週刊人工知能ニュース 2018年5月6日から12日

 

5月6日から12日

「歩容認証」捜査に活用=防カメ、広域監視に威力-AIで高精度化も

歩く姿で個人を識別する「歩容認証」という技術が、犯罪捜査の現場に浸透している。親しい人なら顔が見えないほど遠くからでもそうだと分かるように、距離が離れていたり、解像度が低かったりする映像でも判別しやすいのが利点だ。最近では、人工知能(AI)を活用し精度を高める研究も進んでいる。

 


仏、AI研究に2000億円、高等教育相、産学支援、米中追い上げ。

 フランスは人工知能(AI)分野の研究・開発を強化する。フレデリックビダル仏高等教育・研究相は日本経済新聞の取材に、AI研究に重点的に人的・経済的支援を進める考えを明らかにした。特にヘルスケア、交通を重点分野とし、2022年までに15億ユーロ(約2千億円)を大学プログラムの拡大や企業支援に投じる。同分野で世界をリードする米国と中国を追い上げる。
 ビダル氏は「AI開発は戦略的な判断だ」と選択と集中を進める考えを明らかにした。各機関の連携が足りなかったとみており、仏国立情報学自動制御研究所(INRIA)など国内4~5カ所の研究所や大学を重点拠点とし、ネットワークを強化する。
 フランスは健康保険制度などを通じて世界でも有数の膨大なデータを蓄えており、製薬大手サノフィなどと疾病の治療や予想の研究を進める。研究者へのデータ提供のルールも明文化する。交通分野では自動車大手のルノーやグループPSAが手掛ける事故防止や渋滞解消などを支援する。
 大学の改革も進める。ビダル氏は「各大学に、AIの具体的な活用法を組み込んだプログラムを作るよう指示した」と明らかにした。従来は数学科などでAI研究を進めたが、具体的な活用法の追究が甘かったとの反省がある。ほぼ英語でプログラムを提供し、国外の人材も来やすくする。
 ビダル氏は、国際情勢も追い風とみている。英国は欧州連合(EU)離脱を決め、トランプ米政権は移民に敵対的な政策をとる。「大陸欧州が研究者や学生を呼び寄せるチャンスだ」と語った。
 フランスがAIに注力する背景には、米国、中国の2強状態になりつつある現状への危機感がある。英教育誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションによると、11~15年にAI関連の論文は中国が首位、米国が2位。フランスは8位だった。AIは全産業に影響を及ぼし、強い経済を目指すマクロン仏大統領にとって看過できない。

 

 

がん治療法をAIで解析、SBI生命、近大と臨床試験

 SBI生命保険は7日、近畿大学と連携して人工知能(AI)を使ったがん患者向けの臨床試験を14日に始めると発表した。患者のがん組織や血液などの遺伝子情報から、AIで適切な治療法を見つけ出す検査技術の実効性を確かめる。SBI生命は臨床試験を通じて検査の費用負担を軽減する保険商品の開発につなげる。
 採集した患者の遺伝子情報をもとに、特定の患者に適した治療方法を解析する。がん関連の論文や遺伝子変異に関する膨大な情報の中から探る。

 

 

