保険制度が始まる2年前の1998年だから20年の歴史がある。

 


イオン未来店、中国で学ぶ、現地AIベンチャーと開発拠点、無人・ロボ「実験場」に。

 イオンは30日、中国・上海で新たな研究開発(R&D)センターを開業した。人工知能(AI)技術を持つ現地のスタートアップと設立した戦略拠点だ。ロボットによる商品の無人販売・清掃など未来型店舗の開発を担う。日本を代表する流通大手として中国企業のお手本になってきたイオンだが、今や中国は世界有数の電子決済大国だ。ネットとリアルの融合でも先を行く中国に競争力強化の処方箋を学ぶ。
 「〓好!」。手を上げて話しかけると「売り子」のようにフロアを自由に動き回っていたロボットが近くに寄ってきた。手のひらをセンサーにかざすと、ふたが開いて中にある飲料や菓子を手に取ることができる。事前に自分の掌紋と「支付宝(アリペイ)」などの決済サービスを登録しておけば、手に取ると同時に決済も完了する。
 一見普通の大型冷蔵庫にもしかけがあった。手をかざすと「カチャッ」という音が鳴り扉が開く。棚に並ぶイオンのプライベートブランドトップバリュ」のミネラルウオーターを取り出した時点で搭載カメラが商品を認識。決済も自動で完了しており、後は扉を閉じるだけで買い物完了だ。
アリババも出資
 30日にイオンがお披露目した上海のR&D拠点では、来場者がデモンストレーションを興味津々に見つめていた。
 技術を開発したのは、ディープブルーテクノロジー(深蘭科技、上海市)だ。AIや無人店舗、ロボットなどの先端技術に強みを持つ。顔認証技術を使って無人で商品を販売するシステム「テイク・ゴー」は中国の小売店などで実用化が進む。中国ネット通販最大手、アリババ集団も出資する有力スタートアップだ。

 


港湾の渋滞、AIで緩和、政府、20年に、倉庫の空きを一目で。

 政府は2020年に全国に約1000ある港湾のIT(情報技術)システムを一元化する方針だ。貿易手続きや物流情報を人工知能(AI)を使って管理し、各港湾の貨物の出荷情報や倉庫の空き状況を一目で把握できるようにする。欧州などでは港湾のIT化が進んでおり、日本も物流の生産性を高めるIT改革に取り組む。
 政府のIT総合戦略本部(本部長・安倍晋三首相)が近くまとめる成長戦略の柱と位置づけ、6月中旬に閣議決定する。全国の港湾が共通で利用するITシステム「港湾関連データ連携基盤」を20年までに導入することをめざす。必要な関連経費を19年度予算案に盛り込む。
 港湾システムは物流網を円滑に整備する上でのボトルネックになっており、政府は港湾システムの改革に本腰を入れる。特に全国の港湾の中でも、東京港周辺の交通混雑などは深刻さを増しており、経済効率性から迅速なコンテナ搬出入の必要性が高まっていた。

 

横浜F・マリノスのチケット、AI活用、価格日替わりに、前売り状況や天候で。

サッカーJ1の横浜F・マリノスは6月18日から、対戦相手や前売り券の販売状況、天候などのデータをもとに人工知能(AI)を使い一日ごとにチケット価格を変える「ダイナミックプライシング」を導入する。仮に単価を下げても販売枚数が増えれば収益が拡大する。観客は席の好みを重視するか、価格を優先するか選べる。J1で同制度を本格採用するのは初めて。

 

「まるまつ」のカルラ、食材在庫を自動で把握・納品、生産性向上・欠品減狙う。

 東北地方を中心に「和風レストランまるまつ」などを展開するカルラ(宮城県富谷市)は、店舗の販売実績を本部が自動で把握して必要な食材を店舗に納品するシステムを導入する。外食産業は人手不足が深刻になっている。必要な食材の量や種類の決定をシステムに任せ、生産性の向上や欠品の解消を目指す。
 2017年10月から、一部店舗に同システムを試験的に導入し、使い勝手などを調べてきた。今後、運用方法などを見直したうえで、18年度中に約100店全店に導入する予定だ。
 導入するシステムは店舗のPOS(販売時点情報管理)レジの情報を活用する。店舗で売れたメニューの種類や量を本部が自動的に把握し、その分だけ店舗へ食材を納品する仕組みだ。システムは自社のエンジニアが開発したため、事業費は人件費だけで済んだという。
 通常は店舗の担当者が週3日、販売データや店舗在庫を調べて本部に食材を発注する。この作業に1時間かかっているという。自動システムの導入によってこの作業時間がゼロになり、従業員は他の業務をすることができるようになる。
 カルラの伊藤真市専務は「自動システムが軌道に乗れば、概算では一店舗あたり月20時間の労働時間を削減でき、年間で7200万円の人件費が浮く」と話す。
 自動システムは店舗の欠品を減らすことにもつながる。工場から遠い店舗の場合、欠品が出た際にはトラックで再配送する必要がある。
 人手不足のなか、トラック運転手を確保するのも難しく、自動システムによって納品量が最適となれば、再配送の手間を省ける。
 ただ、同システムは今後の天候や気温、予約状況などは計算に入れていない。気温が低い日には温かいメニューが売れても、翌日には気温が上がり、あまり売れない場合もある。
 このため同社は将来的には、人工知能(AI)を活用し、POSデータに加え、天気予報や店舗の予約状況など「未来」の情報も総合的に分析して店舗に納品する食材の量や種類を決定する仕組みにシステムを高度化したい考えだ。

 

 

大和ハウス、IoT時代見据え(物流インサイドリポート)

 あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」が広がると物流に何が起きるのか、議論がかなり煮詰まってきた。一つは、情報が在庫に置き換わる。消費と生産の時間的ギャップが最小化されて、バッファー在庫を持たなくても、品切れや売れ残りが起こりにくくなる。不確かな需要予測に基づく見込み生産をやめて、実需に基づいて生産できる。
 物流オペレーションも事前に計画できるようになる。これまでは当日まで、その日の輸送量や作業量が分からず、輸送力や労働力、物流設備の処理能力に余裕を持つ必要があった。IoTを利用すれば、空車情報や倉庫の空きスペース、物流設備の稼働状況などをリアルタイムに把握でき、リソースのシェアリングも進む。IoTと人工知能、ロボット技術が組み合わさることで、人の操作や判断を必要とする業務が大幅に減る。現場作業員が機械に置き換えられて、物流業が装置産業化する。
 そんなIoT時代の物流会社を目指して昨年11月、大和ハウス工業はグループの物流関連企業を統括するダイワロジテックを設立した。倉庫管理システムのフレームワークス、3PLのアッカ・インターナショナル、物流ロボットのGROUND、配車システムのHacobuらのソリューションを統合して物流プラットフォームを提供する。4月にはそのモデル拠点となる「Intelligent Logistics Center PROTO(インテリジェント・ロジスティクス・センター・プロト)」を大和ハウス工業の物流施設「DPL市川」(千葉県市川市)に開設した。
 ダイワロジテックは輸送や保管、庫内作業などのオペレーションをサービスとして販売するのではなく、荷主と「SLA(サービス・レベル・アグリーメント)契約」を結び、フルフィルメントを保証する。それによって、どの倉庫のどの棚に何を保管するのか、どう運ぶのかという制約を取り払い、プラットフォーム全体の稼働率を最大化する。荷主は投資の負担やリスクなしに最先端の物流テクノロジーを利用できる。

 

ライブ客の真の反応、AIが分析

 アーティスト定番の曲に合わせ、ノリノリでタオルを振り回すライブ客。だがその表情をマーケティングカメラで捉えると、意外にも多くの人が「真顔」のままだった――。エイベックスはAIサービスを利用したライブ来場者分析システムの実験を2017年秋から開始した。顔の表情から、ライブ客の感情を捉えようとする試みだ。
 エイベックスは、米マイクロソフト人工知能(AI)サービス「Microsoft Cognitive Services」を利用したライブ来場者分析システムの実証実験を2017年秋から続けている。ライブ会場に設置したカメラで来場者の顔を認識して属性(年代、性別)を把握。さらにその表情から感情もリアルタイムに判別し、数値化してライブの「効果」を調べている。

 

NTTが技術、特定の人の声、AIが識別、特徴から個性分析、会話・雑音あっても高精度。

 NTTは複数の人の声が混じった音声から、特定の人の声だけを取り出して聞き取る技術を開発した。あらかじめ聞き取りたい特定の人の声を録音して人工知能(AI)で分析し、声の特徴などから識別する。人の会話を理解するロボットやボイスレコーダーなどの精度向上につながる技術として、早ければ2年後の実用化を目指す。
 スマートスピーカーや最近のスマートフォンスマホ)には、人の声を聞き取る音声認識技術が搭載されている。認識精度の向上はこれらの機器の利便性を高める上で重要だが、実際の生活では別の人の声が聞こえたり、テレビ音声などの雑音が流れたりしており、特定の人の声だけを聞き取る障害となっていた。
 NTTは声の高さや声質、抑揚などの様々な特徴をもとに、特定の人の声の個性をつかむ技術を開発した。特定の人にあらかじめ10秒間マイクの近くで話してもらうだけで、その後は複数の人が同時に話しても、深層学習(ディープラーニング)を使い、目的の人の声を選択的に抽出して聞き取れる。
 従来は2人の人の声が混ざった状態では特定の人の声は20%しか聞き取れなかったが、新技術を使うと80%の精度で聞き取れるようになった。3人が同時に話す場合や音楽などの雑音が流れている場合も、選択的に聞き取ることができた。
 特定の人の声をAIが識別する技術はこれまでもあったが、複数のマイクを用いて、声のする方向から判定していた。人間に備わっている「カクテルパーティー効果」と呼ばれる雑踏の中でも対話する人の声をうまく聞き分ける能力をAIに組み込んだ。
 現在は似た声の人では聞き分けられないことがある。声の特徴を認識する精度をより高め、声の方向で判断する技術も組み合わせ、不特定多数の人が話したり雑音が大きい状況でも聞き取れるようにする。

 

最良の縁談、AIが選ぶ、フロンテオ、婚活に提供、似た成婚例を順位付け

 人工知能(AI)を用いたデータ分析を手がけるFRONTEO(フロンテオ)は、婚活市場向けにAIを提供する。婚活支援大手のパートナーエージェントが持つ会員データを分析し、マッチング精度を高める。AIを活用することで紹介を担当するスタッフの負担を軽減し、会員の満足度向上につなげる。
 6日から、フロンテオのAI「KIBIT(キビット)」をパートナーエージェント向けに提供開始する。結婚を前提にマッチングした会員同士の「成婚データ」と、現在登録している会員のデータを読み込むことで紹介に生かす。
 例えば女性会員の紹介相手を探すとする。女性が記入した自身の趣味や価値観、男性に求める年収や身長、担当スタッフが書いた紹介文といった文字の情報をAIが読み込む。次に過去に登録していた会員の中から、女性と似た特徴を持つ人を探す。その会員が成婚した相手に似た男性を表示する。
 AIは0~1万点の間で女性に合いそうな男性をスコアリングし、上位から順に並べる。担当スタッフはランキングを参考に紹介相手を選べばよい。パートナーエージェントでは試験的に、過去に成婚した会員データにAIを読み込ませた。するとスタッフがAIを使わず合いそうな相手を選んだ場合に比べ、実際に成婚した相手が上位20%に出てきた確率が1・5~2・5倍に高まったという。
 これまで担当スタッフは経験に基づいた勘を頼りに紹介相手を探していた。年収や希望の身長など数字で検索できる項目もあるが、経験の浅いスタッフは特に苦労していたという。さらに自分の担当している会員に合いそうな相手がいない場合はスタッフ同士でメールや電話で情報を共有する必要があり、手間がかかっていた。
 フロンテオのAIは企業のコンプライアンス(法令順守)違反の発見から、採用活動の書類選考まで幅広い用途がある。人柄や好みなど、数字や単語だけでは分析しづらい婚活市場にも需要があると見て参入を決めた。

