週刊人工知能 2018年5月28日から6月2日

 

人工知能が「万引きGメン」に 被害額は4割減


NTT東日本ベンチャー企業のアースアイズが、AI(人工知能)技術を活用した、万引き防止サービスを6月下旬から提供する。先行導入した店舗では、導入前と比べると万引き被害額が約4割減ったという。
 小売り店舗にAI(人工知能)を搭載したカメラを設置し、来店者の不審行動を検知して万引きを防止するサービス「AIガードマン」を、NTT東日本ベンチャー企業のアースアイズ(東京都中央区)が6月下旬から提供する。
 店内のカメラが来店者の不審行動を自律的に検知し、NTT東日本クラウド経由で、店員のスマートフォンに位置や静止画などの情報を通知する。通知を受けた店員が不審者に「何かお探しですか?」などと声掛けし、万引きを防ぐ。

 


AIで新製品名を提案、京王電鉄電通大教授と新会社。

 京王電鉄電気通信大学坂本真樹教授と共同で、人工知能(AI)を活用したサービスを展開する新会社、感性AI(東京都調布市)を設立した。擬音語・擬態語が人に与える印象を数値化する坂本氏の技術をもとに、新製品名を提案する事業などを展開する。
 京王電鉄が大半を出資して社長を送り込み、坂本氏は最高執行責任者(COO)に就く。
 坂本氏は擬音語・擬態語の音質特性を様々な項目で分析し数量化する「オノマトペ感性評価システム」という技術を持つ。例えば「かさかさ」という言葉を聞くと「乾いた」「弾力のない」「伸びにくい」という印象を強く与えることなどがわかるという。
 同技術を使い、製造業など依頼先が訴えたい新製品の特徴や印象に合った言葉の組み合わせなどをもとに名称を提案する。京王電鉄グループで展開するベーカリー事業での新製品名などにも活用する。

 

 

産総研、AI技術開発、意見募る、研究者に事例提示。

 産業技術総合研究所茨城県つくば市)・人工知能研究センターは人工知能(AI)に関する開発項目の事例をまとめた。日本が今後取り組むべき基盤技術として(1)人と協調できる(2)実世界で信頼できる(3)容易に構築できる――という3つの方向性を提示。これらをもとにAIに携わる研究者などに広く意見を募集し、今後の研究計画に反映させる方針だ。
 開発項目として、論文や教科書からの知識の自動的な構造化、機械学習の結果に対する説明可能性の向上、AI開発・導入工程の自動化など約20の具体例を挙げた。
 産総研は、取り組むべき技術の内容、3~5年後の目標、関連技術や研究事例などについて6月15日までメールで意見を求める。研究内容に意見を募集するのは異例という。辻井潤一センター長は「いつまでも米国の後追いをしていては意味がない。日本的なAIはどうあるべきか議論を始める時期だ」と話した。

 

農作業ロボ、自動走行、イームズジャパン、GPS・カメラ活用、水やり負担軽く

ドローン(小型無人機)開発・製造のEAMS JAPAN(イームズジャパン、溝部弘之社長)は農薬散布や水やりをする農作業ロボットを開発した。搭載カメラの映像を見ながら栽培ハウスの外から操作でき、全地球測位システム(GPS)によって直線部分を自動走行する。1台80万円前後で、人手不足に悩む花や露地物のハウス栽培農家を中心に売り込む。

 

音声認識×AI、教師の負担軽く、サカワ、黒板に投映、声拾い文字に、関連画像表示。

 黒板メーカーのサカワ(愛媛県東温市)は音声認識技術と人工知能(AI)を組み合わせた授業支援システム「Josyu(ジョシュ)」を開発した。授業中の教師の声を文字にしたり、重要単語を抽出して関連画像を表示したりする機能があり、教師の授業準備や板書などの負担が軽減できる。2019年中にも全国の学校向けに有料での提供を目指す。
 AIを活用したシステムの開発は国際大学グローバル・コミュニケーション・センターと共同で、18年初めから取り組んだ。パソコンとプロジェクターを使い、黒板に投映して利用する。
 新システムでは授業中の教師の声をマイクで拾い、文字テキストを自動作成する。さらに繰り返し登場するなど、前後の文章の関係から重要と思われる単語を抽出。重要単語として黒板の端にリストで表示する。単語を選択すると、AIがネット上から収集した関連単語や画像を表示する。