Googleは「電話で人間と自然に会話をしてタスクを完了するAI」を開発している

2018年5月8日~10日の期間で開催されているGoogleの開発者向けイベント「 Google I/O 2018」において、GoogleはAIを使ったさまざまな新技術を発表しました。発表された新技術の一つである「 Google Duplex」はAIが電話で人間と話し、タスクを完了させるというシステムになっており、その詳細がGoogleのブログにまとめられています。
   Googleディープラーニングにより自然な人工音声を生成するニューラルネットワーク「 WaveNet」を開発し、「Googleアシスタント」に搭載するなど人工音声による人間とのやり取りに注力してきました。畳み込みニューラルネットワークによるディープラーニング技術を用いることで、かなりの精度で人間に近い自然な発声を生成することは可能になったものの、依然として「コンピューター的」な硬い口調と、砕けた口調の人間の言葉を聞き取れないという問題が残っていました。
    研究チームが開発したGoogle Duplexは、「電話を通して実世界のタスクを完了させる」ことを可能にした技術であり、特定のイベントをスケジュールするといったタスクを行うことができる模様。以下の音声は上が「Google Duplexが美容院に予約を入れる音声」で、下が「Google Duplexがレストランに予約を入れる音声」です。いずれも流ちょうな英語でGoogle Duplexが店員と話しており、「電話をかけている方がGoogle Duplexだ」と知らされていなければ、人間同士のやり取りだと思ってしまいます。
    研究チームはGoogle Duplexに学習させるデータと使用目的を非常に限定的な範囲に制限することで、まるで人間のような会話を実現したとのこと。Google Duplexはある特定の用途に特化した会話AIであり、世間話のような一般的な会話は不可能だそうです。
  Google Duplexの技術は、「電話をかける相手」もこの形式の会話の経験を積んでいることが重要です。Google Duplexは、まず最初に「自分がコールした意図」を明確に伝え、電話相手とGoogle Duplexが共通の目的を持って会話を行うようにするとのこと。
   人間が行う「自然な会話」は、音声認識機能を搭載したコンピューターに対して話しかける時と違い、非常に複雑な文章で話すことが多いもの。話している途中で前言を訂正したり、必要以上に同じ言葉を繰り返したり、「相手も理解しているだろう」という言葉を省略してしまったりするため、機械にとっては理解が困難になります。また、通話中のバックグラウンドノイズもAIの音声認識を難しくする要因であり、音質が悪くなるにつれてAIの「単語誤り率」が上昇するそうです。
    さらに、人間同士の会話が長くなると、全く同じ言葉でも別の意味を持つことがあります。たとえば「Ok for 4」という言葉がお店の予約の際に使われた場合、この「4」が「4時」という時刻を表すのか、それとも「4人」という人数を表すのかは、それまで交わした会話の文脈に左右されます。しばらく前の言葉が現在の言葉の意味に影響し、AIの処理を複雑化するというわけです。
   Google DuplexはGoogle音声認識機能(ASR)で相手の音声を認識するだけでなく、それまで相手と交わした会話の履歴、会話の目的や現在の時刻といった情報をもとにして、最適な応答を作り出します。文脈をスコア化して判定し、相手の言葉が不完全であってもその意味を推測し、会話を続けることができるとのこと。自然な応答を学習させるため、AIは匿名化された電話データの コーパスを用い、応答モデルを構築しています。
   また、より人間らしい自然な発声になるように、システムの処理中に「hmm(うーん)」「uh(ああ)」といった意味のない音声を発して、応答を考えていることを相手に伝えるシステムも組み込まれています。研究チームが実際の人間の会話を分析したところ、これらの意味のない声は非常に多く使われており、自然な会話を演出するのに役立つそうです。
   加えて、人間は「Hello(こんにちは)」のように単純な言葉に対しては即座の応答を期待する一方、長く複雑な言葉の後に即座の応答が返ってくると不自然に感じてしまいます。そのため、処理能力を限界まで使って相手に即答するよりも、ある程度の遅延を会話に組み込む方がより「人間らしい」会話になるとのこと。
   Google Duplexは基本的に、人間の関与なしで自律的に会話を行い、タスクを完了することが可能です。一方でGoogle Duplexには自己監視機能も搭載されており、非常に複雑な予定のスケジューリングや予定外の会話など、Google Duplexでは対処しきれない状況になった場合は、人間のオペレーターに信号を送って助けを求めることができます。
    ユーザーは企業への電話をかける時に、自らが企業とやり取りする必要がなく、ただGoogle Duplexとやり取りするだけでスケジュールを組むことができます。「これはユーザーの手間を減少させるだけでなく、聴覚や発話に障害を持つユーザーや、現地の言葉がわからないユーザーにとっても大きな利点となります。アクセシビリティや、言語の壁に対処するという点でも役立つだろう」と研究チームは述べています。

 