 

 

女性起業家、9億円調達、シナモン、AIで事務代行

 人工知能(AI)開発のシナモン(東京・港)が10億円近い大型調達に成功した。社長の平野未来氏=写真=は東大大学院在学中に起業経験のあるシリアルアントレプレナー(連続起業家)で、技術系の女性起業家のロールモデルとして注目されている。
 英国際会計事務所アーンスト・アンド・ヤングが1~3月にネットを通じて実施した世界21カ国・地域2766社の中堅企業調査によると、女性起業家の52%が「外部から資金調達できない」と回答。男性起業家の30%を上回り、性差による壁の厚さが浮き彫りになった。
 シナモンはこれを、ユニークな着眼点と技術力で突破した。販売する「フラックス・スキャナー」は、契約書や請求書などのPDF、ワード文書、手書き資料をAIが読み取り、デジタルデータで集計・出力できる。定型文書の読み取りサービスは他にもあるが、形がそろわない文書にも対応できるのは珍しい。企業向け音声認識ソフト「ロッサボイス」も開発中だ。
 今回、SBIインベストメントなど5社と金融機関から約9億円を調達した。8月末までに第三者割当増資による2億円の追加調達も予定している。

 

データ共有で競争力、セブンなど、10社が協力、経産省補助金など新制度。

 日本の産業界で企業の枠を超えたデータ活用が広がる。セブン&アイ・ホールディングス(HD)やNTTドコモなど10社は6月から、ビッグデータ(3面きょうのことば)の共同活用に乗り出す。これとは別に経済産業省は企業間の産業データ共有を支援する制度を始める。人工知能(AI)の進化を受け、データの活用法は企業の競争力を左右する。「データ資源」を求め企業が手を組む動きが加速する。
 セブン&アイとドコモのほか、東京急行電鉄三井物産三井住友フィナンシャルグループなど異業種の10社がビッグデータ活用で協力する。1日、研究組織「セブン&アイ・データラボ」を発足。データ共有の手法や事業化の検討を進める。
 セブン&アイは1日約2300万人分の消費データを得ている一方、ドコモは約7600万件の携帯利用者を抱える。各社はデータを共有することで情報量を増やし、AIを使ったデータ分析の精度向上や、以前は得られなかった解析結果の取得につなげる。
 例えばセブン&アイの消費データとドコモの携帯電話の位置情報を掛け合わせる。日常の買い物が不便な地域を割り出し、ネットスーパーの展開に役立てることができる。人の動きや嗜好を組み合わせれば、魅力的な街づくりや効果的な出店計画なども可能になる。
 まずセブン&アイと他社が1対1でデータを共有し分析結果を参加企業で共有。全社のデータを一元的に活用する仕組みを検討するほか、10社以外にも参加を呼びかける。データは個人を特定できない形に加工し、プライバシーを保護する。
 一方、経産省は製造ノウハウなど産業データの共有を支援する制度を始める。参画する企業に補助金を出すほか、6月にも施行する生産性向上特別措置法をもとに減税措置を取る。
 日本郵船商船三井などはこの制度を活用し、船舶の運航データを共有。気象条件によってエンジンがどのように動くのかなどのデータを共有し、省エネ船や自動運航船の開発につなげる。
 JXTGエネルギーや出光興産など石油元売り大手も、製油所の配管の腐食データなどを共有し、効率的な保守点検を目指す。各社は競合関係にあるが、データの一部を共有することで無駄をなくし、個別の注力分野に人材や資金など経営資源を集中的に投下する。
 ドイツでは工場にあるロボットの稼働状況を企業間で共有して効率化を図るなど、データを活用した生産改革の動きが広がる。日本は現場での擦り合わせに強みを持つ一方、企業の枠を超えたデータ共有による生産性の向上は遅れていた。
 これまでは技術力やブランド力が企業の価値の中核を占めた。経済のデジタル化が進むなか、企業の価値にデータ資源が加わる。今後、データ獲得へ向け企業の合従連衡が進む可能性がある。
 公正取引委員会は2017年6月に独占禁止法の適用指針を公表。データの集積や利活用は競争を促す一方、寡占により競争が損なわれる場合は独禁法による規制が考えられるとした。産業全体でデータを活用し価値を生むための仕組み作りが必要になる。

 

野村総研がAI「仮想秘書」

野村総合研究所人工知能(AI)を応用した「仮想秘書」サービスを10月にも開始する。仮想秘書を介して、定型作業を自動化するソフトウエア「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の適用範囲を広げる。これまで難しかった交通費精算などの作業にもRPAを利用しやすくなり、RPAの活用企業は従業員の作業効率を高められるという。

 

 

 

 

 

 

 

 

週刊人工知能ニュース 2018年5月23日から27日

 

5月22日から27日

 

論文、ネットで事前公開、グーグルやNECなど、「学術誌より先」広がる、独創性素早く確保。

大学や民間企業の研究者が通常は学術誌に掲載する研究論文を出版前にもかかわらず、インターネット上で公開する動きが相次いでいる。
 2017年12月、ネット上に公開された1つの論文が話題を呼んでいる。米グーグルの持ち株会社アルファベット傘下の英ディープマインドの研究者らが公開した論文。プロ棋士の手を学ばず人間の世界トップ棋士より強い囲碁用AI「アルファ碁ゼロ」を、将棋やチェスにも応用した「アルファゼロ」に関する研究だ。
 論文は19ページで、ネット上で誰でも論文を投稿できる「プレプリントサーバー」と呼ばれる専用システムだけに投稿された。数時間の自己対戦で将棋やチェスの世界最強ソフトを超える強さを獲得したと説明した。
 大学や民間企業の研究者が通常は学術誌に掲載する研究論文を出版前にもかかわらず、インターネット上で公開する動きが相次いでいる。学術誌に投稿せずネットだけに公開するケースもある。人工知能(AI)やIT(情報技術)など技術革新が加速し、素早い研究成果の公開で独自性(オリジナリティー)を確保するほか、共同研究者を募るのが狙い。信ぴょう性の乏しい研究が公表される恐れもあるものの、学術誌による公開で真理を探究してきた科学研究の流れが変わりそうだ。
 2017年12月、ネット上に公開された1つの論文が話題を呼んでいる。米グーグルの持ち株会社アルファベット傘下の英ディープマインドの研究者らが公開した論文。プロ棋士の手を学ばず人間の世界トップ棋士より強い囲碁用AI「アルファ碁ゼロ」を、将棋やチェスにも応用した「アルファゼロ」に関する研究だ。
 論文は19ページで、ネット上で誰でも論文を投稿できる「プレプリントサーバー」と呼ばれる専用システムだけに投稿された。数時間の自己対戦で将棋やチェスの世界最強ソフトを超える強さを獲得したと説明した。
 この論文が、コンピューター囲碁の研究者やプロ棋士が参加して1月に電気通信大学で開いた研究会で議論された。研究会を主催した電通大伊藤毅助教は論文には十分な情報がなく成果をうのみにできないものの「囲碁の手法が将棋やチェスといった思考ゲームにも広く応用できる可能性を示したことは意味がある」と評価。学術的なインパクトは大きく、情報公開によって研究の進展が加速するからだ。
 NECもITなどの研究成果をプレプリントサーバーへ積極的に公開。幅広い企業や研究者に成果を知ってもらうためだ。同社の西原基夫執行役員は「先端技術を早期に公開し、関心を示した外部企業と連携する重要性が増している」と説明する。
 ヤフーも周囲の研究者や企業からの反応を次の研究に生かすことを優先。AIなど旬の研究テーマなどで、早期に成果を公開した方がいいと判断した約1割の論文は学術誌より先行し同サーバーに掲載する。NTTも研究分野における自社の存在感を高めるため、一部の論文を同サーバー上で公開している。
 大学でも動きが進む。東京大学京都大学理化学研究所などの研究者がプレプリントサーバーを利用する。
 AIや数学、物理などの論文を掲載する米コーネル大学図書館運営のサーバー「arXiv(アーカイブ)」に17年の1年間で投稿された論文数は12万件で、07年の2・2倍になった。

 

ビズリーチ、AI人材採用へインフラ

人材サービスのビズリーチ(東京・渋谷)は、エンジニアやデザイナーらIT関連の人材採用拡大に向け、情報インフラの投資に乗り出す。総額約1億円を投じ業務用の高性能パソコンを約140台導入。人工知能(AI)で最適な求人先を探すなど高度な情報処理ができる体制を整え、現在300人強の技術者を1年で3割以上増やす計画だ。
 同社は全社員の3割がエンジニアや、利用者の使いやすさ向上などを担当するデザイナー。人材サービスにAIなど最新技術を使った「HRテック」に力を入れ、香港など海外での採用も進めており、100人増やす。

 

AI・IoT・フィンテック、都、海外企業の発表会。

 東京都は海外企業を都内に呼び込むプログラムを実施する。人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」のスタートアップを呼び、ビジネスプランの作成や発表をしてもらう。フィンテック関連企業による企画も同時に実施する。日本企業と連携させ、東京でビジネスすることのメリットを訴える。
 プログラムはIT(情報技術)企業による「テックビジネスキャンプ東京」と、「フィンテックビジネスキャンプ東京」の2本。それぞれ8月に約10社の海外企業を選ぶ。10月からビジネスプランを作成してもらい、11月下旬に発表する。
 プランの作成では国内企業や金融機関と組むようにする。発表会には投資家らを招き、資金調達にも直結させる。国際競争力の向上や、都が目指している「国際金融都市」につなげる。

 


自治体業務、AIが担う、都主税局、チャットで応答、港区、議事録の作成支援。

 首都圏の自治体が住民サービスや庁内の業務で、人工知能(AI)を導入する例が相次いでいる。AIがごみの分別や税金を巡る住民からの問い合わせに自動対応するほか、従来は人手で取り組んでいる文章の処理作業を代替する。職員の負担軽減に加え、サービスの質の向上につなげる。技術を提供する民間企業の側にとっては、AIの学習機能を高める機会となる。
 横浜市は4月からNTTドコモと組み、AIを活用したごみの分別案内を本格的に始めた。「イーオのごみ分別案内」というコーナーを市のホームページ内に設け、チャット形式で市民からの問い合わせに答える。2万種類ものごみの捨て方に対応できるという。
 市は2017年3月から、市民がチャットを試せる実証実験を実施。期間中の利用件数は210万件を超え、担当者は「かなり手応えがあった」と話す。
 自動車税に関する問い合わせでAIによるチャットを始めたのは東京都主税局。「自動車税について知りたい」「どこで払えばいいのか」といった文字で入力した質問に、AIが内容を分析し適切に回答する。
 自治体は会議が多い。きちんとした議事録の作成の重要性は公文書管理や情報公開の面から高まっている。東京都港区はAIの音声認識や学習の技術を活用した議事録の自動作成支援ツールを5月中に導入する。
 AIの学習機能を使えば、区が使っている独自の用語や、地名など固有名詞にも対応できるようになるという。従来は職員や外部の委託先が手作業で取り組んでいた。職員の負担軽減と委託経費の削減を目指す。
 認可保育所の入所選考という膨大なデータ処理をAIができないか模索する動きもある。
 さいたま市は17年、富士通などの実験に協力した。申請者約8000人分を匿名化したデータから、AIが親の勤務状況などの条件を点数化し、数秒で最適な組み合わせを割り出した。例年1月、約30人の職員が手作業で入所先の割り当て作業をしている。17年と18年は約50時間かかったという。
 同市は職員の時短に加え、申込者にも早く結果を伝えられると評価する。ただ、職員が手作業の過程で各世帯の状況を把握することが、保留扱いとなった子どもへの対応にも役立つ面があるとしている。「AIの利点はあるが、住民サービスの質の面を総合的に判断して、今後導入について検討したい」(保育課)と強調する。