 

荷物取り出し、台車止めず、日立、AI使いロボと連動。

日立製作所は28日、物流倉庫などで荷物を取り出すロボットを、人工知能(AI)を使い台車やカメラと連動させる技術を開発したと発表した。台車を動かしたまま箱の中に荷積みされた多くの商品の中から1つだけをつかむ。取り出しにかかる時間が従来手法より38%短くなった。物流を効率化できる技術として早期の実用化を目指す。


AI監視、万引き防ぐ、映像解析、不審者を検知、NTT東とアースアイズ

 NTT東日本は28日、アースアイズ(東京・中央)と提携し、6月下旬から人工知能(AI)を活用した万引き防止サービスを始めると発表した。店舗に設置したカメラ映像をAIが解析。不審な行動をする来店者を検知し、犯行を未然に防ぐ。両社は3年間で1万店舗への導入を目指す。
 販売する「AIガードマン」は、店舗に設置するネットワーク対応のAI内蔵カメラや、不審者を検知するパターンファイルをAI、内蔵カメラに送信したりカメラで撮影した映像を保存したりするクラウドサービスなどで構成する。
 AI内蔵カメラが、店舗内できょろきょろしたり、急に立ち止まったりする来店者を自動検知する。検知したら店舗の従業員のスマートフォンスマホ)に通知し、不審な行動を取る来店者に声がけすることで万引きを未然に防ぐ仕組みだ。
 AI内蔵カメラや不審者検知の仕組みはアースアイズが開発した。「小売業では売上高の1%近くが、万引きなど商品ロスであることが珍しくない」とアースアイズの山内三郎代表は指摘する。同社の技術を使ってホームセンターで実証実験をしたところロス削減の効果があったという。
 AI内蔵カメラや不審者検知の仕組みはアースアイズが開発した。NTT東日本と組むことで販売網を拡大する。NTT東日本は、アースアイズと提携することでネットワークサービスに付加価値を加える狙い。

 


ネスレ、「健康」成長の柱、血液検査からサプリ提供。

ネスレ日本が新たな成長の柱に健康分野を据える。28日、DNAや血液検査を無料で提供し、希望すれば自社の栄養商品を購入できるサービスを始めると発表した。顧客一人ひとりに体質や不足しがちな栄養素を伝える。スマートフォンの対話アプリを通じ食習慣の改善も促す。主力のコーヒーの国内市場が飽和しつつあるなか、新しい領域を開拓する

 

 