AIスピーカー、映像付き進化形、グーグル、アマゾン追う

米グーグルは8日、画面付き人工知能(AI)スピーカーを家電メーカーと組んで7月に投入すると発表した。同様の製品ではアマゾン・ドット・コムが先行するが、グーグルは動画などソフトの多様さで違いを打ち出す。日本でもようやく普及が始まったAIスピーカーだが、技術革新が進み競争はすでに「音声」と「画像」の組み合わせへと移っている。
7000人の開発者が集まったイベントで発表した目玉のひとつが米国で発売予定の画面付きAIスピーカーだった。「スマートディスプレー」と呼ばれる同様の製品はアマゾンが2017年夏に米国で発売済み。後発となるグーグルの最大の強みは傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」を通じた動画や有料テレビ番組の視聴だ。アマゾン製品はグーグルとの契約上ユーチューブを再生できない。
 声で目的地を示せば地図サービスの「グーグルマップ」が作動し、地図と道路状況が表示される機能もある。テレビ電話のような画面を介した通話も可能だ。
 グーグルはAIスピーカー「ホーム」を自社製品として販売しているが、画面付きはまずは他社に製造を委ねる。ソニーや韓国LG電子、中国のレノボ・グループなどが提携相手に名を連ねており、グーグルは会話型AI「アシスタント」の開発に特化する。

 

ソニーディープラーニング統合開発環境で複数GPUのサービス

ソニーは5月9日、ディープラーニング(深層学習)のプログラムを生成できる統合開発環境「コンソールソフトウェア:Neural Network Console」のクラウドサービスで複数GPUによる高速学習サービスを提供開始した。
今回、新たに提供する高速学習サービスは大規模な学習の実行や、複数のプロジェクトの学習を同時に進行させたいユーザーに向けて提供するものとなり、柔軟なオプションの中から最高で8台のGPUを用いた学習まで選択できる。
同サービスの主な特徴として「GPUを用いた高速な学習」「計算リソースの利用ニーズに応じた提供」の2点を挙げている。
GPUを用いた学習に関しては、ニーズに応じて高速なGPUに加え、複数のGPUを用いた学習から柔軟に選択できるメニューを用意した。新たに提供するGPUを用いた学習では、CPUでの学習と比較して大半のニューラルネットワークで10倍以上、高速な学習を可能としている。
計算リソースの利用ニーズに応じた提供については、学習時間に応じて210円/時間から利用可能とし、必要な時に必要な分だけCPUやGPUを利用することで構築費用を削減できるという。また、学習内容に応じてGPUの種類を選択することで、柔軟に処理性能の上限のコントロールを可能としている。
研究者や開発者は、オンデマンドでクラウド環境の有償のリソースを利用することで、一時的な構築費用の削減を可能とし、柔軟な学習環境でより効率的に本格的なディープラーニングプログラムの開発ができるという。

 


AI共同開発の成果公平に、経産省、契約の指針案、ベンチャー配慮、権利関係明確に

 経済産業省は、大企業とベンチャー企業人工知能(AI)を共同で開発する際、AIがどちらに属するかといった問題を定める契約のガイドラインをまとめた。契約のひな型をつくり、ビッグデータを提供してAIを利用する企業と実際に開発する企業との間の争いを未然に防ぐ。AIの共同開発を後押しする狙いで、交渉力で弱い立場に置かれがちなベンチャー側の権利に配慮した。
 ガイドライン(指針案)は経産省有識者会議がまとめ、5月中に産業界などから意見募集し、最終案を固める。大手工作機械メーカーが機械の自動化に不可欠な稼働データを提供し、ベンチャー企業がそのデータに基づいてAI開発を受注する――。こうしたケースを想定している。

 