 


部下との面談、AIが分析、村田製など、商用化めざす。

 村田製作所は21日、KDDIと共同で人工知能(AI)を使って、管理職と部下の面談の質を向上させる実証実験を5月下旬から始めると発表した。会議室にセンサーを設置し、管理職と部下の発言の回数や長さ、声のトーン、テンポなどのデータを蓄積する。
 AIを通じて対話がどれだけできているかといった分析をし、管理者に結果を伝えて役立てる。実験をもとに商用化を目指す。
 村田製が開発したAI「NAONA(ナオナ)」をベースに、KDDIグループのクラウドサービスなどを組み合わせる。
 まず、コールセンターのベルシステム24(東京・中央)と、KDDIエボルバ(東京・新宿)で実験を始める。
 村田製は部品事業が主力だが、AIを新規事業として育成している。NAONAはすでに保育園の児童の状態監視でも実証実験した。
 新しいサービスは2018年内の実用化を目指している。

 

無人コンビニ即出店、商圏50メートル、オフィスの席チカ、アマゾンgoと別の道

流通業界が人手不足と労務コストの上昇に直面する中、スタートアップの600(ろっぴゃく、東京・渋谷)が無人のミニ・コンビニエンスストア事業を立ち上げた。米アマゾン・ドット・コムの「amazon go」などとは方向性が異なり、機能を絞り込んだ軽装備システムで店員ゼロを実現しようとする試みだ。

 

素材開発へAI人材育成、東レなど産学官連携、5年で1500人、来年度開講。

 東レ昭和電工など素材大手は、東京大学などと組みビッグデータを新材料の開発に生かす人材の育成事業を始める。人工知能(AI)を素材開発に活用する、次世代の開発手法を習得した即戦力を5年間で1500人育てる計画。競合の海外の素材大手や、国内の異業種とのデジタル人材の獲得競争に備え、産学官の連携を強化する。
 このほど東レなど2社のほか、積水化学富士フイルム三井化学と業界団体、東大などで構成するコンソーシアム(共同体)を立ち上げた。
 人材育成の対象になるのは、AIを活用し開発期間を大幅に短縮できる「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」と呼ばれる分野。2018年度中にあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の通信技術や、実際の材料を使ったデータ分析手法などの講座のカリキュラムを作成する。

 


IoT産業育成、長崎一体で、84社が協議会、県も連携支援、企業間でマッチング。

 長崎県でロボットやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」産業を育成する動きが活発になってきた。造船など既存事業で蓄積してきた技術を新分野に応用できる企業がすでに80社以上ある特性を生かし協議会を設立、県や長崎大学も支援する。地域活性化につなげる考えだ。
ロボやAIも
 「長崎県次世代情報産業クラスター協議会」では、ロボットとIoTのほか機器などへの組み込みシステムや人工知能(AI)の産業化に取り組む。今後は地元企業への普及啓発のセミナーや長崎大学と連携した専門講座などを実施。人材育成も支援する。高度な技術を持った企業と活用したい企業をマッチングさせる事業も手掛ける。
 事業化に向けてグループを築いた地場企業に対して専門アドバイザーなどの派遣や外部資金の獲得支援も実施する。県も協議会を全面的にサポートする方針で、ロボットやIoTのシステム開発や実証試験を実施する際の経費を補助する制度も始める。
 長崎県内には関連企業が既に80社以上あるという。システムファイブ(長崎市)はIoT関連事業に進出し、大新技研(佐世保市)はロボット関連や電子カルテ事業を手掛けている。県では「県内にも既に技術を有する企業があり、連携などを支援することで、地域産業の核に育成していく」(産業労働部)方針だ。
会長「産学官で」
 協議会は84社が参加し、会員は増やしていく方針。会長にはNDKCOM(長崎市)の中野一英社長が就き、「地域を担う産業にするため精いっぱいやっていく。産学官を挙げて取り組みたい」と語った。

 

好みの旅行、AIが提案、KNT―CT、近ツーなど傘下の会員基盤統合、店舗活用、ネット販売本腰。

 旅行大手のKNT―CTホールディングスが旅行商品のインターネット販売に本腰を入れる。AI(人工知能)が会員の好みに合った旅行商品を提案するシステムを開発するほか、2020年には傘下の近畿日本ツーリストクラブツーリズムのサイトや会員基盤も統合する。ネット商品の店頭での説明にも力を入れるなど、オンラインと店舗の両輪で需要取り込みを目指す。
 今後3年間で94億円のIT(情報技術)投資を計画する。ネット経由の旅行商品は価格競争に陥っているが、「価格のみで勝負はしない」(KNT―CTホールディングスの丸山隆司社長)。ネット販売でも添乗員が同行するツアーやテーマごとに各地をめぐる旅など、企画旅行を品ぞろえの目玉にする。
 顧客の嗜好に応じた旅行を企画することで、価格競争を避けながら、独自性を打ち出していく。IT投資は今後3年で94億円を計画し、AIによる会員の好みに応じた商品提案システムなどを開発していく。
 傘下の近畿日本ツーリストクラブツーリズムのサイトも20年に統合することで、安定した顧客基盤を活用してネット販売を伸ばしていく。2社合わせた会員数も現在の1000万人弱から1200万人に増やす方針。旅行の取扱高に占めるネット売り上げの比率を17年度の27・5%から、21年度に50%に引き上げる。
 全国に150ある店舗は維持しながら、「店頭でもネット商品を販売する」(丸山社長)。自社のスタッフが商品をより詳しく説明するなどネットだけでは伝わりにくい商品の魅力を伝えることで、ネット専業との違いを明確にする。

 

マイクロソフト、障害ある人助けるAI研究助成。

マイクロソフトは障害のある人の困難を取り除くために人工知能(AI)を使う活動に2500万ドル(約27億円)を助成する5年間のプログラム「アクセシビリティのためのAI」を始める。研究者や非政府組織(NGO)に助成をしたり開発コンテストを開いたりする。例えば、音声やジェスチャーの認識AIを用いて、手足に障害がある人や難聴の人でも不自由を感じずに暮らせる技術やサービスの研究開発を促す。助成プログラムで得た成果について、将来は自社のクラウドサービスに組み込んで提供する考えだ。

 

米IT投資拡大のイスラエル、ハイテク人材育成急げ、女性などにプログラミング教育、10年で倍の50万人めざす。

1948年の建国から70年を迎え、先端技術を次々に生み出す「スタートアップ国家」として注目を浴びるイスラエルがハイテク分野の人材不足に直面している。米IT(情報技術)大手からの投資流入に人材供給が追いつかない。政府は今後10年でハイテク分野の労働者数を現在の27万人から50万人に増やす計画を掲げる。女性やアラブ系、ユダヤ教超正統派の人々の労働市場への取り込みがカギとなりそうだ。

 

富士通のサイバー防衛――イスラエル発2社と提携、軍事技術の民間移転に力

 富士通がサイバー防衛分野の取り組みを強化している。このほどイスラエル発祥の2社と提携した。イスラエルは軍事技術に端を発したIT(情報技術)やサイバー分野に精通した人材が多く、相次ぎ有望なスタートアップ企業が生まれている。世界中で国や企業へのサイバー攻撃が増えるなか、自社技術を補完できる他社の知見の取り込みを急ぐ。
 富士通が提携するのは「サイバーリーズン」と「イントサイツ サイバー インテリジェンス」の2社。ともに現在の本社は米国だが、もともとはイスラエル発祥の企業。イスラエルは軍事技術の民間移転と起業支援に力を入れており、サイバー分野やAI(人工知能)、自動運転といった先端分野で近年、有力企業を多く輩出している。富士通は提携により関連サービスの領域を広げ、2019年度に世界でのサイバー防衛関連製品・サービスの売上高3000億円をめざす。
 サイバーリーズンは攻撃を受けた端末の作動や攻撃者の動きをAIで分析して、未然の攻撃検知につなげるサービスを手掛ける。このサービスと富士通のエンジニアによる24時間サポートを組み合わせて顧客企業に提案する。
 イントサイツとは一般人がアクセス困難なウェブ上の領域での攻撃情報を収集するサービスで協業する。イントサイツが集めたデータから、富士通が顧客企業に応じた脅威情報を抽出・分析する。9月ごろまでのサービス開始を検討する。

 


物流ロボット――東芝ロボティクス・画像セキュリティ事業責任者柚井英人氏、24時間自動荷下ろし

 東芝は物流倉庫で荷物の荷下ろし作業を自動化するロボットを開発した。台車に積まれた大きさが異なる箱をセンサーで検知し、1個ずつ吸盤で取り出してコンベヤーに移す。郵便物を仕分けする際に宛先を読み取る画像認識技術を応用し、荷物の形や隙間を区別する。どの荷物を下ろすのか、事前に登録する必要がないため使いやすい。30キログラム以下の荷物なら毎分約7箱荷下ろしできる。4月に発売し、飲料水や食品の在庫を置いているスーパーからの受注を目指している。ロボティクス・画像セキュリティ事業責任者の柚井英人氏に聞いた。
 ――物流ロボットを開発したきっかけは。
 「人手不足で物流倉庫では荷下ろしする従業員が確保できずに悩んでいる。2リットル入りペットボトル飲料6本を詰めた段ボール箱の重量は12キロになる。山積みになった重い段ボール箱を腰を折り曲げて荷下ろしするのは重労働だ。荷下ろし作業のスピードも時間がたつと疲れてきて遅くなる。だが、ロボットであれば一定の速度で24時間作業ができる」
 「東芝は郵便物の宛先情報を読み取って仕分けする画像認識技術を持っているが、郵便物市場は縮小している。既存技術の新たな使い道として、物流現場に応用したいという議論を数年前からしていた」

 

アマゾン1000人新規採用、事業拡大に対応、都内に新オフィス。

 アマゾンジャパン(東京・目黒)は22日、国内で正社員を1000人新規採用すると発表した。東京で事務職と技術職を採用し、2割増の7000人規模にする。また都内に新オフィスを設けるとも発表した。同社は人工知能(AI)スピーカーの販売など事業拡大を活発化させている。人材とオフィスの両面で事業の拡大に対応できる体制を整える。
 来年までに1000人の追加採用を目標とする。新規採用はマーケティングや財務などのコーポレート職、および機械学習クラウドコンピューティングなどの技術職を対象とする。
 採用と併せ、新オフィスをJR目黒駅近くに設ける。AIスピーカーやクラウドサービスのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)関連の部署が入る予定。延べ床面積は約2万平方メートルで、今夏にも開設する。既存のオフィス(約3万平方メートル)も引き続き稼働させて「日本での事業拡大と顧客へのサービス提供能力の強化に努める」(同社)。

 

日立系、AI使い計算、食卓写真1枚で1食分栄養管理。

 情報通信システム開発の日立ソリューションズ・クリエイト(東京・品川)は人工知能(AI)を使い、食卓に並んだ料理の栄養成分を一括で計算するシステムを開発した。複数の品目を1枚の写真におさめれば、塩分やビタミンなどの栄養成分の量を割り出す。手軽に栄養管理ができるシステムとして、企業や病院など向けに2018年度中の製品化を目指す。
 AIに「ご飯」や「味噌汁」など約40品目と、エネルギーやたんぱく質、ビタミンなど約50種類の栄養成分を品目別に覚えさせた。料理をカメラで撮影すれば、AIが画像中の品目が何かを記憶済みのデータと照合して判断し、栄養成分ごとの合計値を出す。
 画像から料理の品目を見分けるシステムはこれまでもあったが、1枚の写真で複数の品目を一度に認識できるのは珍しいという。1食分を1枚だけで計算できるので、栄養管理が手軽になる。製品化の段階では判別できる品目を約600種類に増やす。食べた分量を認識する技術も開発する。
 システムは、自宅で撮影した料理の画像を管理栄養士やスポーツジムのトレーナーに送り、アドバイスをもらうといった用途を想定している。