新興国、IoTで渋滞解決、空き車線、AI誘導、信号、クラウド管理、先端技術、効果探る


 新興国であらゆるモノがネットにつながる「IoT」を使った渋滞対策が動き出した。道路整備を上回る勢いで車が増える新興国では、渋滞による経済損失が2030年に年4兆円に迫るとの予測もある。経済成長の足かせになるとの懸念が強い東南アジア諸国は、官民を挙げた対策に着手。渋滞解消の先進例を探る実験場となっている。
 タイの首都バンコクでは豊田通商がタイのチュラロンコン大学などと組み、11月にも本格運用を予定する日本の準天頂衛星「みちびき」を活用した高精度ナビゲーションシステムの実証実験を3月に始めた。日本版の全地球測位システム(GPS)と呼ばれるみちびきは日本からオーストラリアにかけての上空を8の字を描くように飛行。東南アジア各国のナビサービス普及を後押しすると期待されている。
 バンコクでの実証実験では位置情報の誤差は約10センチメートルで、これまでわからなかった車線単位の混雑状況まで把握できる。GPSを搭載したタクシーやトラックなど約15万台の位置情報も併せて人工知能(AI)で分析し、混んでいれば赤色、空いていれば緑色などと混雑状況を色分けし、空いた車線に車を誘導する。豊田通商は「2年後の実用化を目指す」と話す。
 シンガポールでは混雑を減らすため、都心部に入る車に課金する電子式道路課金システムを導入しているが、20年にも測位衛星システム(GNSS)を使った次世代型に切り替える計画だ。次世代型では従来のようなゲートが不要となる。国土が狭く道路拡張に限界があるため、先端技術の導入に力を入れる。
 インドネシアでは独ダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスが今年発売する中型トラック「ファイター」にトラックの経路を記録する運行システムを搭載した。混雑の少ない最適ルートの立案に役立てる。インドネシア独自のサービスで、IT(情報技術)を使って運用を効率化し、燃費効率を改善する。
 マレーシアでは1月、政府系機関が中国アリババグループと組み、首都クアラルンプール中心地の信号機をクラウドに接続する計画を打ち出した。信号281基とカメラ382台のデータから交通状況を分析。最適な信号切り替えを通じて、渋滞を緩和する。
 こうしたアジアの新興国で進む渋滞対策について、新興国の都市交通に詳しい横浜国立大学の中村文彦教授は「先進国をしのぐスピード感で高度な技術導入の検討が進んでいる」と指摘する。
 17年の東南アジア主要6カ国の新車販売は前年比5%増と2年連続で拡大した。一方、道路インフラ整備が追いつかず、オランダの地図サービス会社トムトムがまとめた渋滞都市ランキングでは、上位をアジアや南米の新興国が占める。日産自動車とみずほ総研の推計によると、渋滞が原因の経済損失は東南アジアや南米、インドなどの新興国で30年に3兆9000億円に達する見込み。人件費や物流コストの上昇は経済成長の重荷になりかねず、各国は対策を急いでいる。
【表】渋滞都市ランキングは上位に新興国が目立つ   
1  メキシコシティ(メキシコ) 
2  バンコク(タイ) 
3  ジャカルタインドネシア) 
4  重慶(中国) 
5  ブカレストルーマニア) 
6  イスタンブール(トルコ) 
7  成都(中国) 
8  リオデジャネイロ(ブラジル) 
9  台南(台湾) 
10  北京(中国) 
(注)蘭トムトムの「交通量指数2017」から作成。人口80万人以上の都市が対象  

 

 

 

需要予測システム全店で、ワークマン、在庫を適正化。

 作業服販売店チェーンのワークマンは販売状況などを基に発注数を自動で決める需要予測システムの導入を進める。店舗は在庫数などを入力することなく、端末のボタンを押すだけで本部に発注できる。現在80店強で導入しているが、2020年3月までに約820の全店に広げる。従業員の作業軽減を図るとともに、在庫を適正化して販売効率を高める。

 

エア・ウォーター室蘭工大と連携協定、農業・食品の新技術で。

 産業ガス大手のエア・ウォーター室蘭工業大学(北海道室蘭市)は、北海道で農業・食品分野の新技術を開発するための包括連携協定を結んだ。加工用野菜のロボット栽培技術や、人工知能(AI)を活用した温室栽培の自動制御技術などを共同研究する。農産物に含まれる機能性成分の量を高精度で分析する技術などでも連携する。
 研究者同士の交流や相互派遣を通じ、複数の研究を同時並行で進める。インターンシップ(就業体験)など学生の教育でも協力する。協定期間は1年間だが、研究の進展状況に応じて更新していく。
 エア・ウォーターが大学と包括協定を結ぶのは初めて。同社グループの農業・食品関連事業の売上高は1300億円で、全体の18%を占める。ただ、生産現場の人手不足や利益率の伸び悩みなどの課題も出ている。室蘭工大の技術を活用し、農産物や加工食品の生産効率の向上につなげる。
 国立大学は国からの運営費交付金が減少。室蘭工大にとって同社との連携は共同研究を通じて外部資金を獲得する好機になる。

 

NECとマルイ農業協同組合、死んだ鶏、AIで確認。

 NECとマルイ農業協同組合(鹿児島県出水市)は28日、鶏舎に人工知能(AI)を導入する実証実験を始めたと発表した。台車に載せたカメラで鶏舎内を撮影し、あらかじめAIに学習させた画像と照らし合わせて死んだ鶏を検知する。作業員の負担を減らせ、卵の品質向上につなげる。2020年度に実用化する。

 