お手軽AI、中小も利用、価格5分の1も、与信管理や経営診断。

 人工知能(AI)を活用した専門サービスが中小企業の間で広がっている。サービス提供の主役はスタートアップ企業だ。経営診断や与信管理など煩雑な手続きを効率化。既存サービスより価格が5分の1になるなどIT(情報技術)投資をためらう中小企業も利用しやすくなった。「お手軽AI」が中小企業の経営に役立ち始めた。
 「取引先に異変があればメールで教えてくれる。月1000円弱で取引の上位5社を監視できコストも安い」。生鮮野菜を販売するMOG(東京・江東)の小林要一朗社長は喜ぶ。同社は4月からAI与信管理サービス「アラームボックス」を使い始めた。
 食品業界は天候で生産が左右され、倒産も多い。設立6年目のMOGもこれまで3件の売掛金の焦げ付きがあり、与信管理の必要性を感じていた。だが既存の売掛金の保証サービスは手数料が高い。アラームボックスは取引先の信用状況の変化やネット上の否定的な情報が自動で届き「時間をかけず与信管理できる」。
 サービスを提供するアラームボックスの顧客700社強の多くは中小の卸売業や運送業。米セールスフォース・ドットコムや関西地盤の南都銀行と組み、納入先を広げてきた。
 武田浩和社長は信用調査会社の手動の業務を「5割ほど自動化できた」という。取引先1社あたりの料金は180円程度と従来の約5分の1だ。
 お手軽AIの背景にはクラウドサービスの普及がある。IBMやアマゾン・ドット・コムなど米IT大手が開発した中核技術をベースに、スタートアップが個別業務に特化したサービスを割安に提供しやすくなった。
 「中小企業白書」によると、生産・販売・会計など基幹業務にITを十分に活用する中小企業は約20%どまり。だがクラウドを介し、新サービスを手がけるスタートアップと、大規模なサーバーや人員を抱えたくない中小の距離が縮まる。
 Toreru(トレル)は、クラウドで商標登録できるシステムを提供。商品名やロゴ画像を入力すると、画像認識などの技術で類似の商標の有無を調べ、1~3日後に登録の可否を判定する。宮崎超史社長は「最終的な判断は弁理士だが、約9割は自動化できる」と話す。
 調査や登録の手数料は2万円弱(印紙代を除く)と一般的な特許事務所の3分の1以下。アパレルやITサービス企業の利用が多く、18年の調査受託は前年比2・6倍の2500件の見込みだ。
 弁護士や公認会計士などをつなぐ相談サービスにもAIは使われる。ココペリ(東京・千代田)のサイト「SHARES」では、専門家の相談に加えAIが顧客企業の収益データなどを分析し、経営課題を自動で発見する。ココペリは横浜銀行など地銀と組み、利用企業は5千社を突破した。
 最近は地銀が融資先の経営支援に、スタートアップのサービスを活用する事例が増えている。普及に弾みがつきそうだ。

 

 

カーネギーメロン大学、米国初の人工知能の学士課程を新設

カーネギーメロン大学は今月10日、人工知能の学士号課程を開始することを発表した。人工知能の学士号は米国では初の試みであると同大学はいう。理学士課程での最初のコースは今年の秋に始まる予定だ。

 

富士通が世界10カ国にAI・IoTの体感拠点、まずニューヨークとミュンヘン

 富士通人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などの先進システムを体感・検証できるイノベーション拠点「デジタル・トランスフォーメーション・センター(DTC)」を月内にも米ニューヨークと独ミュンヘンに開設する。実機による検証施設に加え、現地ユーザーやパートナー企業との交流を促すように空間デザインなども工夫する。2018年度中にはアジアなども含め、10カ国へ展開する方針だ。

 

 

ほぼ人間:2足歩行ロボット『アトラス』さん、今度は軽やかにジョギングをする

驚異の高性能ロボットを数多く生み出している米国のボストン・ダイナミクス社が、また凄い動画を公開した。今回は2足歩行ロボット『アトラス』がジョギングだ。
パッと見たところ、あまりに動きが自然すぎてほぼ人間。いよいよロボットも来るところまできたなって感じがしてくる。2足歩行ロボットとして別格
。動画のタイトルは「Getting some air, Atlas?」だ。再生すると、芝生の上を軽やかにジョギングするボストン・ダイナミクス社の2足歩行ロボット『アトラス』。
   ひと昔前だと、2足歩行ロボットの多くは、動きが遅かったり動きがカクカクしていたりと、どこか違和感があった。しかし、リズミカルに腕を振り、スムーズに膝を曲げながら走る『アトラス』は、もはや別格の域に達している印象だ。
さらに動画の0:22あたりでは、転がった丸太をジャンプする様子も見られる。着地もバッチリ安定している。ちなみに、4足歩行ロボット『スポットミニ』の動画も新たに公開されており、スムーズにオフィスを歩き回る様子が見られる。
以前に華麗なバク宙も披露していた『アトラス』。言葉が話せるようになれば、限りなく人間に近づくことだろう。今後もボストン・ダイナミクス社のロボットに要注目だ。