 

デジタル変革担う40代技術者(日経BP専門誌から)

 企業における40代のIT技術者の役割が大きく変わりつつある。これまでは「管理業務を担える人材」として期待されていたが、デジタル変革の担い手として大きな注目が集まっている。
 「40代のIT技術者は得意な専門分野を持ち、それを軸にほかの分野のスキルも身に付けている。年代別に見て、総合的な能力は最も高い」。ネットワーク構築大手のネットワンシステムズで人事部門を統括する荒井透取締役常務執行役員経営企画本部長は断言する。40代はスキル、経験が充実して、技術者として最も脂が乗っている。
 部署やプロジェクトの中核として活躍する40代の技術者だが、個人を取り巻く環境は不安定だ。
 年金支給年齢の引き上げや定年延長により、20年以上は仕事を続けなければならない。同世代やすぐ上の世代が多く、出世が難しい。スペシャリストとしての生き残りを図るには、次々と出てくる新技術のキャッチアップが求められる。自身の将来に一切の不安がない40代技術者はまずいないだろう。
 少し前まで、企業が40代技術者に期待する役割は明確だった。「マネジメント(管理)業務を担える人材」だ。会社で長く生き残るには、管理職として出世していくことが唯一最善の策だった。
 ただ、出世コースを歩むのは一握り。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、情報通信業における全正社員に占める管理職(課長以上)の比率は2割に満たない。40代で課長に上がれた技術者でも、部長、役員と上がっていけるのはごく少数だ。
 では、管理職になれない技術者は無価値なのか。かつて、そうした技術者がリストラのターゲットにされた時代があった。ただ、最近は会社側も非管理職への扱いを変えつつある。現場でデジタルビジネスを創出する役割を期待するようになっている。
 クラウドやデータ分析、人工知能といった新技術に詳しい「技術のスペシャリスト」や、デザイン思考や事業創出に精通して事業化を推進する「デジタルビジネスのリード役」といった役割である。
 富士通はまさにこうした役割として、2017年5月に「デジタルイノベーター」という新しい職種を定義した。富士通の山本幸史グローバルサービスインテグレーション部門ビジネスマネジメント本部人材開発部長は「経験を積んだ40代技術者には、管理職でなくても価値を生み出せる人材がたくさんいる」と説明する。
 背景には、ITを取り巻く環境が激変しているという事情がある。ユーザー企業は基幹系を中心とした業務効率化の「守りのIT」から、ビジネス変革を狙う「攻めのIT」へと投資の対象をシフトさせている。システムインテグレーション(SI)ベンダーの基幹系を中心としたSIビジネスは曲がり角を迎えており、攻めのIT投資を受け止める新規ビジネスの創出が経営課題になっている。
 デジタルビジネスの現場で最も期待されているのが、実は40代技術者だ。富士通でデジタルイノベーターを率いる半田智子デジタルフロント事業本部デジタルイノベーター推進統括部統括部長は「20代や50代もいるが主力は40代。40代の非管理職がデジタルイノベーターの約半分を占める」という。
 「デジタルビジネスは変化が激しく、全てを網羅した研修メニューの用意は難しい」(富士通の山本部長)。会社はスキル獲得を目指す技術者の支援はするが、何を学べばいいのかのレールまでは用意できない。会社の研修に頼らず、自己学習をするという姿勢が求められる。

 


消費行動理解するAI、楽天、潜在層開拓に活用。

 楽天ビッグデータを分析し消費行動を理解するAI(人工知能)「楽天アイリス」を開発した。楽天アイリスを使えば、導入した企業は購入の可能性のあるユーザーを選び出すことができる。広告配信などをより効率的に実施できるという。
 楽天技術研究所(東京・世田谷)、楽天のデータサイエンス部などが共同で開発した。購買の傾向や価格、ユーザーの属性など約920項目を分析し点数化する。購買実績のないユーザーのうち、購買したことのある人と似た特性をもつユーザーを選び出す。
 新規顧客の開拓に悩むメーカーなどが、まだ購入していないが「欲しい」と考えている層へ、効率良く広告を打つことができる。今後、楽天アイリスの分析やマーケティングの機能を拡充し、利便性を高める。
 楽天アイリスを使った広告配信サービスの提供も始めた。ネットのサイトや交流サイト(SNS)に表示したりメールを送ったりするオンライン広告だけでなく、ダイレクトメールの郵送や商品サンプルの配布といったリアルでのマーケティング活動にも使えるという。

 

人材配置、AIが助言、電通国際情報、社員の離職防ぐ新システム。

 電通国際情報サービスは23日、人工知能(AI)を使って、企業の人材配置を支援するシステムを開発したと発表した。従業員の経歴や資格などの人事データを分析し、従業員が能力を発揮できる異動先を助言する。これまで人事担当者の経験や勘に頼っていた人材の登用や配置、育成などの判断を客観的なデータをもとにできるようにする。
 新システム「タレントアナライズ」は同社が販売する人事情報管理システムの新機能として、9月に提供を始める。まず、各部署に所属する従業員の経歴や成績などを分析し、部門ごとに能力を発揮している人材の傾向を推測。異動対象者の中から最適な人材をマッチングさせる。
 複数の職種を経験させるジョブローテーションを効果的に実施することもできるという。新入社員が入社時に受ける適性検査の結果と、職場に配属後の能力の変化などを分析。どこの部署に配属させると成長が見込めるかを推定する。
 健康診断や家庭の状況などのデータを追加することもできる。子育てや介護など個々の従業員の事情に配慮した人事配置を指南し、優秀な社員の離職防止につなげる。
 利用料金は企業規模によるが、従業員2000人規模の会社では初期費用込みで年1500万~2000万円前後となる見通し。3年で150社程度の導入を見込む。

 

グーグル、家電にも「頭脳」、IoT向けOS公開。

 米グーグルがスマートフォンスマホ)で成功した事業モデルを幅広い製品群に展開し始めた。同社の人工知能(AI)を簡単に搭載できるメーカー向けソフトウエアをこのほど公開。機器の試作を容易にするツールも発売した。メーカーにとっては便利な半面、付加価値を奪われる恐れがある。グーグルは製造業のあり方を揺さぶる変革を、静かにしかけている。
 グーグルが8日に発表した画面付きのAIスピーカー。音声認識が注目を集めたが、本当の目玉は製品に組み込まれた「アンドロイド・シングス」という基本ソフト(OS)だ。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」のOSで、AIスピーカーと電灯や空調などの接続を制御する。
 グーグルが提供するのはあくまでもOSなのでハードはどこが何を作ってもいい。IoTはメーカーが違うと互換性が無い場合があるが、その問題を解消した。同事業を担当するベンカト・ラパカ氏は「あらゆるモノにとってのパスポートのようなもの」と形容する。
 もうひとつ普及に向けた秘策がある。試作品づくりのハードルを下げたことだ。グーグルは米クアルコムの高性能半導体やメモリー、カメラなどをひとつにまとめた開発者向けのツールも発売し、アイデアを形にしやすくした。
 実はグーグルの画面付きスピーカーも内部の技術者がレゴブロックや外販のスピーカーを使い2カ月で試作品を作りあげたという。そこから提携メーカーと協議しわずか約1年で製品化にこぎつけた。試作から製品化への期間短縮はメーカーにとって強みとなり得る。
 グーグルの思惑通りアンドロイド・シングスは普及するか。同社の音声認識は用途によってはスムーズに人と会話できる水準。画像認識も精度を上げた。AIを使いたいメーカーには魅力的だ。
 一方、AIという製品の「頭脳」をグーグルに押さえられれば、従来型のものづくり企業には脅威だ。携帯電話の競争環境を変えたスマホ向けOS「アンドロイド」同様に新OSは変革を先導するのか。グーグル経済圏はじわりと広がっている。

 


EUデータ新規制、厳格ルールに戸惑い、あす施行、駆け込み対応。

 欧州連合(EU)が25日施行する個人データ保護ルールの厳格な内容に多くの企業が戸惑っている。EU地域に限定した問題であると誤解し、対応すべきだと気付いたときには想定を超える細かなルールだったという場合が多い。情報管理体制が整っても監視を続けることが不可欠で、対策に追われそうだ。(1面参照)
 「一般データ保護規則(GDPR)に基づき、登録している内容を再確認してほしい」。東京都在住の40歳代の会社員に、欧州のビジネススクールから5月に入ってこんなメールが届いた。
 米フェイスブックや米グーグルなどからも「プライバシー・ポリシー」の更新を連絡するメールが次々と送られてくる。この会社員は「幸い数社の対応で済んだが1社当たりの説明文が長く、返信などの手間を考えると煩わしかった」と話す。
 25日のGDPR施行直前にもかかわらず、消費者にこうしたメールが相次いで届いている。
 こうした駆け込みの対応は日本企業も同じのようだ。日本経済新聞社の主要企業へのアンケートでは、25日時点で取るべき対策を完了している企業は2割にとどまる。今回の調査は5月中旬から23日にかけて実施し、101社の回答を得た。
 大規模な情報流出が起きたり、個人や社員が不十分な対応を告発したりすれば、EUが調査に入る可能性はある。
 ただ、インターネットイニシアティブの小川晋平ビジネスリスクコンサルティング本部長は「どこまで対応しようとしているかきちんと説明できれば、いきなり多額の制裁金を科せられる可能性は低い」とみる。「従来の欧州の法律では施行後すぐの制裁が少なかった」(セキュリティー会社)との経緯などを踏まえた判断だ。
 多くの企業が最低限の対応で25日を迎える。EUから制裁されるとしても、減免措置が受けられると期待している。GDPR上では最低限の対応が何かについて細かく明記されているわけでなく、企業は探りながらの対応だ。
 それでも、流出問題の大きさなどによっては制裁を回避できるとは言い切れない。専門家は「できる限り早く体制を整備すべき」と口をそろえている。
 日本企業の戸惑いは大きい。ある大手メーカートップは「細かいルールが聞こえてこないのが頭痛の種」と語る。GDPRは日本の規則と比べものにならないほど細かく、複雑なことは確かに戸惑いを生む一因だ。
 戸惑いの原因として、企業がルール内容を甘く見てきたことも否定できない。ある素材メーカーの担当者は「当初はインターネット企業など消費者向け企業に関する法律だととらえ、それほど深刻に考えていなかった」と明かす。
 GDPRは2年前の2016年に採択されていたが、企業は後手に回った。EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(東京・千代田)の梅沢泉パートナーは「17年秋から問い合わせが目立つようになり、18年に入ってからも増え続けている」と語る。
 企業はそれぞれの方法で準備を進める。日立製作所グループは社員を対象に日本語、英語、中国語、イタリア語でeラーニングを実施。NTTデータはEU当局への72時間以内の通知体制を築くため模擬訓練を行った。
 対策が完了している企業も課題はある。KPMGコンサルティングはGDPRを順守しているかどうか「定期的なモニタリングが欠かせない」と説明している。
縦割り見直しも必要
 TMI総合法律事務所の大井哲也弁護士 GDPRは理想を掲げており要求が高い。指針が出ているが部分的で抽象的な面がある。欧州の個人情報保護に関する実務経験がないと読み解くことは簡単ではない。
 法律とIT(情報技術)システム両面にわたる横断的な助言のできる専門家が日本に少ないことも企業が対応に苦慮している要因だろう。全社での対応を迫るGDPRに対し、企業はシステムはシステム部任せ、法律は法務部任せという縦割りのあり方を改めることも必要だ。
経営層の理解不可欠
 KPMGコンサルティングの大洞健治郎ディレクター EUがGDPRを実施する狙いとして個人情報を取り扱う責任を果たしてもらうことがある。一方で、域内各国でばらばらのルールを統一することでデータを活用しやすくする市場をつくろうという意図も大きい。
 企業があらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能を利用する時代は、保護ルールを今まで以上に重視しなければならない。データガバナンスは経営の根幹にかかわり、経営層の十分な理解が欠かせない。