新潟市、AI使い音声翻訳。

 新潟市人工知能(AI)を使った音声翻訳システムの本格的な窓口運用を6月に始める。凸版印刷の実証事業の一環で、2019年3月末まで試用する。市は使い勝手や課題などを踏まえて本格的な導入を検討、外国人住民の利便性向上につなげる。
 音声翻訳システムは新潟市西区役所の窓口で運用し、外国人の転入・転出届などの手続きに生かす。専用アプリを搭載したタブレット端末を使い、英語や中国語、ベトナム語など10カ国語に対応する。タブレットのスピーカーにふき込んだ言葉を翻訳し、文字と音声の両方で伝える。新潟市は4~5月にも一部の外国人住民向けにシステムを活用してきた。長い文章や敬語は正確に翻訳できないといった課題が出ており、6月から「簡潔な表現を使って対応する」

 

 

テスト採点・集計、ITで、NECやキヤノンMJ、自動化、教員の負担減

 NECやキヤノンマーケティングジャパンは小中学校や高校の学科試験の採点を支援するシステムを開発した。テストの解答用紙をスキャンして読み取り、自動で採点したり、採点結果を集計したりする。小中学校や高校では教師の仕事の負担の軽減が課題となっており、IT(情報技術)を活用した業務の自動化を後押しする。
 NECが開発した「テスト採点支援ソリューション」は解答用紙を専用端末でスキャンしてパソコンに取り込むと、生徒の手書きの解答を問題単位ごとに一覧で表示し、解答が正しいか間違っているかは教師が判断する。その結果の採点はシステムが自動でする。
 採点結果のデータを集計して、問題ごとの正答率や合計点を一覧表示することもできる。問題の作成から学科試験の実施、解答用紙の回収といった従来のやり方は変えず、採点作業や採点結果の集計作業にかかる時間を短縮する。
 1学年の生徒数が117人の学校で英語の試験を実施し、採点したところ1時間35分で採点や試験結果の集計ができた。従来の方法と比べて約45%短いという。教師は採点していた時間をその他の学習指導などに使うことができる。価格はオープンだが、A4用紙対応でパソコン3台を使用する場合、30万円前後を見込む。今月から出荷し、初年度3000件の販売を目指す。
 キヤノンマーケティングジャパンは6月から中学校や高校の学科試験で、採点した結果を自動で集計するシステムを教育機関向けに販売する。子会社のキヤノンITソリューションズで研究開発を担うR&D本部と組み、紙から文字を読み取る際に人工知能(AI)を活用して精度を高めた。小中高校や大学の現場に取り入れ、教員の業務負担を軽くする。
 発売する「イン キャンパス スキャン」は、教師が採点した後の解答用紙をまとめてスキャンする。光学式文字読み取り装置(OCR)エンジンが、クラウド上で学籍番号や点数を読み取る。試験用紙やリポート用紙は事前に登録し、専用の用紙を使わなくても読み取れる。
 手書きの数字や文字は、隙間や形からAIが大量のデータと照らし合わせて認識する。学生の名前や点数を自動でリストにするため、教師が米マイクロソフト表計算ソフト「エクセル」にいちいち入力して集計する手間や時間が省ける。
 システムはクラウドを通じて提供する。価格は小中高校向けが年間税別50万円から、大学向けは100万円から。今後順次機能を追加し、AIによる自動採点も視野に入れる。
 教育現場では部活動の指導や事務作業などで教師の負荷が増え、生徒と向き合う時間が確保しづらくなっている。文部科学省が学校の働き方改革について緊急対策をまとめるなど、長時間労働の解消が課題となっている。NECやキヤノンMJはITによる効率化の余地が大きいとみている。

 

 

AI・ロボで介護負担軽減、パナソニック、グループの技術活用、送迎や夜間巡視、人手不足解決の糸口に。

 パナソニックが介護事業に人工知能(AI)やロボット技術を取り入れて業務負担を減らす試みを増やしている。6月には自動でデイサービスの最適な送迎ルートを割り出すシステムの導入を開始する。車いすの機能が付いた介護ベッドも海外で販売を始める。総合電機ならではのグループの技術を集めることで人手不足という介護現場の課題解決に迫る。
 パナソニックの介護事業は全額出資の子会社パナソニックエイジフリー(大阪府門真市)が手がける。介護用品の開発、販売に加え、全国でショートステイ付きの在宅介護サービス拠点を44カ所、サービス付き高齢者住宅(サ高住)を56カ所運営している。母体となる会社が設立されたのは介護保険制度が始まる2年前の1998年だから20年の歴史がある。

 


イオン未来店、中国で学ぶ、現地AIベンチャーと開発拠点、無人・ロボ「実験場」に。

 イオンは30日、中国・上海で新たな研究開発(R&D)センターを開業した。人工知能(AI)技術を持つ現地のスタートアップと設立した戦略拠点だ。ロボットによる商品の無人販売・清掃など未来型店舗の開発を担う。日本を代表する流通大手として中国企業のお手本になってきたイオンだが、今や中国は世界有数の電子決済大国だ。ネットとリアルの融合でも先を行く中国に競争力強化の処方箋を学ぶ。
 「〓好!」。手を上げて話しかけると「売り子」のようにフロアを自由に動き回っていたロボットが近くに寄ってきた。手のひらをセンサーにかざすと、ふたが開いて中にある飲料や菓子を手に取ることができる。事前に自分の掌紋と「支付宝(アリペイ)」などの決済サービスを登録しておけば、手に取ると同時に決済も完了する。
 一見普通の大型冷蔵庫にもしかけがあった。手をかざすと「カチャッ」という音が鳴り扉が開く。棚に並ぶイオンのプライベートブランドトップバリュ」のミネラルウオーターを取り出した時点で搭載カメラが商品を認識。決済も自動で完了しており、後は扉を閉じるだけで買い物完了だ。
アリババも出資
 30日にイオンがお披露目した上海のR&D拠点では、来場者がデモンストレーションを興味津々に見つめていた。
 技術を開発したのは、ディープブルーテクノロジー(深蘭科技、上海市)だ。AIや無人店舗、ロボットなどの先端技術に強みを持つ。顔認証技術を使って無人で商品を販売するシステム「テイク・ゴー」は中国の小売店などで実用化が進む。中国ネット通販最大手、アリババ集団も出資する有力スタートアップだ。

 


港湾の渋滞、AIで緩和、政府、20年に、倉庫の空きを一目で。

 政府は2020年に全国に約1000ある港湾のIT(情報技術)システムを一元化する方針だ。貿易手続きや物流情報を人工知能(AI)を使って管理し、各港湾の貨物の出荷情報や倉庫の空き状況を一目で把握できるようにする。欧州などでは港湾のIT化が進んでおり、日本も物流の生産性を高めるIT改革に取り組む。
 政府のIT総合戦略本部(本部長・安倍晋三首相)が近くまとめる成長戦略の柱と位置づけ、6月中旬に閣議決定する。全国の港湾が共通で利用するITシステム「港湾関連データ連携基盤」を20年までに導入することをめざす。必要な関連経費を19年度予算案に盛り込む。
 港湾システムは物流網を円滑に整備する上でのボトルネックになっており、政府は港湾システムの改革に本腰を入れる。特に全国の港湾の中でも、東京港周辺の交通混雑などは深刻さを増しており、経済効率性から迅速なコンテナ搬出入の必要性が高まっていた。

 

横浜F・マリノスのチケット、AI活用、価格日替わりに、前売り状況や天候で。

サッカーJ1の横浜F・マリノスは6月18日から、対戦相手や前売り券の販売状況、天候などのデータをもとに人工知能(AI)を使い一日ごとにチケット価格を変える「ダイナミックプライシング」を導入する。仮に単価を下げても販売枚数が増えれば収益が拡大する。観客は席の好みを重視するか、価格を優先するか選べる。J1で同制度を本格採用するのは初めて。

 