 

AI、深層学習特化プロセッサーインテル、来年出荷。

 米インテルは23日、人工知能(AI)の一種である深層学習を効率的におこなう半導体プロセッサーの商用出荷を2019年に始めると発表した。従来は一部の協業先だけに提供していたが、計算能力を大幅に改良して企業向けに広く売り出す。AIの利用が広がるなかで計算処理を支える半導体の開発競争も激しくなっており、品ぞろえの拡大を急ぐ。
 米サンフランシスコで初めて開いたAI開発者向けの会議で、インテルのナビーン・ラオ副社長が表明した。「ニューラル・ネットワーク・プロセッサー(NNP)」と呼ぶ深層学習に特化した半導体で、16年に買収した米ナバーナ・システムズの技術をもとに開発している。価格などの詳細は明らかにしていない。
 19年に売り出すNNPは大量のデータから特徴を抽出して「学習」をする性能を現行品よりも3~4倍に高めるという。学習は米エヌビディアのGPU(画像処理半導体)が得意な分野で、自動運転の研究開発などの用途で先行して普及しており、インテルは新製品で対抗する。
 インテルはAIの活用が広がると見込んで、学習以外にも幅広い計算に対応できるCPU(中央演算処理装置)や、回路の書き換えが可能な「FPGA」など多くの種類の半導体をそろえる戦略をとっている。23日の開発者会議でラオ氏は「半導体のハードやソフトともに(開発者の)コミュニティーが重要だ」と話し、AI開発者がインテル半導体を利用しやすい環境を整える考えを示した。

 

IT人材、イチから育成、LINE・グッドワークス…、獲得競争激化、各社が教育体制。

 IT(情報技術)関連のエンジニアを自前で育成する動きが相次いでいる。LINEがアプリ開発の未経験者向けのインターンシップを実施するほか、ソフト開発のグッドワークス(東京・千代田)は自社の講習会で育成した技術者を提携企業に紹介する。技術者の獲得競争が激化するなか、優秀な技術者を一から育てる考えだ。
 LINEは2018年夏に、プログラミングを経験したことのない人を対象にしたインターンを東京都、福岡市、京都市で実施する。講義は週1回、全5回の日程で、オンラインで講師に質問できる体制を整えた。これまでのインターンスマートフォンスマホ)向けアプリ開発の経験者が対象だった。
 LINEは対話アプリ上で利用者からの質問に人工知能(AI)が自動で回答する「チャットボット」など、外部企業がLINEのサービスと自由に連携できるように技術仕様を公開している。インターンに参加した学生が結果的にLINEに就職しなくても、同社のサービスに関連する技術を学んだ技術者が増えれば、サービスに厚みを持たせることができるとみている。
 知名度が高く、学生を集めやすい大手企業に比べて、中小企業は技術者との接点作りが難しい。グッドワークスは若い技術者と中小企業をつなぐ教育プログラムを立ち上げた。同社がプログラミング言語を学ぶ3カ月の講座の受講料から、シェアハウスの宿泊料まで負担する。
 18~30歳の若者が対象。事前にグッドワークスに10万円を支払う必要があるが、プログラム受講後にグッドワークスが紹介した企業に入社した場合、全額返金される。
 グッドワークスは12年から無料で1カ月間受講できるプログラミング学校を開いており、卒業した80人以上が同社に入社した。同社が提携する1500社のネット広告企業などでは技術者不足に悩んでおり、新しい教育プログラムの提供を決めた。
 IT人材仲介のギークスは子会社を通じ、5月に香川県でプログラミングスクールを開いた。ウェブサービス開発とスマホアプリ開発の2コースを用意した。二人部屋の寮に住み込みながら午前にプログラミング、午後に英語を数時間ずつ受講した場合、12週間で71万5502円(税別)。価格は比較的高いが、合宿感覚で集中して取り組めるという。
 ギークスは13年から、フィリピンのセブ島で同様の内容のスクールを開いている。転職前に受講する社会人も多く、卒業生をこれまで1500人を輩出した。海外よりも国内の方が受講者が気軽に参加できると考え、香川県の拠点で開催することにした。初年度は200人程度の受講を見込んでいる。
 AIやビッグデータなどの先端技術の需要が高まるなか、技術者不足が深刻になっている。IT企業だけでなく、メーカーや流通企業でも電子商取引(EC)サイトや社内システムの運用などに必要な技術者を自社で雇用する動きが出ており、技術者の争奪戦が激しくなっている。
 経済産業省は、IT人材が30年に最大で80万人不足するという見通しを示している。優秀な技術者の引き抜き合戦も激化している。各社が自前で育成する仕組みを整える背景には、スキルやモチベーションの高い技術者をつなぎ留める狙いもありそうだ。

 

インテル「専用品」で勝負、AI関連、新商品続々投入。

 米インテル人工知能(AI)分野で攻勢をかけている。23日には米サンフランシスコでAI開発者向けの会議を初めて開催。AI向けの処理に特化した新たなプロセッサーを2019年に投入すると表明した。矢継ぎ早の買収で取り込んだ技術の製品化も急ぐ。視線の先にあるのはAIで先行する米エヌビディアとの覇権争いだ。
 「深層学習(ディープラーニング)に最適化した初めての量産型のチップだ」。AI開発者向けの会議でインテルのナビーン・ラオ副社長は、新製品「ニューラル・ネットワーク・プロセッサー(NNP)」を紹介した。深層学習の「学習」を効率よく進められる。
 ラオ氏は深層学習の「推論」に向くCPU(中央演算処理装置)や、後から回路を書き換えられる「FPGA」と呼ぶチップ、映像解析に特化した消費電力の少ない半導体なども紹介した。
 もっとも、ほんの3年前までインテルにはCPUしかなかった。NNPは16年に買収したスタートアップ企業のナバーナ・システムズが保有していた技術。ラオ氏もナバーナの最高経営責任者(CEO)からインテルのAIトップに転じた。
 ドローンに載せる低消費電力の半導体はモビディウスの買収で手に入れたもの。「クラウドでのAI提供」を掲げるマイクロソフトのデータセンター向けに納めているFPGAも15年に買収したアルテラの資産だ。インテルがAI関連のM&A(合併・買収)に投じた金額は開示案件だけで320億ドル(約3兆4880億円)を超す。
 インテルがパソコン向けのCPUで稼いだキャッシュを惜しげもなくM&Aに投じるのは、AIが社会のあらゆる領域に浸透することで、半導体産業の勢力図が変わると考えているからだ。
 AI向けで快進撃を続けるエヌビディアの画像処理装置(GPU)は、ひと昔前はゲーム愛好家にしか知られていなかった。それがいまやデータセンターから自動運転車の研究開発現場にまで入り込んでいる。
 インテルがCPUでパソコン時代を築いたのが30年ほど前。一方で情報端末の主役がスマートフォンスマホ)に切り替わる時は迅速に動くことができず、スマホ時代の主役をクアルコムに譲らざるを得なかった。
 GPUで主役になろうとしているエヌビディアに対し、インテルは「専用」のAI半導体を全方位でそろえようとしている。勝ち残れるのは数社になるとみて、体力勝負に挑む。
 ただ、AI時代の盟主争いは米国の新旧半導体メーカーの競争にとどまらない。5月初旬、グーグルはAIをクラウドで提供するための専用プロセッサー「TPU」の改良機種を発表した。
 インテルがパソコン時代に続き、AI時代でも覇権を握るのか。それとも、スマホに続き主導権を他社に奪われるのか。レースは始まったばかりだ。

 


日立製作所中西会長経団連会長に就任

 最先端のデジタル技術で社会や産業がどう変わるか、わかりにくく未知だ。未知の分野だからこそ成長機会がある。潜在的なニーズをできるだけ早くつかむべきだ
 日立製作所の中西宏明会長が31日、経団連会長に就く。日本政府が掲げる「超スマート社会」構想に沿い、人工知能(AI)などデジタル技術による変革に取り組む。人口減少が進む日本は「課題先進国」。その課題を補う技術で世界に先行すべきだと説く。

 

データセンター、IT各社が増強、四国電系やNTTデータ。

 IT(情報技術)各社がデータセンター(DC)を増強している。四国電力のIT子会社でDC大手のSTNetは70億円を投じて高松市の拠点を拡張し、関東圏の企業などの需要に対応する。NTTデータも4月に開設した東京都三鷹市の中核拠点をさらに拡張する計画だ。
 STNetは2013年に稼働した高松市の拠点に2棟目のDCを建設して、設備の収容能力を倍増する。19年10月の開設を予定している。既存棟と合わせた延べ床面積は2万2000平方メートルとなり、DCの安全性に関する格付けで最高水準を確保する。

 

中独、自動運転で協力、首脳会談、対米摩擦を意識。

 中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は24日、訪中したメルケル独首相と北京の人民大会堂で会談した。両首相は世界的に開発競争が激しさを増す自動運転の分野で、協力を強化することで合意した。トランプ米政権との貿易摩擦を意識し、ドイツなど欧州勢の取り込みに動く中国の姿勢が鮮明になっている。
 李首相は共同記者会見で「興隆する新たな科学技術革命に両国で一緒に向き合いたい」と表明した。具体的には自動運転の分野を挙げ「自動運転車の製造を手がける独メーカーの対中投資を歓迎する」と語った。
 2005年の首相就任後、11回目の訪中となったメルケル氏は「自動運転分野で中国との交流を深めたい」と応じる一方、「独企業を中国企業と対等に扱ってもらいたい」と注文もつけた。メルケル氏はその後、習近平(シー・ジンピン)国家主席とも会談した。
 中国は人工知能(AI)を駆使した自動運転技術の開発に国を挙げて取り組んでいる。北京市近郊に35年までにつくる習近平(シー・ジンピン)国家主席肝煎りの未来都市では、個人の乗用車をすべて自動運転にする計画だ。
 自動運転とそれに欠かせないAIの開発に力を注ぐドイツにとって、膨大なビッグデータと巨大な市場を併せ持つ中国との協力は魅力的だ。メルケル氏は25日にハイテク産業が集積する広東省の深〓を視察する予定で、中国との最先端分野での連携に意欲を示す。
 李首相は記者会見で「われわれは自由貿易の規則を守り、貿易の自由化を促進すべきだと主張している」とも強調した。トランプ政権が23日に自動車や自動車部品に追加関税を課す検討に入ったことを意識した発言とみられる。ハイテク分野でドイツとの協力を強化し、米国に対抗する狙いがうかがえる。

 

自動運転開発へ事故データ活用、政府、統計など民間に開放、技術革新後押し。

 政府は保有しているデータを民間に全面公開する「オープンデータ」の取り組みを進める。自動運転の技術開発に向け、交通事故の発生場所などに関する情報を2020年度にも公開。警察が持つ犯罪データの一部も利用できるようにする。貴重な資産であるデータを活用しやすくすることで、企業の技術革新や新しいサービスの普及を後押しする。
 政府は近く「官民データ活用推進基本計画」をまとめる予定で、この計画に具体策を盛り込む。IT総合戦略本部(本部長・安倍晋三首相)などの合同会議で決定し、6月中に出す成長戦略にも盛り込む方針だ。
 計画の柱の一つがオープンデータの促進だ。国の公式な統計だけでなく、役所が事務処理のために集めたデータも二次利用できる形で公開する。民間では収集が難しいデータを提供することで、新ビジネスや技術開発に役立ててもらう。
 自動運転の開発現場での利用をにらみ、交通事故データを公開する。事故に関する情報は複数の省庁にまたがる。警察庁が持つ発生位置の情報や、国土交通省が収集している車の急ブレーキの情報、文部科学省が持つ通学路の情報などを公開の対象とする見通しだ。
 自動運転では、最適な経路を選んだり事故を回避したりといった複雑な判断を人工知能(AI)にさせる必要がある。膨大な情報を与え、あらゆる状況を反復学習させることが不可欠とされており、データの量と質が重要になる。
 データの民間公開のための法改正は不要とみられるが、個人情報保護の観点で問題がないかなどを見定める必要がある。政府は公開システムの運用方法などを18年度中に決める方針で、20年度中にデータ公開を始めることをめざす。
 地域の防犯の強化に向け、警察庁が持つ犯罪に関する情報も公開していく方針だ。対象は発生した日時や場所など。警察庁から都道府県の警察に対し、18年度中に公開の基準を示し、順次、公開を始める。住民による防犯や、セキュリティー関連企業のサービスなどに生かせるようにする。
 行政手続きのオンライン化も進める。計画には「デジタルファースト法案」を早期に国会に提出すると明記し、各種の手続きで必要となる添付書類や押印、対面義務といった本人確認の撤廃などを盛り込む。
 個人向けの行政サービスでは、引っ越しや死亡、相続といった手続きをオンラインで一括で済むようにする。19年度から順次始める。企業は税や社会保険などの関係で、従業員の情報を複数の場所に提出しているが、これも一括で可能にする。法人設立手続きのワンストップ化も盛り込む。

 

データサイエンス入門、進化と重要性を平易に解説――竹村彰通著

 あらゆるものがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)など、情報技術の進化とともに新たなバズワード(流行語)が広がっている。「データサイエンス」もその一つで、最近は「データサイエンティスト」なる職業も人気を呼んでいる。
 著者は2017年に日本初のデータサイエンス学部を設けた滋賀大学の教授で、そうした新技術の重要性を解説した。データサイエンスは大量のデータを分析することで新たな発見を得る手法で「ビッグデータ」とも呼ばれる。AIの進化を促した「ディープラーニング(深層学習)」もその延長にあり、AIとビッグデータは表裏一体の関係にあると指摘する。
 そうしたビッグデータ分析を容易にしたのがスマートフォンやIoT関連のデバイスの登場だ。様々なセンサーから大量のデータが得られるようになったことで、現実世界をデジタル技術で再現できるようになった。データが「21世紀の石油」と呼ばれるようになったゆえんだ。
 本書は数学など専門的な話にはあまり立ち入らず、データ分析の重要性や分析手法などを一般の人にもわかりやすく説明した。ビッグデータに欠かせない「ハドゥープ」といった新技術についても解説しており、データサイエンスの基本を学びたいという人には格好の本といえよう。(岩波新書・760円)

 

イオン研究拠点、上海で開業式典

 イオンは30日、中国のIT(情報技術)企業と設立した合弁会社の研究拠点の開業式典を上海で開く。無人店舗の実験で先行する中国の技術を取り込み、店舗の省人化や無人化の実現を目指す。
 イオンは4月、ディープブルーテクノロジー(深蘭科技)と合弁会社を設立した。ディープブルーはアリババ集団が出資しており、人工知能(AI)やロボットなどの先端技術を研究開発している。同社は中国ですでにカメラの顔認証技術などを活用して無人で商品を販売するシステム「テイク・ゴー」を実用化している。
 ディープブルーが持つAIや無人店舗システムの技術とイオンの小売ノウハウを融合、無人店舗の研究開発を進める。

 

 

人工知能ニュース5月22日

 

AIが人間の行動を観察するだけで同じ行動を模倣する技術をNVIDIAが公開

NVIDIAは、AIが「物体を移動させる」などの人間の行動を観察するだけで、行動前後の物体の位置関係からAIが自ら実行計画を立案して、同じ行動を実行することができる技術を公開しました。
[1805.07054] Synthetically Trained Neural Networks for Learning Human-Readable Plans from Real-World Demonstrations
https://arxiv.org/abs/1805.07054

 

 

 

AI翻訳向けに文章データ、ゲンゴ

 翻訳クラウドソーシングを手がけるGengo(ゲンゴ、東京・渋谷)は、自動翻訳の人工知能(AI)などを開発する企業向けに、学習用の文章データを提供するサービスを始める。データには文章の意味をひも付け、AIが学習しやすくする。日本語や英語など37カ国語に対応し、海外顧客にも提供する計画だ。
 新サービス「GengoAI」は、自然言語処理音声認識などのAI用のデータを提供する。ツイッターなど交流サイト(SNS)から文章を集め、それぞれの意味をAIが適切に学習できるようラベルをつける。
 例えば文章中に「Queen」という単語が出てきた場合、文脈から女王と英ロックバンドのどちらを意味するかなどをデータに織り込む。AIは効率良く学習できるという。世界大手のオンライン予約会社などが利用を決めている。10万文章のラベル付けを約30万円から提供する。

 

 


金沢工大、AI活用、大学1年必修へ、実習形式の授業、研究開発拠点も新設。

 金沢工業大学は2019年4月から、1年生向けの授業に人工知能(AI)の科目を導入する。実際に商品やサービスに活用する方法を実習形式で教え、20年度からは必修科目にする方針。メインキャンパスにビジネスなどに生かすための研究拠点も新たに設け、専門人材を育成。AIを教育、研究の柱に育てる。
 同大学には工学や情報学のほか、建築学やバイオに関する学部があるが、AIの授業は1年生向けの全学部共通科目とする予定。仕組みなどの基礎知識のほか、ビジネスへの活用事例などを教える。日本IBMのAI型コンピューター「ワトソン」を活用した実習も取り入れる。
 これまでにも3年生向けに専門性の高い授業はあったが、学部を横断してAIの活用方法を学んでもらう。20年度からは必修科目にする方針だ。

 

 

オフィス電話のDialpadがAI企業買収「自動議事録作成」も視野に

オフィスの内線電話に革命をもたらすコミュニケーションツール「Dialpad」が、AIを用いた会話分析に特化した企業「TalkIQ」を買収した。
TalkIQのCEOのDan O’Connellは今後、Dialpadの役員会に加わり、音声AI部門を率いていく。
かつては「Switch Communications」の名で知られたDialpadは、VoIPテクノロジーのパイオニアであるクレイグ・ウォーカーが設立し、その技術をヤフーやグーグルに売却した。
創業から約7年が経過した今、Dialpadの売上は数千万ドルレベルに達している。同社の最も有名なプロダクトは「UberConference」というカンファレンスコールシステムだ。同社は社内の内線電話に置き換わる社内コミュニケーションツールを提供し、最近ではコールセンター機能もリリースした。
TalkIQの買収により同社は今後、リアルタイムの会話の書き起こしや、議事録の作成、会話の感情認識といった機能を追加する。TalkIQのテクノロジーを使えば、会話の内容を自動で分析し、それがリクルーティング関連の会話か、カスタマーサポートのものであるかも把握可能になる。

 

 

 


大学新入試にプログラミング、IT人材育成急ぐ

 政府は17日に開いた未来投資会議で、大学入試センター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」に、プログラミングなどの情報科目を導入する方針を確認した。第4次産業革命を推進するうえで人工知能(AI)などを使いこなせるIT(情報技術)人材は不可欠。将来的な不足が見込まれており、人材の育成を急ぐ。
 安倍晋三首相は「AIやビッグデータなどのIT、情報処理の素養はこれからの時代の『読み書きそろばん』」とした上で、「大学入試において国語・数学・英語のような基礎的な科目として情報科目を追加し、文系・理系を問わず学習を促していく」と述べた。
 高校では2022年度に、共通必履修科目としてプログラミングを含む「情報I」を新設することが決まっている。今後は林芳正文部科学相が中心となり、22年度に入学した生徒が受験する24年度の大学入学共通テストを目安に情報科目の導入に向けた検討を進める。
 プログラミング教育の強化には、高度な知識をもつ教員の確保が急務だ。文部科学省の調査によると、15年5月時点で情報科の担当教員5732人のうち、情報科のみの担当は2割だった。
 数学など他教科との掛け持ちは5割で、情報科の免許を持たないが特例で認められた「免許外教科担任」が3割。文科省は各自治体の教育委員会に対し、免許保有者の計画的な配置や、現職教員の免許取得などを促し、大学入試に対応できる教育現場の体制を整える。
 経済産業省によると、国内のIT人材は30年までに最大79万人不足する見込みだ。会議に出席したフューチャー会長兼社長の金丸恭文氏は「AIを理解し、戦略的に活用する人材が決定的に不足している」と指摘した。
 潜在的スキルを持つ統計学専攻などの大卒者は、日本の年間4千人弱に対し、米国は2万5千人、中国は1万7千人と日本を上回っている。

 


「ABEJA Insight for Retail」に「リピート推定」機能を追加

 ディープラーニングを活用したAIの社会実装事業を展開する株式会社ABEJA(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO兼CTO:岡田陽介、以下 ABEJA(アベジャ))は、小売・流通業界を対象にサービス提供しております「ABEJA Insight for Retail」の機能に、「リピート推定」機能を新たに追加し、2018年5月18日より提供を開始いたしましたので、お知らせいたします。
ABEJAは、創業以来、ディープラーニング技術を活用し様々な大量データの取得、蓄積、学習、デプロイ、推論・再学習を行うPaaS(Platform as a Service)技術である「ABEJA Platform」の研究開発を行ってまいりました。また、2015年10月より「ABEJA Platform」をベースに、小売・流通業界に特化したSaaS(Software as a Service)「ABEJA Insight for Retail」の提供を開始し、国内70社以上480店舗以上(2018年4月末時点)に提供し、店舗運営の改善に資するソリューションを提供しております。
「ABEJA Insight for Retail」では、ディープラーニング技術等を活用しネットワークカメラ等のIoTデバイスにより取得した画像を解析し、来店数カウント、年齢性別推定、動線分析の機能を、小売・流通業界向けに提供しています。この度、新たに追加し提供を開始した「リピート推定」機能は、実店舗に設置したネットワークカメラから取得した来店客の顔画像より特徴量(個人識別符号)を抽出し、特徴量がマッチした人物をリピート客と判断する機能です。この機能を活用することにより、小売・流通業界の実店舗でこれまで難しいとされていた、リピート客の動向が把握でき、「リピート率」という新たな指標を店舗運営に活かすことが可能となります。
例えば、広告やキャンペーンなどの施策の効果測定は、顧客アンケートの実施やハウスカードの提示により検証が行われておりますが、アンケートの回収率が低いという問題や、ハウスカードの提示では購入客のデータは取得できるが非購入の来店客のデータが取得できないという課題がありました。本機能を活用し「リピート率」を計測することで、新規客、リピート客どちらに効果的な施策であったのか定量的な効果測定が可能となります。また、1ヶ月間や3ヶ月間等ある一定の期間における来店客のリピート頻度と全来店客におけるリピート頻度別の割合等、「来店頻度分布」の計測も可能です。(6ヶ月以内)さらに、「ABEJA Insight for Retail」の年齢性別推定機能と連携することにより、属性別のリピート率も測定することができます。
なお、本機能では、名前や住所等の個人情報を保持するハウスカードやネットワークIDとの紐付けは行わず、顔画像から抽出した特徴量(個人識別符号)のみでリピート推定を行います。取得した顔画像は符号化されたのち速やかに破棄します。また、2018年3月30日に経済産業省及び総務省より公表された「カメラ画像利活用ガイドブックver2.0」※の「リピート分析」に関する追記事項を踏まえ、カメラ画像の管理者であり個人情報保護法上の個人情報取扱事業者として法的義務の対象となる本機能を導入頂く企業と連携し、「カメラ画像利活用ガイドブックver2.0」の理解を促すよう努めてまいります。
ABEJAは、「ABEJA Insight」の普及を通し、小売・流通業界、製造業界、インフラ業界におけるAI、特にディープラーニングの適用を促進し、顧客と共にビジネスの効率化・自動化に取り組み、産業構造の変革に貢献してまいります。