「まるまつ」のカルラ、食材在庫を自動で把握・納品、生産性向上・欠品減狙う。

 東北地方を中心に「和風レストランまるまつ」などを展開するカルラ(宮城県富谷市)は、店舗の販売実績を本部が自動で把握して必要な食材を店舗に納品するシステムを導入する。外食産業は人手不足が深刻になっている。必要な食材の量や種類の決定をシステムに任せ、生産性の向上や欠品の解消を目指す。
 2017年10月から、一部店舗に同システムを試験的に導入し、使い勝手などを調べてきた。今後、運用方法などを見直したうえで、18年度中に約100店全店に導入する予定だ。
 導入するシステムは店舗のPOS(販売時点情報管理)レジの情報を活用する。店舗で売れたメニューの種類や量を本部が自動的に把握し、その分だけ店舗へ食材を納品する仕組みだ。システムは自社のエンジニアが開発したため、事業費は人件費だけで済んだという。
 通常は店舗の担当者が週3日、販売データや店舗在庫を調べて本部に食材を発注する。この作業に1時間かかっているという。自動システムの導入によってこの作業時間がゼロになり、従業員は他の業務をすることができるようになる。
 カルラの伊藤真市専務は「自動システムが軌道に乗れば、概算では一店舗あたり月20時間の労働時間を削減でき、年間で7200万円の人件費が浮く」と話す。
 自動システムは店舗の欠品を減らすことにもつながる。工場から遠い店舗の場合、欠品が出た際にはトラックで再配送する必要がある。
 人手不足のなか、トラック運転手を確保するのも難しく、自動システムによって納品量が最適となれば、再配送の手間を省ける。
 ただ、同システムは今後の天候や気温、予約状況などは計算に入れていない。気温が低い日には温かいメニューが売れても、翌日には気温が上がり、あまり売れない場合もある。
 このため同社は将来的には、人工知能(AI)を活用し、POSデータに加え、天気予報や店舗の予約状況など「未来」の情報も総合的に分析して店舗に納品する食材の量や種類を決定する仕組みにシステムを高度化したい考えだ。

 

 

大和ハウス、IoT時代見据え(物流インサイドリポート)

 あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」が広がると物流に何が起きるのか、議論がかなり煮詰まってきた。一つは、情報が在庫に置き換わる。消費と生産の時間的ギャップが最小化されて、バッファー在庫を持たなくても、品切れや売れ残りが起こりにくくなる。不確かな需要予測に基づく見込み生産をやめて、実需に基づいて生産できる。
 物流オペレーションも事前に計画できるようになる。これまでは当日まで、その日の輸送量や作業量が分からず、輸送力や労働力、物流設備の処理能力に余裕を持つ必要があった。IoTを利用すれば、空車情報や倉庫の空きスペース、物流設備の稼働状況などをリアルタイムに把握でき、リソースのシェアリングも進む。IoTと人工知能、ロボット技術が組み合わさることで、人の操作や判断を必要とする業務が大幅に減る。現場作業員が機械に置き換えられて、物流業が装置産業化する。
 そんなIoT時代の物流会社を目指して昨年11月、大和ハウス工業はグループの物流関連企業を統括するダイワロジテックを設立した。倉庫管理システムのフレームワークス、3PLのアッカ・インターナショナル、物流ロボットのGROUND、配車システムのHacobuらのソリューションを統合して物流プラットフォームを提供する。4月にはそのモデル拠点となる「Intelligent Logistics Center PROTO(インテリジェント・ロジスティクス・センター・プロト)」を大和ハウス工業の物流施設「DPL市川」(千葉県市川市)に開設した。
 ダイワロジテックは輸送や保管、庫内作業などのオペレーションをサービスとして販売するのではなく、荷主と「SLA(サービス・レベル・アグリーメント)契約」を結び、フルフィルメントを保証する。それによって、どの倉庫のどの棚に何を保管するのか、どう運ぶのかという制約を取り払い、プラットフォーム全体の稼働率を最大化する。荷主は投資の負担やリスクなしに最先端の物流テクノロジーを利用できる。

 

ライブ客の真の反応、AIが分析

 アーティスト定番の曲に合わせ、ノリノリでタオルを振り回すライブ客。だがその表情をマーケティングカメラで捉えると、意外にも多くの人が「真顔」のままだった――。エイベックスはAIサービスを利用したライブ来場者分析システムの実験を2017年秋から開始した。顔の表情から、ライブ客の感情を捉えようとする試みだ。
 エイベックスは、米マイクロソフト人工知能(AI)サービス「Microsoft Cognitive Services」を利用したライブ来場者分析システムの実証実験を2017年秋から続けている。ライブ会場に設置したカメラで来場者の顔を認識して属性(年代、性別)を把握。さらにその表情から感情もリアルタイムに判別し、数値化してライブの「効果」を調べている。

 