 

 

サイトビジット「AI検定」対策講座を動画配信

eラーニングのサイトビジット(東京・品川、鬼頭政人社長)は人工知能(AI)に関する知識を問う試験対策講座の動画配信を始める。日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する一般のビジネスパーソンなど向けの資格検定に対応した。受験予定者の利用を見込む。
対策講座では日本ディープラーニング協会の有識者会員の浅川氏が講師を務める
サイトビジットが運営する学習サイト「資格スクエア」で対策講座の配信を始める。動画ではJDLAの有識者会員で検定も監修する浅川伸一・東京女子大学情報処理センター博士が講師を務め、AIに関連した深層学習の知識をJDLAの提供する学習シラバス(授業計画書)に基づいて基礎から教える。
検定の対策講座として今後100以上の講義を配信していく。1講義あたりの時間は15~20分。料金は視聴期間1年間の場合で6万4800円。
JDLAは日本のAIの第一人者である松尾豊・東京大学特任准教授が理事長を務める。検定は2017年12月に初めて実施。1448人が受験し約6割が合格したという。オンライン上での試験で自宅でも受験できる。2回目の検定は6月に予定されている。視聴期間を6月までに限定した9800円の料金プランも用意した。
オンライン講座運営のフォーサイト(東京・文京)が4月に20~49歳の男女を対象に実施した調査によると、55.6%がAIの勉強を「かなりする必要がある」「多少する必要がある」と答えた。一方で具体的な学習予定がある人は11.5%にとどまっていた。

 

 

 

週刊人工知能ニュース 2018年5月13日から21日

 

5月13日から21日

中国、自動運転の新都市、35年に東京並みの広さ、新・開発独裁、米と覇権争い。

 中国が自動運転のアクセルを踏み込む。北京市近郊に2035年につくり上げる習近平(シー・ジンピン)国家主席肝煎りの未来都市で、個人の乗用車を世界で初めて全て自動運転にする。共産党がすべてを取り仕切り、インフラや法制度を整え技術も磨く。経済大国になってもなお国家主導で産業振興を進めようとする中国。企業の自由競争を前提にイノベーションで世界をリードしてきた米国に、「新・開発独裁」で中国が挑む構図が鮮明になってきた。
 新しい都市「雄安新区」は「千年の大計画」として昨年発表した壮大なプロジェクトだ。北京から南西約100キロメートルの河北省の農村につくり、次世代の先端技術を活用したスマートシティー(環境配慮型都市)=3面きょうのことば=にする。22年に基礎インフラを整え、最終的な面積は東京都に匹敵する2千平方キロメートル規模。将来の人口は200万人以上を見込む。総投資額は2兆元(約35兆円)との試算もある。

 


米大手のデータ独占、規制、EU、個人保護の新ルール、収益モデル巡り攻防。

欧州連合(EU)は25日、個人データの保護を大幅に強化する「一般データ保護規則(GDPR)」を施行する。個人データの扱いに関し世界で最も厳しいとされるルールを企業などに課す。経済のデジタル化が進むなか、膨大なデータは国や企業の競争力を占う存在になった。規制強化はフェイスブックなど米巨大企業のデータ独占に待ったをかける狙いもあり、「データ資源」を巡る攻防が激しくなる。

 

 

利用者の行動先読み、ドコモが会話型AI、スマホで学習、情報提供。

 NTTドコモはスマートフォンスマホ)などで利用できる会話型AI(人工知能)を30日から本格提供する。スマホで収集したデータから利用者の嗜好や行動を学習。利用者の行動を先読みし、個人に合った情報を提供する。
 会話型AI「マイデイズ(my daiz)」は、スマホタブレットにアプリをインストールして利用する。例えば「マイデイズ、レシピを教えて」と呼びかけると、スマホが音声のほか、画面に情報を表示して回答してくれる。
 吉沢和弘社長は「利用者に一番身近なスマホを活用するからこそ、誰よりも利用者を理解したサービスを実現できる」と強調した。利用者の行動パターンを分析し、通勤・通学に使っている電車が遅延した際などにAIが先読みして通知してくれるといったサービスを提供する。協業する高島屋の商品から、結婚記念日のプレゼントを会話型AIがおすすめしてくれるような他社との協業も可能だ。
 天気や交通情報などの基本機能は無料で提供する。利用者の行動を先読みする機能については月額100円の利用料金がかかる。

 


生活習慣病リスク予測、健診データをAIが分析、NTTなど。

 NTTとNTTデータは16日、糖尿病など生活習慣病の発症リスクを人工知能(AI)で予測するシステムを開発した。生命保険会社が用意する健康診断データを分析し、糖尿病、高血圧症、脂質異常症の発症リスクを予測する。システムの実証実験プログラムに参加する生命保険会社を6月まで募り、7~9月に実験する。大手生保の1社が利用を決めている。
 有効性を検証し、2019年1月にも事業化を目指す。システムをクラウド経由で提供するサービスなどを開発する。10万人の最長6年分の健康診断データでテストしたところ、数年先の糖尿病の発症リスクを予測する精度は90%に達した。
 生保各社は生活習慣病などの治療に対応する医療保険の販売に力を入れている。生命保険協会によると、新規契約件数では4年連続で死亡保険などほかの商品を上回る。医療保険では保険料の算定などで顧客の発症リスクの予測が重要になる。予測の精度向上には健康診断やレセプト(診療報酬明細書)のデータを入手し、分析する必要があり、データの購入費用や分析人材の不足といった課題に直面している。
 NTTデータとNTTはこの課題の解消を狙う。矢野経済研究所の調査では、国内インシュアテック市場は21年3月期に1100億円に達する見込みだ。

 


都、ロボット導入支援。

 東京都は中小企業を対象にロボットやAI(人工知能)の導入支援を始めた。都中小企業振興公社と連携し、セミナーなどを開いてノウハウを提供する。18年度はロボット導入支援のセミナーを6回、AIも4回程度予定。週3~4日間開く相談窓口で中小企業診断士らが導入方法や費用、最新のロボット技術を使ってどのように業務を改善できるかなどを助言する。
 対象はロボット、AIでそれぞれ約30社。診断員が現場に出向き、機器の導入場所や選び方をアドバイスする。導入する場合は要件を満たせば最大1億円を助成する。

 

 

規制凍結しAIなど活用促す、生産性特措法案成立へ。

 革新的技術などの実証実験をしやすくする「サンドボックス」制度を創設する「生産性向上特別措置法案」が16日、参院本会議で可決、成立する。2020年度までの3年間限定で、一定の条件を満たせば現在の規制を一部凍結する。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)などを使った新技術の実験を促し、成長戦略に役立てる。
 今夏にも内閣官房に窓口をつくり、企業から規制凍結の提案を受け付ける。その後、専門家を集めた評価委員会の意見を聞き、規制の所管省庁が企業の計画を認定。早ければ年内にも同法に基づく案件が決まる予定だ。3年間の時限法だが、実験で問題がなければ、規制の見直しも検討する。
 サンドボックス制度による規制の凍結では、例えば電柱に取り付けたカメラの映像を活用。子どもや高齢者が持つ発信器と結びつけ、家族がリアルタイムで見守るサービスを提供することが考えられる。法案には中小企業に先端設備の導入を促すため、固定資産税の減免も盛り込んだ。
 生産性向上特措法案は、企業の提案を期間限定で実現する「計画型」。これとは別に、国が用意した規制凍結項目を地域限定で認める「特区型」の導入に向けた国家戦略特区法の改正案も今国会で審議中だ。
 国家戦略特区は地域を限定して規制緩和を認める制度。特区型のサンドボックスは自動運転、ドローン(小型無人機)、電波利用の3分野に関する実証実験を、全国10カ所の特区内で可能にする。安倍政権は生産性革命を重点政策に掲げており、両法案の成立で成長戦略をてこ入れする。

 

 

AI翻訳向けに文章データ、ゲンゴ

 翻訳クラウドソーシングを手がけるGengo(ゲンゴ、東京・渋谷)は、自動翻訳の人工知能(AI)などを開発する企業向けに、学習用の文章データを提供するサービスを始める。データには文章の意味をひも付け、AIが学習しやすくする。日本語や英語など37カ国語に対応し、海外顧客にも提供する計画だ。
 新サービス「GengoAI」は、自然言語処理音声認識などのAI用のデータを提供する。ツイッターなど交流サイト(SNS)から文章を集め、それぞれの意味をAIが適切に学習できるようラベルをつける。
 例えば文章中に「Queen」という単語が出てきた場合、文脈から女王と英ロックバンドのどちらを意味するかなどをデータに織り込む。AIは効率良く学習できるという。世界大手のオンライン予約会社などが利用を決めている。10万文章のラベル付けを約30万円から提供する。

 

 


金沢工大、AI活用、大学1年必修へ、実習形式の授業、研究開発拠点も新設。

 金沢工業大学は2019年4月から、1年生向けの授業に人工知能(AI)の科目を導入する。実際に商品やサービスに活用する方法を実習形式で教え、20年度からは必修科目にする方針。メインキャンパスにビジネスなどに生かすための研究拠点も新たに設け、専門人材を育成。AIを教育、研究の柱に育てる。
 同大学には工学や情報学のほか、建築学やバイオに関する学部があるが、AIの授業は1年生向けの全学部共通科目とする予定。仕組みなどの基礎知識のほか、ビジネスへの活用事例などを教える。日本IBMのAI型コンピューター「ワトソン」を活用した実習も取り入れる。
 これまでにも3年生向けに専門性の高い授業はあったが、学部を横断してAIの活用方法を学んでもらう。20年度からは必修科目にする方針だ。

 

 

オフィス電話のDialpadがAI企業買収「自動議事録作成」も視野に

オフィスの内線電話に革命をもたらすコミュニケーションツール「Dialpad」が、AIを用いた会話分析に特化した企業「TalkIQ」を買収した。
TalkIQのCEOのDan O’Connellは今後、Dialpadの役員会に加わり、音声AI部門を率いていく。
かつては「Switch Communications」の名で知られたDialpadは、VoIPテクノロジーのパイオニアであるクレイグ・ウォーカーが設立し、その技術をヤフーやグーグルに売却した。
創業から約7年が経過した今、Dialpadの売上は数千万ドルレベルに達している。同社の最も有名なプロダクトは「UberConference」というカンファレンスコールシステムだ。同社は社内の内線電話に置き換わる社内コミュニケーションツールを提供し、最近ではコールセンター機能もリリースした。
TalkIQの買収により同社は今後、リアルタイムの会話の書き起こしや、議事録の作成、会話の感情認識といった機能を追加する。TalkIQのテクノロジーを使えば、会話の内容を自動で分析し、それがリクルーティング関連の会話か、カスタマーサポートのものであるかも把握可能になる。

 

 

 