NTTが技術、特定の人の声、AIが識別、特徴から個性分析、会話・雑音あっても高精度。

 NTTは複数の人の声が混じった音声から、特定の人の声だけを取り出して聞き取る技術を開発した。あらかじめ聞き取りたい特定の人の声を録音して人工知能(AI)で分析し、声の特徴などから識別する。人の会話を理解するロボットやボイスレコーダーなどの精度向上につながる技術として、早ければ2年後の実用化を目指す。
 スマートスピーカーや最近のスマートフォンスマホ)には、人の声を聞き取る音声認識技術が搭載されている。認識精度の向上はこれらの機器の利便性を高める上で重要だが、実際の生活では別の人の声が聞こえたり、テレビ音声などの雑音が流れたりしており、特定の人の声だけを聞き取る障害となっていた。
 NTTは声の高さや声質、抑揚などの様々な特徴をもとに、特定の人の声の個性をつかむ技術を開発した。特定の人にあらかじめ10秒間マイクの近くで話してもらうだけで、その後は複数の人が同時に話しても、深層学習(ディープラーニング)を使い、目的の人の声を選択的に抽出して聞き取れる。
 従来は2人の人の声が混ざった状態では特定の人の声は20%しか聞き取れなかったが、新技術を使うと80%の精度で聞き取れるようになった。3人が同時に話す場合や音楽などの雑音が流れている場合も、選択的に聞き取ることができた。
 特定の人の声をAIが識別する技術はこれまでもあったが、複数のマイクを用いて、声のする方向から判定していた。人間に備わっている「カクテルパーティー効果」と呼ばれる雑踏の中でも対話する人の声をうまく聞き分ける能力をAIに組み込んだ。
 現在は似た声の人では聞き分けられないことがある。声の特徴を認識する精度をより高め、声の方向で判断する技術も組み合わせ、不特定多数の人が話したり雑音が大きい状況でも聞き取れるようにする。

 

最良の縁談、AIが選ぶ、フロンテオ、婚活に提供、似た成婚例を順位付け

 人工知能(AI)を用いたデータ分析を手がけるFRONTEO(フロンテオ)は、婚活市場向けにAIを提供する。婚活支援大手のパートナーエージェントが持つ会員データを分析し、マッチング精度を高める。AIを活用することで紹介を担当するスタッフの負担を軽減し、会員の満足度向上につなげる。
 6日から、フロンテオのAI「KIBIT(キビット)」をパートナーエージェント向けに提供開始する。結婚を前提にマッチングした会員同士の「成婚データ」と、現在登録している会員のデータを読み込むことで紹介に生かす。
 例えば女性会員の紹介相手を探すとする。女性が記入した自身の趣味や価値観、男性に求める年収や身長、担当スタッフが書いた紹介文といった文字の情報をAIが読み込む。次に過去に登録していた会員の中から、女性と似た特徴を持つ人を探す。その会員が成婚した相手に似た男性を表示する。
 AIは0~1万点の間で女性に合いそうな男性をスコアリングし、上位から順に並べる。担当スタッフはランキングを参考に紹介相手を選べばよい。パートナーエージェントでは試験的に、過去に成婚した会員データにAIを読み込ませた。するとスタッフがAIを使わず合いそうな相手を選んだ場合に比べ、実際に成婚した相手が上位20%に出てきた確率が1・5~2・5倍に高まったという。
 これまで担当スタッフは経験に基づいた勘を頼りに紹介相手を探していた。年収や希望の身長など数字で検索できる項目もあるが、経験の浅いスタッフは特に苦労していたという。さらに自分の担当している会員に合いそうな相手がいない場合はスタッフ同士でメールや電話で情報を共有する必要があり、手間がかかっていた。
 フロンテオのAIは企業のコンプライアンス(法令順守)違反の発見から、採用活動の書類選考まで幅広い用途がある。人柄や好みなど、数字や単語だけでは分析しづらい婚活市場にも需要があると見て参入を決めた。

 

 