大学新入試にプログラミング、IT人材育成急ぐ。

 政府は17日に開いた未来投資会議で、大学入試センター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」に、プログラミングなどの情報科目を導入する方針を確認した。第4次産業革命を推進するうえで人工知能(AI)などを使いこなせるIT(情報技術)人材は不可欠。将来的な不足が見込まれており、人材の育成を急ぐ。
 安倍晋三首相は「AIやビッグデータなどのIT、情報処理の素養はこれからの時代の『読み書きそろばん』」とした上で、「大学入試において国語・数学・英語のような基礎的な科目として情報科目を追加し、文系・理系を問わず学習を促していく」と述べた。
 高校では2022年度に、共通必履修科目としてプログラミングを含む「情報I」を新設することが決まっている。今後は林芳正文部科学相が中心となり、22年度に入学した生徒が受験する24年度の大学入学共通テストを目安に情報科目の導入に向けた検討を進める。
 プログラミング教育の強化には、高度な知識をもつ教員の確保が急務だ。文部科学省の調査によると、15年5月時点で情報科の担当教員5732人のうち、情報科のみの担当は2割だった。
 数学など他教科との掛け持ちは5割で、情報科の免許を持たないが特例で認められた「免許外教科担任」が3割。文科省は各自治体の教育委員会に対し、免許保有者の計画的な配置や、現職教員の免許取得などを促し、大学入試に対応できる教育現場の体制を整える。
 経済産業省によると、国内のIT人材は30年までに最大79万人不足する見込みだ。会議に出席したフューチャー会長兼社長の金丸恭文氏は「AIを理解し、戦略的に活用する人材が決定的に不足している」と指摘した。
 潜在的スキルを持つ統計学専攻などの大卒者は、日本の年間4千人弱に対し、米国は2万5千人、中国は1万7千人と日本を上回っている。

 


「ABEJA Insight for Retail」に「リピート推定」機能を追加

 ディープラーニングを活用したAIの社会実装事業を展開する株式会社ABEJA(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO兼CTO:岡田陽介、以下 ABEJA(アベジャ))は、小売・流通業界を対象にサービス提供しております「ABEJA Insight for Retail」の機能に、「リピート推定」機能を新たに追加し、2018年5月18日より提供を開始いたしましたので、お知らせいたします。
ABEJAは、創業以来、ディープラーニング技術を活用し様々な大量データの取得、蓄積、学習、デプロイ、推論・再学習を行うPaaS(Platform as a Service)技術である「ABEJA Platform」の研究開発を行ってまいりました。また、2015年10月より「ABEJA Platform」をベースに、小売・流通業界に特化したSaaS(Software as a Service)「ABEJA Insight for Retail」の提供を開始し、国内70社以上480店舗以上(2018年4月末時点)に提供し、店舗運営の改善に資するソリューションを提供しております。
「ABEJA Insight for Retail」では、ディープラーニング技術等を活用しネットワークカメラ等のIoTデバイスにより取得した画像を解析し、来店数カウント、年齢性別推定、動線分析の機能を、小売・流通業界向けに提供しています。この度、新たに追加し提供を開始した「リピート推定」機能は、実店舗に設置したネットワークカメラから取得した来店客の顔画像より特徴量(個人識別符号)を抽出し、特徴量がマッチした人物をリピート客と判断する機能です。この機能を活用することにより、小売・流通業界の実店舗でこれまで難しいとされていた、リピート客の動向が把握でき、「リピート率」という新たな指標を店舗運営に活かすことが可能となります。
例えば、広告やキャンペーンなどの施策の効果測定は、顧客アンケートの実施やハウスカードの提示により検証が行われておりますが、アンケートの回収率が低いという問題や、ハウスカードの提示では購入客のデータは取得できるが非購入の来店客のデータが取得できないという課題がありました。本機能を活用し「リピート率」を計測することで、新規客、リピート客どちらに効果的な施策であったのか定量的な効果測定が可能となります。また、1ヶ月間や3ヶ月間等ある一定の期間における来店客のリピート頻度と全来店客におけるリピート頻度別の割合等、「来店頻度分布」の計測も可能です。(6ヶ月以内)さらに、「ABEJA Insight for Retail」の年齢性別推定機能と連携することにより、属性別のリピート率も測定することができます。
なお、本機能では、名前や住所等の個人情報を保持するハウスカードやネットワークIDとの紐付けは行わず、顔画像から抽出した特徴量(個人識別符号)のみでリピート推定を行います。取得した顔画像は符号化されたのち速やかに破棄します。また、2018年3月30日に経済産業省及び総務省より公表された「カメラ画像利活用ガイドブックver2.0」※の「リピート分析」に関する追記事項を踏まえ、カメラ画像の管理者であり個人情報保護法上の個人情報取扱事業者として法的義務の対象となる本機能を導入頂く企業と連携し、「カメラ画像利活用ガイドブックver2.0」の理解を促すよう努めてまいります。
ABEJAは、「ABEJA Insight」の普及を通し、小売・流通業界、製造業界、インフラ業界におけるAI、特にディープラーニングの適用を促進し、顧客と共にビジネスの効率化・自動化に取り組み、産業構造の変革に貢献してまいります。

 

 

サイトビジット「AI検定」対策講座を動画配信

eラーニングのサイトビジット(東京・品川、鬼頭政人社長)は人工知能(AI)に関する知識を問う試験対策講座の動画配信を始める。日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する一般のビジネスパーソンなど向けの資格検定に対応した。受験予定者の利用を見込む。
対策講座では日本ディープラーニング協会の有識者会員の浅川氏が講師を務める
サイトビジットが運営する学習サイト「資格スクエア」で対策講座の配信を始める。動画ではJDLAの有識者会員で検定も監修する浅川伸一・東京女子大学情報処理センター博士が講師を務め、AIに関連した深層学習の知識をJDLAの提供する学習シラバス(授業計画書)に基づいて基礎から教える。
検定の対策講座として今後100以上の講義を配信していく。1講義あたりの時間は15~20分。料金は視聴期間1年間の場合で6万4800円。
JDLAは日本のAIの第一人者である松尾豊・東京大学特任准教授が理事長を務める。検定は2017年12月に初めて実施。1448人が受験し約6割が合格したという。オンライン上での試験で自宅でも受験できる。2回目の検定は6月に予定されている。視聴期間を6月までに限定した9800円の料金プランも用意した。
オンライン講座運営のフォーサイト(東京・文京)が4月に20~49歳の男女を対象に実施した調査によると、55.6%がAIの勉強を「かなりする必要がある」「多少する必要がある」と答えた。一方で具体的な学習予定がある人は11.5%にとどまっていた。

 

 

 


話題のAIスピーカー「アレクサ」に思わぬ弱点があった

アマゾンのAIスピーカー「エコー(アレクサ)」の発売以来、急速に人気が高まってきたスマート・デバイスの音声操作機能。だが、最近そこに思わぬセキュリティ・ホールが発見された。
私たち人間には聞き取れないが、機械にだけは聞き取れるサブリミナル・メッセージを音声や音楽などに忍ばせることで、スマホAIスピーカーを外部の第三者が自由自在に操れるということです。
このショッキングな研究成果を発表したのは、米カリフォルニア大学バークレイ校の科学者チーム。彼らは録音された音声メッセージや音楽に巧妙な命令を忍ばせ、これをユーチューブなどから流すことで、AIスピーカーのようなスマート・デバイスを秘かに操作することに成功した。
これにより本来の利用者がスマート・デバイスの電源を入れた状態で音楽を聴いたり、動画を見たりしている間に、(自分のアカウントを通じて)悪意を持った第三者から勝手にオンライン・ショッピングをされたり、自分のお金をどこかに送金されたり、甚だしい場合にはドアのロックを外されて部屋に侵入されたりする恐れが出てきたという。

 


日立情報通信、深層学習で工場設備の故障を予測
日立情報通信エンジニアリングは2018年5月15日、工場設備の故障を予測するソフトウエア「状態予測エンジン」を販売すると発表した。ディープラーニング(深層学習)や画像認識技術を使って、設備が正常に稼働しているときの駆動音や動きのパターンを学習し、異常を検知する。学習データはクラウド上に蓄積するなどして検知精度を高めるのに役立てる。2018年6月1日から販売を始める。

 

 

 

お手軽AI、中小も利用、価格5分の1も、与信管理や経営診断。

 人工知能(AI)を活用した専門サービスが中小企業の間で広がっている。サービス提供の主役はスタートアップ企業だ。経営診断や与信管理など煩雑な手続きを効率化。既存サービスより価格が5分の1になるなどIT(情報技術)投資をためらう中小企業も利用しやすくなった。「お手軽AI」が中小企業の経営に役立ち始めた。
 「取引先に異変があればメールで教えてくれる。月1000円弱で取引の上位5社を監視できコストも安い」。生鮮野菜を販売するMOG(東京・江東)の小林要一朗社長は喜ぶ。同社は4月からAI与信管理サービス「アラームボックス」を使い始めた。
 食品業界は天候で生産が左右され、倒産も多い。設立6年目のMOGもこれまで3件の売掛金の焦げ付きがあり、与信管理の必要性を感じていた。だが既存の売掛金の保証サービスは手数料が高い。アラームボックスは取引先の信用状況の変化やネット上の否定的な情報が自動で届き「時間をかけず与信管理できる」。
 サービスを提供するアラームボックス(東京・千代田)の顧客700社強の多くは中小の卸売業や運送業。米セールスフォース・ドットコムや関西地盤の南都銀行と組み、納入先を広げてきた。
 武田浩和社長は信用調査会社の手動の業務を「5割ほど自動化できた」という。取引先1社あたりの料金は180円程度と従来の約5分の1だ。
 お手軽AIの背景にはクラウドサービスの普及がある。IBMやアマゾン・ドット・コムなど米IT大手が開発した中核技術をベースに、スタートアップが個別業務に特化したサービスを割安に提供しやすくなった。
 「中小企業白書」によると、生産・販売・会計など基幹業務にITを十分に活用する中小企業は約20%どまり。だがクラウドを介し、新サービスを手がけるスタートアップと、大規模なサーバーや人員を抱えたくない中小の距離が縮まる。
 Toreru(トレル、東京・世田谷)は、クラウドで商標登録できるシステムを提供。商品名やロゴ画像を入力すると、画像認識などの技術で類似の商標の有無を調べ、1~3日後に登録の可否を判定する。宮崎超史社長は「最終的な判断は弁理士だが、約9割は自動化できる」と話す。
 調査や登録の手数料は2万円弱(印紙代を除く)と一般的な特許事務所の3分の1以下。アパレルやITサービス企業の利用が多く、18年の調査受託は前年比2・6倍の2500件の見込みだ。
 弁護士や公認会計士などをつなぐ相談サービスにもAIは使われる。ココペリ(東京・千代田)のサイト「SHARES」では、専門家の相談に加えAIが顧客企業の収益データなどを分析し、経営課題を自動で発見する。ココペリは横浜銀行など地銀と組み、利用企業は5千社を突破した。
 最近は地銀が融資先の経営支援に、スタートアップのサービスを活用する事例が増えている。普及に弾みがつきそうだ。

 

 

 

カーネギーメロン大学、米国初の人工知能の学士課程を新設

カーネギーメロン大学は今月10日、人工知能の学士号課程を開始することを発表した。人工知能の学士号は米国では初の試みであると同大学はいう。理学士課程での最初のコースは今年の秋に始まる予定だ。

 

 

富士通が世界10カ国にAI・IoTの体感拠点、まずニューヨークとミュンヘン

 富士通人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などの先進システムを体感・検証できるイノベーション拠点「デジタル・トランスフォーメーション・センター(DTC)」を月内にも米ニューヨークと独ミュンヘンに開設する。実機による検証施設に加え、現地ユーザーやパートナー企業との交流を促すように空間デザインなども工夫する。2018年度中にはアジアなども含め、10カ国へ展開する方針だ。