女性起業家、9億円調達、シナモン、AIで事務代行

 人工知能(AI)開発のシナモン(東京・港)が10億円近い大型調達に成功した。社長の平野未来氏=写真=は東大大学院在学中に起業経験のあるシリアルアントレプレナー(連続起業家)で、技術系の女性起業家のロールモデルとして注目されている。
 英国際会計事務所アーンスト・アンド・ヤングが1~3月にネットを通じて実施した世界21カ国・地域2766社の中堅企業調査によると、女性起業家の52%が「外部から資金調達できない」と回答。男性起業家の30%を上回り、性差による壁の厚さが浮き彫りになった。
 シナモンはこれを、ユニークな着眼点と技術力で突破した。販売する「フラックス・スキャナー」は、契約書や請求書などのPDF、ワード文書、手書き資料をAIが読み取り、デジタルデータで集計・出力できる。定型文書の読み取りサービスは他にもあるが、形がそろわない文書にも対応できるのは珍しい。企業向け音声認識ソフト「ロッサボイス」も開発中だ。
 今回、SBIインベストメントなど5社と金融機関から約9億円を調達した。8月末までに第三者割当増資による2億円の追加調達も予定している。

 

データ共有で競争力、セブンなど、10社が協力、経産省補助金など新制度。

 日本の産業界で企業の枠を超えたデータ活用が広がる。セブン&アイ・ホールディングス(HD)やNTTドコモなど10社は6月から、ビッグデータ(3面きょうのことば)の共同活用に乗り出す。これとは別に経済産業省は企業間の産業データ共有を支援する制度を始める。人工知能(AI)の進化を受け、データの活用法は企業の競争力を左右する。「データ資源」を求め企業が手を組む動きが加速する。
 セブン&アイとドコモのほか、東京急行電鉄三井物産三井住友フィナンシャルグループなど異業種の10社がビッグデータ活用で協力する。1日、研究組織「セブン&アイ・データラボ」を発足。データ共有の手法や事業化の検討を進める。
 セブン&アイは1日約2300万人分の消費データを得ている一方、ドコモは約7600万件の携帯利用者を抱える。各社はデータを共有することで情報量を増やし、AIを使ったデータ分析の精度向上や、以前は得られなかった解析結果の取得につなげる。
 例えばセブン&アイの消費データとドコモの携帯電話の位置情報を掛け合わせる。日常の買い物が不便な地域を割り出し、ネットスーパーの展開に役立てることができる。人の動きや嗜好を組み合わせれば、魅力的な街づくりや効果的な出店計画なども可能になる。
 まずセブン&アイと他社が1対1でデータを共有し分析結果を参加企業で共有。全社のデータを一元的に活用する仕組みを検討するほか、10社以外にも参加を呼びかける。データは個人を特定できない形に加工し、プライバシーを保護する。
 一方、経産省は製造ノウハウなど産業データの共有を支援する制度を始める。参画する企業に補助金を出すほか、6月にも施行する生産性向上特別措置法をもとに減税措置を取る。
 日本郵船商船三井などはこの制度を活用し、船舶の運航データを共有。気象条件によってエンジンがどのように動くのかなどのデータを共有し、省エネ船や自動運航船の開発につなげる。
 JXTGエネルギーや出光興産など石油元売り大手も、製油所の配管の腐食データなどを共有し、効率的な保守点検を目指す。各社は競合関係にあるが、データの一部を共有することで無駄をなくし、個別の注力分野に人材や資金など経営資源を集中的に投下する。
 ドイツでは工場にあるロボットの稼働状況を企業間で共有して効率化を図るなど、データを活用した生産改革の動きが広がる。日本は現場での擦り合わせに強みを持つ一方、企業の枠を超えたデータ共有による生産性の向上は遅れていた。
 これまでは技術力やブランド力が企業の価値の中核を占めた。経済のデジタル化が進むなか、企業の価値にデータ資源が加わる。今後、データ獲得へ向け企業の合従連衡が進む可能性がある。
 公正取引委員会は2017年6月に独占禁止法の適用指針を公表。データの集積や利活用は競争を促す一方、寡占により競争が損なわれる場合は独禁法による規制が考えられるとした。産業全体でデータを活用し価値を生むための仕組み作りが必要になる。

 

野村総研がAI「仮想秘書」

野村総合研究所人工知能(AI)を応用した「仮想秘書」サービスを10月にも開始する。仮想秘書を介して、定型作業を自動化するソフトウエア「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の適用範囲を広げる。これまで難しかった交通費精算などの作業にもRPAを利用しやすくなり、RPAの活用企業は従業員の作業効率を高められるという。